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日蓮大聖人・池田大作

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第3回創価大学入学式 ”創造的人間”たれ

1973.4.9 「池田大作講演集」第5巻

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8  再び新たな人間復興を
 ともあれ、現代文明はある意味において、まさに転換点に立っていると言っても過言ではありません。それは、人類が果たして生き延びることができるがどうかという、重大な問題提起もはらんでおります。戦争兵器がもつ平和への驚異はもちろん、進歩に対する誤った進行が、人類の死への行進を後押ししている現代であります。人類が生き延びるために、我々はいったい何をすればよいのか。いったい何ができるのか。先見の明をもつ学者のあいだでは、それが真剣な討議のテーマになっている。
 こうした現代にあってこそ、再び新たな人間復興が必要である、と私は叫びたい。それは、人間中心主義、人間万能主義のそれではなく、人間が他のあらゆる生物の仲間として、いかにすれば調和ある生をたもつことができるかという意味での人間復興であり、人間が機械の手足となるのではなく、機械を再び人間の手足とするには、どうすればいいかという意味での人間復興であります。
 ここで私は、このネオ・ルネサンスともいうべき人間復興への要請に対して、いまこそ、その重要な分野として、哲学・思想・学問におけるネオ・ルネサンスを必要とするのではないか、と考えるのであります。学問への新たな意欲を人類が注ぐならば、そして先見の眼を開くならば、人類が生き延びるための新たな哲学・思想が確立されるにちがいない。そしてそれは、たんに人類が生き延びるためという消極的な目標を越えて、新たな人間讃歌の文明が築かれていくことと信じるのであります。
 この、これからなさねばならない壮大な人類の戦いの一翼を、創価大学が担うならば、そして、少なからぬ貢献をなしうるならば、創価大学の開学の趣旨も結実した、と私は思うのであります。
 大学におけるこの仕事は、決して容易ではないと思われる。また短時日のうちに結論の出るものでもない。地道な研究の積み重ね、厳密な討論、旺盛な意欲を幾年にもわたって継続することを要するのは明らかであります。なによりも、それは創価大学に属する人々、また将来、志を同じくして加わってくるであろう人々の全員が、一つの生命体となってこそ、その開花をもたらすことが可能となるのであります。どうか、一人ひとりが創価大学の代表者であるばかりでなく、創立者であるという誉れと自覚をもって、充実した学園生活を送り、更に豊かな人生への跳躍台としていっていただきたいことをお願いするものであります。
 最後に、私のこれからの最大の仕事も教育であり、私の死後三十年間をどう盤石なものにしていくかに専念していく決心であります。それは、二十一世紀の人類を、いかにしたら幸福と平和の方向へリードしていけるか、この一点しか、私の心にはないからであります。
 その心から、私は皆さんに、人類の未来を頼むと申し上げておきたい。また、教授の先生方にも、学生を立派に育てて戴きたい、衷心よりよろしくお願いいたしますと懇願し、全人類に創価大学ここにありとの誇りと期待を込めつつ、私のあいさつとさせていただきます。(大拍手)

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