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日蓮大聖人・池田大作

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新時代第14回本部幹部会 広布第2幕第1回全国婦人部幹部会

2008.1.10 スピーチ(聖教新聞2008年下)

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1  本年もまた、よろしく! 勝利の前進を!
 世界16カ国・地域のSGI(創価学会インタナショナル)の同志の皆様方、ようこそ、尊き研修に来られました。
 ありがとう! ご苦労さま!
 ブラジルの皆さん! 欧州の皆さん! 台湾の皆さん! シンガポールの皆さん! 韓国の皆さん! アメリカの皆さん!
 本当に、ようこそ、ようこそ! ありがとう!
2  新出発の婦人部の幹部会も、大変におめでとうございます!
 婦人部がいなければ、学会は成り立たない。
 広宣流布は婦人部で決まる。過去も、現在も、将来も、そうである。
 ますます、婦人部の皆様を大事にしよう!
3  芸術の花を!
 きょうは、華やかで、偉大な芸術部の皆さん方も参加されている。頑張っておられて、うれしい!
 皆で大いに応援してまいりたい。
 生涯、不退転の信心を貫いていただきたい。
 芸術部で花を咲かせていこう! 学会は、文化の団体なのだから。
 どうか、お元気で、さらなる活躍を! 芸術部は一人の存在が宝です。皆さんの姿を、私の胸に刻みつけておきます。ありがとう!
4  舞台は世界!
 さらに、スポーツ界で活躍する「創価勇勝会」の方々も、見えておられる。ありがとう!
 素晴らしい、勝利、勝利の歴史を残していただきたい。
 体に気をつけて、ケガをしないように、世界の晴れ舞台を目指して、頑張れ!
 また、無冠の友の皆さん、お体を大事に! 今年もよろしくお願いします!
 そして、成人式を迎える人も、おめでとう!
 親孝行している人?〈「ハイ」と返事が〉
 ちょっと返事のしかたが、あやしい。頼むよ!
 皆さんに会えて、うれしい。ありがとう!
5  女性を敬い女性に学べ
 ロシアの作家チェーホフは指摘した。
 「男性は女性の存在がなければ、愚かになる」
 婦人部や女子部を小バカにする人間を、絶対に許してはならない。
 日蓮大聖人は、広宣流布を進めるうえで、「男女はきらふべからず」と、男性と女性を平等に見ておられた。
 どうしても日本は、島国根性で、男性が威張る。女性を下に見て、からかう面がある。とんでもない間違いである。
 これまでの反逆者たちも、皆、共通して、女性に対して傲慢であった。生意気な態度で、偉ぶっていた。
 そういう愚かな人間は、もはや、だれからも相手にされない。
 男性が女性に対して威張る、思い上がった根性だけは、絶対に打ち砕かなければならない。そうでなければ、いかなる団体も勝利していけない。将来、永遠にわたって栄えていくことはできない。
 男性のリーダーは、真に、女性のために戦うことである。
 女性を大切にし、尊敬し、女性の意見に耳を傾けていけば、男性も賢くなれる。
 これが、大聖人の御心であり、戸田先生の教えであった。賢者の方程式である。
 尊き婦人部の皆様方、本年も、よろしくお願いします!
