Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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昭和十八年  

若き日の手記・獄中記(戸田城聖)

前後
8  夫人宛て
 1 シャツ、モモヒキ、ユカタ、タオル、タビを二十日に宅下げする。今着ているものを出すのだ。今度入れてもらうと三月までは出せまい。だからシャツ、モモヒキは、ごく家にあるもの、最上等のもの、ボタンに気をつけて入れて下さい。ユカタは「セル」にして下さい。出来なければよい。
 2 御護り様の差し入れは、何枚か、調べて下さい。
 3 本はY君にも頼んだから、四、五十冊至急そろえさせなさい。すぐ持って来なかったら、平塚へ速達、電報、電話とやりなさい。私がそうしろと言ったと。
  A 岡本かの子著老妓抄(古本屋で家の人がさがすこと)。
  B 法華経廿八品の講義あるいは和訳。これはF君にさがしてもらいなさい。
 4 先日、T(夫人の弟)が十円の差し入れ、Tの働いた金と思ってうれしい。人は誠心だけがうれしいものだ。
 5 十一月二十六日付け手紙七日拝見。花の差し入れ感謝、戸田流の活け花をやって楽しんでいる。差し入れ金の度に訪問を喜んでいる。昨日「ボン」の差し入れ、突然で非常にうれしかった。
  餓鬼道に うけた回向の うれしさは
     浮き世の宝 極楽の味
 一粒一粒頂いてたべた。おかげで昨日はあたたかかった。
 ボンは甘いから糖分がとれる。この間石ケンは入りました。石版を許されています。石バンフキ。細ィ石筆差し入れ願います。
 毎日寒い。
   (昭和十八年十二月九日)
 ☆獄中の生活は、戦争下とはいえ、過酷をきわめたものと思われる。偉大な信念と信心がなければ、生きて出獄は不可能であった。彼は書を読み、花を活け、凡人では克服できないものを克服しとげた。Tとは夫人の実弟。

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