Nichiren・Ikeda
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7 夫人の父上宛て
お父様へ
いろいろとご苦労、相すみませぬ。
1 電話はつきましたか。工事費は店から出させましたか。
2 防空壕の修理、H君でうまく行かなかったら、K君のところで頼んだ人があるはずだから聞いてたのみなさい。
3 貴い仏に差し上げる毎月の百円、トンと指し図を忘れて相すみません。四海書房へ話して私の給料を貴方が受け取っておいて下さい。今までの分は商事の給料を今月からとって充当して下さい。
4 生活費の指し図を会社へしてないのでI子(夫人、以下同)が面食らっているでしょう。会社への手紙は出すのですが、仕事の指し図に追われて手落ち致しておりました。本月秀英社と本年の配当で過ごせたら、過ごす様I子に話して下さい。次便は来月着になりましょうから、正月に「社」から三千円届ける様手紙出します。
金がなくなったらこちらへ手紙下さい。私から指し図してやります。直接お話になるより良いでしょうが、入用の時は遠慮なく話して下さい。
5 カギサ自廃、奥川、大道、日小、秀英社は自廃と聞いてはお父さんも、私の事業がおしまいではないか、また会社のものに財産が「かきまわされ」やしないか、「生活に困りゃしないか」と心配でしょう。しかし一切ご心配なく、らくに暮らしていなさい。私を信じ、社員を信じていて下さい。ここにおっても事業の運行、その状態はよくわかります。また出たら賞、罰を明らかにする私の決心を皆はよく知っております。安心して私の帰りをお待ち下さい。
(昭和十八年十二月九日)
☆お父様とあるのは、夫人の父。戸田はこの父をほんとうの父のように尊敬していた。
8 夫人宛て
1 シャツ、モモヒキ、ユカタ、タオル、タビを二十日に宅下げする。今着ているものを出すのだ。今度入れてもらうと三月までは出せまい。だからシャツ、モモヒキは、ごく家にあるもの、最上等のもの、ボタンに気をつけて入れて下さい。ユカタは「セル」にして下さい。出来なければよい。
2 御護り様の差し入れは、何枚か、調べて下さい。
3 本はY君にも頼んだから、四、五十冊至急そろえさせなさい。すぐ持って来なかったら、平塚へ速達、電報、電話とやりなさい。私がそうしろと言ったと。
A 岡本かの子著老妓抄(古本屋で家の人がさがすこと)。
B 法華経廿八品の講義あるいは和訳。これはF君にさがしてもらいなさい。
4 先日、T(夫人の弟)が十円の差し入れ、Tの働いた金と思ってうれしい。人は誠心だけがうれしいものだ。
5 十一月二十六日付け手紙七日拝見。花の差し入れ感謝、戸田流の活け花をやって楽しんでいる。差し入れ金の度に訪問を喜んでいる。昨日「ボン」の差し入れ、突然で非常にうれしかった。
餓鬼道に うけた回向の うれしさは
浮き世の宝 極楽の味
一粒一粒頂いてたべた。おかげで昨日はあたたかかった。
ボンは甘いから糖分がとれる。この間石ケンは入りました。石版を許されています。石バンフキ。細ィ石筆差し入れ願います。
毎日寒い。
(昭和十八年十二月九日)
☆獄中の生活は、戦争下とはいえ、過酷をきわめたものと思われる。偉大な信念と信心がなければ、生きて出獄は不可能であった。彼は書を読み、花を活け、凡人では克服できないものを克服しとげた。Tとは夫人の実弟。