Nichiren・Ikeda
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エスキベル前ベリーズ首相
中米の小さな多民族国家
随筆 世界交友録Ⅲ(池田大作全集第124巻)
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4 ”みんなが友だち”に徹した行動
首相のモットーは「たとえ人気がなくても、正しいと信じたことを実行する」である。
「一時しのぎに、皆の耳に入りやすいことだけを言って、支持を得ようとする。そういう政治は遠からず、国を崩してしまいます。経済的にも、そして道徳的にも」
人に、どう思われるか。どう言われるか。どうすれば喝采を受けられるか。そんなことばかり計算して生きるのは無責任だ!――と。
首相をよく知る人は言う。
「たいへん『まじめ』な人です。首相である時も、そうでない時も、ともかく自分のことはいい、『国のため』『国民のため』『国が一歩でも前進できるなら』と、一生懸命なんです」
利権や公私混同とは無縁。住まいも二階建ての小さな家。訪ねた人が「これが首相の家ですか」と驚くほど質素だそうである。
偉ぶったところは、少しもない。道を歩いていても、いつも気さくに、みんなに声をかける。政治家にありがちな「演技」ではなくて、「みんな友だちだ」という気持ちが行動にあふれている。
奥さまも、もと教師。イギリスから、ボランティアで、ベリーズに来て教えている時に、同じ教師だったエスキベルさんに出会ったとのこと。「木の陰で」という小説も書いておられる。
ベリーズには「世界第二の珊瑚礁」がある。海岸には、珊瑚が砕けた白い砂の浜が続く。海は遠くまで透明に澄み、青い絹に銀の刺繍をしたように、陽はきらめくという。
そんな海岸に皆で座って、ゆっくりと人間の幸福について語りあいたいものである。
大きく茂るマングローブの「木の陰で」――。
根本的思索がなければ、一切が悪循環になるからだ。
ある学者は言った。
「日本を変えるのに今、必要なのは経済学者ではありません。哲学者と詩人が必要なのです」