6  「本当の慈悲ある幹部を育てたい」
 師弟の歴史を、青年のために語っておきたい。
 “まさかが実現”と言われた昭和31年(1956年)の「大阪の戦い」の大勝利。
 「大作、行ってこい」との恩師の命を受け、私は勇んで大関西の地盤をつくった。
 この時、東京の古参の幹部には、「池田君が負けたら面白い」と思い、大阪が負けて、私がさびれた姿で帰ってくるのを待っている者もいた。
 冷たく、無慈悲であった。そうした悪い幹部は後に退転した。
 ――一体、何の異体同心か。何の同志愛か。
 戸田先生の深いお心など、何もわからず、己のことばかり気にして、いい人、勝つ人に嫉妬し、威張る。このままでは、断じていけない。
 将来の学会は、悪い心根のない、本当の慈悲のある、いい幹部を育てよう――こう私は決心したのである。
 戸田先生が理事長を辞任せざるをえなくなった時も、嫉妬で動く輩がいた。
 表では「戸田先生」と言いながら、裏でバカにする。そういう幹部もいた。人間の心というものは恐ろしい。
 私は、戸田先生に必ず第二代会長に就任していただくのだと心に決め、命がけで道を開いた。
 私が第三代会長に就任して以降も、同じように、嵐の吹き荒れた時期があった。すでに戸田先生は、おられない――。
 それらのすべてと戦い、勝ち進み、何もかも整え、今日の学会にしたのは、私である。
 師弟に徹することこそ、勝利の鉄則である。
 体が弱く、医師から「30歳まで生きられない」と言われた私が、信心の功力によって、本年、80歳を迎えることができた。
 私は、あらゆる広布の戦で勝利した。仏法は勝負だ。師匠に喜んでいただく。師匠の構想通りに現実を動かしていく。これは弟子の当然の道である。
 これからは若き君たちの時代だ。
 現在の恵まれた環境に甘えて、それが当然のように思ってしまえば、「本物」は、まったく育たない。
 まして、ずる賢く、自分だけいい子になって、要領よく振る舞うような人間は、戸田先生は絶対に信用されなかった。
 戸田先生は「信用できるのは、“青年の心”だ」と言われていた。私も青年に頼みたい。
 青年部の諸君、一緒に進もう!
 学会における「本物」は、戸田先生と不二の弟子がつくってきた歴史であり、行動である。
 青年部は、戦うのだ。
 学会の本当の実相、仏法の勝利の姿を、私は示してきた。この第三代の闘争に、続いていただきたい。〈「ハイ!」と力強い返事が〉。
7  冬は必ず春に
 「尊き婦人部」である。婦人部には、“尊い”という言葉がふさわしい。
 婦人部以上に、折伏した方々はいない。折伏をした人は、仏である。
 婦人部の皆様方の、世界を照らす希望の出発に「おめでとう!」と申し上げたい。
 戸田先生は、「婦人部が頼りだよ」とおっしゃっていた。
8  鎌倉時代、妙一尼という女性信徒がいた。
 彼女の夫は、信心ゆえに所領を没収され、大聖人の佐渡流罪中に亡くなった。
 妙一尼は夫を亡くした後、病気の子どもを育てていた。
 日蓮大聖人は、苦労を重ねてきた“お母さん”である妙一尼に、御手紙を送られる。
 そこには、「法華経を信ずる人は冬のごとし冬は必ず春となる」との、有名な一節が綴られていた。
 そして“法華経のために迫害された故聖霊(亡くなった夫)には、仏法のために命をかけた雪山童子や薬王菩薩と、同じ功徳があるのですよ”と、心を込めて励まされたのである。
 どんなに厳しい苦難の冬にも負けず、「人生の春」を迎えるための妙法である。
 また大聖人は「十字御書」で、正月の供養を届けられた純真な女性信徒に対し、「さいわいは心よりいでて我をかざる」と仰せである。
 婦人部の皆様方の「太陽の心の光で、新しい一年も「幸福の春」「歓喜の春」「勝利の春」を開いていただきたい。
 皆で、婦人部の皆さんに対して、立って大拍手をしよう!〈参加者が立ち上がり、婦人部の参加者に大きな拍手を送った〉
 ――婦人部を大事にしなければ、学会は危うい。権力主義と化してしまう。婦人部を大事にしていけば、平穏で平和で、朗らかに勝てる――こう、戸田先生もおっしゃっていた。
