Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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ラムオーバン市長 オーストラリア初のアジア系女性市長

随筆 世界交友録Ⅲ(池田大作全集第124巻)

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6  「心の鎖国」続く日本への警鐘
 オーバン市は、市民の五三パーセントが外国からの移住者。中国、ベトナム、フィリピン、レバノン、トルコ、インド、アラブ系等々、まるで「小さな地球」である。
 ラム議員は、移住者のための「アジア福祉センター」を一九九六年に設立。中国の広東市との姉妹交流、湖南(フーナン)省や長沙(チャンシャー)市との友好も進めてきた。
 数々の実績が評価され、九九年、市長に。同国初の「アジア系女性市長」の誕生となった。
 ラム市長の目が、まっすぐに見つめているのは、ただ「人間」である。
 「私は思うのです。文化が違うから仲違いするのではなく、違うからこそ、お互いにない良い面を学びあい、補いあうことが重要ではないだろうかと」
 すぐに「右へならえ」になる日本への大きな警鐘であろう。同質化を強要する「軍隊式の思考」が、いまだに抜けていないからだ。
 在日韓国・朝鮮人の方々の地方参政権すら認められていない。長らく日本に住んで、税金も納めているにもかかわらず。
 これ一つとっても、「日本ほど、ひどい差別社会は少ない」「心の鎖国・知性の鎖国が続いている」と非難されるのは当然であろう。
 2000年秋、人類の祭典オリンピック、そしてパラリンピックが開かれた。メーン会場となったのは、このオーバン市であった。
 ラム市長の奮闘は続いている。
 「私たちは今、歴史を転換させ、進歩させるかどうかの、大事な分かれ道にいるのですから!」
 今、世界のどこでも、「変革」の先頭に、女性が立っている。

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