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日蓮大聖人・池田大作

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第1回北海道青年部総会 風雪の歴史輝かす妙法の勇者に

1973.9.9 「池田大作講演集」第6巻

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4  未来の可能性に挑戦
 さきほど引用した「日本の文化地理」の別のところでは、“道民性に関するある報告”として、次のように述べておりました。
 「昭和十年、全道小学校長会議は、北海道庁長官に道民性に関する答申をした。そこで道民性の長所としてあげられたのは、積極進取・気宇拡大・堅忍持久であり、短所は敬神崇祖の念に乏しいこと、愛郷心・土着心の乏しいこと、強力性に欠けること、投機心が強いことなどである。長所については多少表面的好意的理解がみられるが、短所の方にむしろ北海道的特性があらわに感ぜられる」と書かれてあります。これは私がいったことではありません。(笑い)
 昭和十年といえば、約四十年前のことであります。当時は、多分そのような道民性であったかもしれません。そのころは他の国内からの移民、移住者が活動した時代です。
 したがって、消極的で気が小さく、また忍耐力の乏しい人が移住者として、新天地へ飛び込んでくるわけがありません。雄大で荒々しかったこの北海の大地で生活を始めれば、ここに述べられているような長所はますます育っていったでありましょう。
 短所として項目にあげられた諸点も、当時ではそうだったと、私には考えられる。生まれ落ちた郷土でない所に開拓に北のでありますから、愛郷心がなかったのも当然である。
 よりよい土地、よりよい職業を求めて必死に生きぬこうとしたのでありますから、土着心ができようはずもない。投機心が強いといっても、農業でさえ小豆などの投機的な農作物しか作るものがなかった時代でありますし、また敬神崇祖といわれても、生活に手いっぱいで精神的ゆとりがない立場であったのでありましょう。戦前の諸君のご両親までの時代はそういうわけでやむをえなかったと、私は考える。
 北海道が暮らしやすい天地になったのは、きわめて最近の現象といってよい。だが、戦後の現在は、出稼ぎと移住の時代は、はっきりと過ぎ去りました。この新天地で誕生した人々の時代がやってきたわけであります。まさしく北海道こそ、諸君の立派なる誇るべき故郷なのであります。
 北海道は他の府県のように、地域分裂などというわずらわしい経験はしていない。この百年間、つねに全道一体のもとに開発されてきたし、各府県のような伝統的な障害は、社会的にも心理的にもまったくなかったといってよい。
 関東で、各府県が利根川の水争いをするというような、また青森県内で、津軽側と南部側が心理的対立を長くしている、というような伝統的な妨げは、ここにはない。気風としても自由であって、陰湿なかげがない。これはまったくよいことであります。ひじょうに優れた未来性がある国土世間であります。
 開発基盤がだんだんと整い、新しい文化形成にも力が出てきた。日本全土の5分の1にあたる雄大な国土に、いわば初夏の太陽が昇り始めたと、私はみたいのであります。
 諸君は五百万道民の一人として、これから三十年、四十年の未来を背負っているのであります。北海道の魅力あふれる可能性へ立ち向かっていく勇士であります。丈夫であります。
 明治の開道初期の指導理念は、ピューリタニズムであった。開道百年を過ぎたいまは、北海道は第二世紀、すなわち第二章の初頭にあたっております。今度は、その指導理念、および道民の精神の柱は妙法という生命哲理でなければ断じてならない。そうあらしめるために、ひとえに諸君の力が必要となってくるのであります。
 私はそれを深く期待してやまないしだいであります。私も北海道の諸君とともにがっばってまいりますから、しっかりお願いします。(大拍手)
 最後に、諸君のご健康とご多幸を心からお祈りし、またご来賓の方々にも、一同に代わって厚く御礼申し上げます。また、設営関係の方々に心から御礼申し上げます。もし車で、遠くへ帰られる方もいるならば、十分に休息をとって、大切な体であるがゆえに事故のないように十分注意していってください。来年の九月にでも第二回の青年部総会を開催し、皆さん方の成長した元気な姿と再びお目にかることを楽しみにして、私の話を終わらせていただきます。(大拍手)

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