 仏敵とは、勇気の言論で戦うのだ。壮年部、男子部は、女性を守りきる、強い人になっていただきたい。
 そして、「女性から感謝され、賞讃される男性に!」と訴えたい。
9  母は慈悲の塊
 時代や国を超えて、母への讃歌は数限りない。
 ロシアの文豪トルストイは言った。
 「母について私が知る限りのことは、何もかもが美しい」(中村白葉訳「回想」、『トルストイ全集19』所収、河出書房新社)
 たとえ、高価な服など持っていなくても、上手に化粧ができなくても。
 私が知る母は、どこを見ても美しい――これが大文豪の心である。
 じつはトルストイは、幼くして母を亡くした。人から聞いた母の思い出を宝物のように大切にしていた。
 私の心に深く残った言葉である。
 これまで何度もお会いしてきたインド国立ガンジー記念館前館長のN・ラダクリシュナン博士は、言われている。
 「母という言葉は、どの言語においても、もっとも美しい言葉です」
 「母とは、どこにでも存在する人間であるだけでなく、人間存在における“最高善”でもあるのです」(栗原淑江訳『池田大作 師弟の精神の勝利』鳳書院)
 最高善――それが母の「本義」であると、博士は見ておられた。
 その通りであろう。
 ゆえに位が下だとか、家が貧しいとか、そういうことで、暗く沈んだりしては愚かである。
 母は、絶対的な善の存在である。
 母であること、それ自体が、慈悲の法則の塊である。人を幸福にしていく根源の力を持っているのである。
 それを忘れてはいけない。
10  微笑みに感謝
 19世紀フランスの科学者パスツール。
 伝染病の原因の解明などに尽力し、「人類の恩人」と讃えられる。
 この大科学者は、母への感謝を、こう述べている。
 「勇気あるお母さん。あなたの情熱を、あなたは私に移し伝えられました」(ヴァレリー・ラド著・桶谷繁雄訳『ルイ・パストゥール』冨山房。現代表記に改めた)
 母が懸命に情熱を注いでくれたから、今の私がある。深い報恩の心を表現した言葉である。
 また、ドイツの大音楽家ベートーベンは語ったという。
 「自分に良いところがあるとすればそれは母のかげお陰だ」と(小松雄一郎編訳『新編ベートーヴェンの手紙〈上〉』岩波文庫の注を参照)。
 ベートーベンもまた、終生、母への感謝を忘れなかった。
 さらに、20世紀を生きたアメリカの女性作家パール・バック。
 『大地』『母の肖像』などの作者として有名な彼女は、自らの母をこう讃えた。
 「母はどんな場合にも恐れたことがない」「(母は)微笑を惜まない」(村岡花子訳「母の肖像」、『ノーベル賞文学全集7』主婦の友社)
 そして、「(母は)最後まで若々しい精神を持ちつづけ、不屈不撓、寛大」(同)であったと。
 まさに創価のお母さんの姿である。
11  「人生は始まったばかり」
 先ほども触れたが、重ねて「成人式を迎える皆さん、おめでとう!」と申し上げたい。
 毎年、決意に満ちた新しい人材が次々と躍り出る。指導者として、これほど、うれしいことはない。
 ロシアの文豪ドストエフスキーは記している。
 「あなたはいままさに青春時代、若さにみちあふれて、人生ははじまったばかりです――なんとこれは幸福なことでしょう! 人生を見失うことなく、ご自分の精神を大事にし、真実をお信じになることです」(小沼文彦訳『ドストエフスキー全集15』筑摩書房)
 この言葉を新成人の諸君に贈りたい。
12  アメリカの同志が活躍
 きょうは、信頼するアメリカの友も来てくださっている。
 初代会長の牧口先生は、大著『人生地理学』で展望しておられた。
 「将来の文明統合地は正に米国にあり」(「文明地論」)と。
 第二代会長の戸田先生も、常々、教えられた。
 ――戦後の日本に、民主主義の根幹である「信教の自由」の道を開いてくれたのは、アメリカである。その恩返しをするのだ、と。
 「恩を忘れるな!」。それが戸田先生の厳命であった。
 今、わが妙法の同志が、アメリカ社会の中で生き生きと活躍し、平和のため、人々の幸福のために勇んで貢献している。
 牧口先生、戸田先生の二人の大師匠が心から喜んでくださっているであろう。本当に、ありがとう!
 アメリカの公民権運動の闘士キング博士の有名な叫びに、こうある。
 「われわれが今日世界で必要としているのは、正義と善のために立ち上がる人々の存在である」(梶原寿訳『真夜中に戸をたたく』日本キリスト教団出版局)
 世界190カ国・地域で、正義と善のために行動している、わがSGIの同志こそ、「国の宝」であり、「世界の宝」であり、「人類の宝」である。
 こう私は、恩師とともにに高らかに宣言したい。
13  「敵は星の運行に逆行している」
 アメリカの偉大な人権活動家で、社会学者、教育者であるデュボイス博士は語った。
 「命ある限り、人生の可能性を信じなさい。人間は、常に、より偉大な、より広大にして充実した人生に向かって生き、そして、進むのだ」
 わが学会も、前進また前進である。平和と文化の勝利に向かって!
 さらに博士は言った。
 「われわれの敵は、一時は優勢に見えようとも、星の運行に逆行している。正義と人間性は、断じて勝たなければならないのだ」と。
 正義と人間性に反する者は、いくら調子よく見えても、大宇宙の正しい道理と時の流れに逆行しているゆえに、必ず衰亡していく。それが歴史の方程式である。
 正義の創価は、断じて勝ち進もう! 朗らかに! 頼むよ!
14  誓いの響き高らかに!
 わがブラジルの交響楽団の皆さん、日本一の音楽隊と一緒に、世界一の名演奏、本当にありがとう!
 15年前、サンパウロ近郊に広がる、忘れ得ぬ自然文化センターで、私は、ブラジルの交響楽団の皆さんに申し上げた。
 「世界第一を目指そう! 世界各国で演奏して、いつの日か、日本へ凱旋の公演を!」と。
 皆さんは、そのとき、元気に手を振って、約束してくれた。
 そして、真剣に祈り、戦いを開始した。
 広大なブラジルでは、練習に集まるのも、どれほど大変なことか。
 いかなる試練も乗り越えて、皆さん方は、これまで世界の35都市で公演し、50万人もの人々に、希望の演奏を贈ってきた。
 貴国の大統領の前でも、堂々と演奏を行ったことは、よく存じ上げている。
 そして、きょう、その日がやってきた。日本への凱旋が見事に実現した。
 師弟の約束を厳然と果たしてくれて、本当にありがとう! 私はうれしい!
15  19、20世紀のブラジルの音楽家ヴィラ=ロボスは語った。
 「音楽は、良き響き、調和の讃歌によって、平和を呼び出し、人類を導く。そして、音楽は、人類が理解し合い、生命の尊厳を讃え合い、人間同士が歓びをもって生きていくことを教えてくれる最良の模範である」
 日本でも、世界でも、音楽隊、鼓笛隊、合唱団の皆さん方の活躍によって、広宣流布が大きく推進された。
 私たちは、最高の感謝の拍手をもって讃えたい。
 皆さんの団結の響きによって、私たちは、どれほど勇気づけられてきたことか。音楽もなく、合唱もないところに、歓びはない。発展もない。
 暗く冷たいコンクリートに囲まれて生きているようなものだ。
 音楽隊、鼓笛隊、合唱団の皆さん方こそ、平和と文化の担い手であり、指導者である。
 創価の妙音菩薩として、人々を励まし、奮い立たせてきた大功徳は、三世永遠に響きわたっていくにちがいない。
 全員で、「万歳!」を贈りたい。〈感謝の心をこめ、全員で万歳三唱した〉
16  “我らの対話が人類を家族に”
 私が、大歴史学者トインビー博士から、対談を要請する丁重な書簡をいただいたのは、1969年(昭和44年)であった。
 書簡には、「現在、人類が直面している諸問題に関して、二人で有意義に意見交換できれば幸いです」と綴られていた。
 この時、博士は、おいくつであったか。みずみずしい、そして若々しい80歳であった。
 トインビー博士は叫ばれていた。
 「私たちはこの地球上を永続的な平和と社会正義の状態におく転期にあるのかもしれない」
 そして博士は、私たちが「危機の時代」に生きているなら、それを「よい方向に転ずるようにできるだけのことをすれば、私たちは黄金の時代の先駆者となる可能性が多い」と述べておられる(松本重治編訳『歴史の教訓』岩波書店)。
 そのトインビー博士が「世界的な出来事」と言って期待してやまなかったのが、私たちの創価の「人間革命」の大運動であった。
 2年越しの対談の結びに、トインビー博士は、私に強く語られた。
 「私たちの対話が意味するものは、人類全体を一つの家族として結束させる尊い努力です」
 当時は米ソ、中ソが対立していた。
 博士は、私が「日本とソ連」「日本とアメリカ」「日本と中国」の対話を重ねていくならば、「ソ連とアメリカ」「ソ連と中国」の対話へと発展していくであろうと期待してくださった。
 私は、この博士の言葉通りに、世界を対話で結び、人類の連帯を築いてきた。
 創価の対話は“世界のも最も偉大な模範”“現代の閉塞状況を打ち破る鍵”――このように、今、最高峰の知性が信頼を寄せてくださっている。
 私への、トインビー博士の第一声は、「さあ、語り合いましょう!」であった。
 今年も、世界中に「対話の旋風」を巻き起こしてまいりたい。
17  強き祈りを! 最高の努力を!
 今年は、北京オリンピック――。
 その慶祝の意義を込めて、東京富士美術館(八王子市)で5月3日から「大三国志展」が開催される。〈5月には、同美術館の「新館」がオープンする予定〉
 これには、中国国家文物局の協力をいただき、わが国の国宝にあたる「国家一級文物」が展覧される。
 あの「赤壁の戦い」で有名な赤壁の遺跡から出土した鏃なども展覧される予定である。
 「赤壁の戦い」は、西暦208年、今から1800年前に繰り広げられた。ご存じのように、孫権と劉備の同盟が、知略をもって、圧倒的な曹操の大軍を打ち破った戦いである。
 これにより、「天下三分の計」という諸葛孔明の展望へ、大きく時代が動いていった。
 「知恵」である。我らにとっては、偉大なる御仏智を引き出す「信心」「祈り」である。これこそ、最も強い力なのである。
 そして最高の「努力」。そこに勝利は生まれる。
 頑張ろう!〈「ハイ!」と力強い返事が〉
 戸田先生は、このことを何度も話された。そして、『三国志』を読むように言われたのである。
18  王道と覇道
 「赤壁の戦い」の時、孔明は数えで28歳。思えば、私が「大阪の戦い」で大勝利を打ち立てたのも、ちょうど28歳の時であった。
 きょうは、28歳の人はいるだろうか。〈元気よく返事が〉
 皆さんのような若い時に、どれだけの戦いをし、成長を遂げ、歴史を残すことができるか。これで、人生は決まる。
 かつて戸田先生は、『三国志』には「覇道」と「王道」の戦いが描かれていると教えられた。
 「覇道」は、いわば権力によって民衆に君臨するいき方である。
 それに対して、「王道」は、人間主義の力によって民衆を守り、戦いゆくいき方である。
 この「王道」を貫いたのが諸葛孔明であった。
 そして、学会こそ、現代にあって、真に「王道」を進みゆく団体である。このことを、きょうは言い残しておきたい。
 私は、命をかけて戸田先生に尽くし、学会を発展させてきた。それが、最大の誇りである。
 卑劣な迫害も受けた。忘恩の退転もあった。
 しかし私は、学会の「王道」を守るため、難を一身に受けて戦い抜いてきた。
 永遠に正しい、「王道」の学会を――それが私の願いである。
 これからも、愛する青年のため、新時代に輝く最高の正義の城を、完壁に築き上げていく決心である。
19  ここで、諸葛孔明の指揮から学ぶべき点を、思いつくまま何点か挙げたい。
 一つは「人材の登用」である。
 「人材を推挙するほど忠義で利益になることはない」と、孔明は述べている。
 孔明は身分の序列などにとらわれず、力のある人間、優れた人間を抜擢し、適材適所に配置していった。
 また、自分の好き嫌いで人を判断するのではなく、正しく人物を評価することを訴えている。
 次に、「団結の重視」である。
 孔明は、戦いにあたり、全軍の心を一つに団結させるべきだと論じている。
 また、団結を乱す輩は、厳正に処罰した。
 さらに「情報の収集」である。
 人々からの報告を大切にするとともに、建設的な意見を出すよう、自ら人々に呼びかけている。
 傲慢にならず、油断せず、多くの人の意見を謙虚に聞いた。そして、情報の真偽についても、冷静に見極めていった。
 また、「味方をつくった」ことである。
 周辺の少数民族とも、積極的に連帯を結んだ。
 無駄な争いはしない。
 むやみに敵を増やすようなことはしない。それが、彼の作戦の一つであった。
 そして孔明は、「号令がはっきりしていた」。
 “これをやろう”と、戦いのホシを明快に示した。
 さらに孔明は、「自ら先頭に立って働き、全責任を負った」。
 自分は楽をして、人にばかりやらせるのは、リーダー失格である。一番の組織悪である。
 自ら先頭に立ち、自分が道を開いて、その上で、指揮を執るのである。
 ともあれ、戸田先生は諸葛孔明を論じて、深き心で言われた。
 「学会は、人材の城でいなくてはならない」
 「広宣流布のときには、孔明の如き人材が、世界から出てくるのだ」
 どうか、全員が「創価の諸葛孔明」となり、新時代を開く名指揮を執っていただきたい。〈「ハイ!」と力強い返事が〉
 〈諸葛孔明については編集部でまとめる際、陳寿著・裴松之注・井波律子訳『正史 三国志5』ちくま学芸文庫、章映閣著・村山孚訳『《史伝》諸葛孔明』徳間書店などを参照した〉
20  「勝たなければ永続できない」
 ここで世界の先哲の言葉を紹介したい。
 釈尊は語った。
 「他者の後を行くのでなく、他者の前を行く人。そのような人こそ聖者であると賢者は知る」
 自分が道を開く。自ら率先して行動する。それが聖者の条件だというのである。
 アメリカの第3代大統領ジェファソンは、娘にあてた手紙に綴った。
 「短い若い時代をいかに活用するかによって、我々の将来は決まるのだ」(明石紀雄著『モンティチェロのジェファソン』ミネルヴァ書房)
 青春時代は、あっという間に過ぎ去ってしまう。だからこそ、徹して学び、自身を鍛え、人生を勝利するための土台を築いていくことだ。
 古代ギリシャの哲学者プラトンが、弟子たちに送ったとされる書簡には、こう記されている。
 「邪悪で不正な者どもに対して防衛できる知、ないしは一種の撃退能力というものも、必要でしょう」(長坂公一訳「書簡集」、『プラトン全集14』所収、岩波書店)
 悪や不正とは断じて戦う。言論の弾丸で打ち破る。そういうリーダーで一あっていただきたい。
 ドイツの大文豪ゲーテは述べている。
 「実践または忍耐によって改善することのできぬような境遇は存在しない」(小口優訳『箴言と反省』春秋社、現代語に改めた)
 仏法では「宿命転換」を教えている。どんな苦難も必ず乗り越え、幸福の方向へと変えていくことができる。
 信心によって、自分自身の宿業を転換していくことができるのだ。
 また、第2次世界大戦における、連合軍の「ノルマンディー上陸作戦」の名将であったモントゴメリーは言った。
 「いかに偉大な指導者であっても、勝たなければ永続するものではない。戦いがすべてを決めるのである」(高橋光夫・舩坂弘訳『モントゴメリー回想録』読売新聞社)
 ナチスと戦ったドイツの大文豪トーマス・マンは手紙の中で記した。
 「何はともあれ、まず勝利することだ」
 私たちの平和と幸福のための闘争もまた、断じて勝ち続けなければならない。
 仏法は勝負であり、人生も勝負だ。
 負ければ惨めであり、不幸である。反対に、勝てば楽しいし、皆が喜ぶ。新たな道を開くことができるのである。
21  嘘を許すな
 フランスの思想家ルソーは綴った。
 「宗教というものをいっさい忘れてしまうとは人間の義務を忘れることになる」(今野一雄訳『エミール〈中〉』岩波文庫)。
 その通りだ。精神性や哲学を失ってしまえば、人間は人間でなくなってしまう。動物のような生き方になってしまうだろう。
 一流の思想家の洞察は、まことに鋭い。
 ロシアの文豪チェーホフ。彼は、小説の中で登場人物にこう語らせている。
 「悪徳を甘やかすなと言うのさ」(『チェーホフ全集8』神西清訳、中央公論新社)
 悪徳を許せば、その悪影響は、どんどん周りへと広がっていく。
 彼は、小説でこうも綴っている。
 「嘘ばかりついてきたんで、骨の髄まで腐れはてちまった」(『全集6』原卓也訳、同)
 「嘘ほど人間を卑しめるものはありませんからね」(『全集5』同)
 嘘というのは恐ろしい。周りを欺くだけでなく、自分自身の人間性をも破壊する。
 同じくロシアの文豪トルストイは記した。
 「人間は本来、高みへ、高みへと飛翔していける羽をもっているのだ」
 いい言葉である。
 高みへ、高みへと昇りゆく力。それが妙法であり、私たちの信心である。
22  皆、健康で! たゆまず進め
 ドイツの大詩人ゲオルゲを、ご存じだろうか。
 かつて、この詩人の展示会をSGIのドイツ総合文化センターで行った。その際、統一ドイツのヴァイツゼッカー初代大統領が、会館を訪れてくださったことは忘れ得ぬ歴史である。
 今、世界の多くの指導者や識者が学会の人間主義の運動に賛同し、高い評価を寄せてくださっている。
 私は、これまで世界平和のために、あらゆる手を打ってきた。決して簡単なことではなかった。それが今、大きく花開いている。
 戸田先生は私を本当に大切にしてくださった。私は、先生の不二の弟子として、世界広布を前進させてきた。
 すべて先生のおっしゃるとおりにやってきた。
 真実の師弟ほど、荘厳なものはない。偉大なものはない。
 どこの世界でも、大きな団体でも、こうした“根幹”がしっかりしているところは強い。歴史に残る存在となっている。
 ドイツの詩人をはじめ、私は青春時代から多くの詩や文学に親しんできた。
 戸田先生からも「今、何を読んでいる?」「何が書いてあった?」「感想を言ってみなさい」としょっちゅう聞かれた。
 飛行機でも列車の中でも、すべてが教育の場だった。ほっとするひまなどなかった。
 ともあれ、ゲオルゲは、こう綴っている。
 「滔々と流れぬ限り水はともすれば濁るのだから/私たちの精神はしばしばおのれの限界を突破する」(富岡近雄訳『ゲォルゲ全詩集』郁文堂)
 停滞は、よどみを生む。戦わなければ、私たちの精神は濁ってしまう。常に前へ、前へと進みゆくことだ。
 以上でスピーチを終わりたい。新年の幹部会、ありがとう!
 皆、健康で、成長して、勝利者になっていただきたい。私も一生懸命に祈っていきます。 諸君も頼むよ!
 〈ここで名誉会長の導師で唱題を行った〉
 長時間、本当にご苦労さまでした。いい1年間でありますように!
 勝利の年に! きょうは、本当にありがとう!

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