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日蓮大聖人・池田大作

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2 健康と病気  

「健康と人生」ルネ・シマー/ギー・ブルジョ(池田大作全集第107巻)

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2  良い行為には必ず良い報いが
 池田 それに付随して、栄養について、質問をさせていただきます。
 ズバリ、頭のよくなる食べ物というのはありますか(笑い)。かつて、現代化学の父であり、ビタミンCの研究でも有名なアメリカのポーリング博士に、「頭のよくなる薬はありますか」と、うかがったところ、困った顔をされたことがあります(笑い)。学問的に「こうだ」という結論でなく、示唆でけっこうです。
 ブルジョ いや、私は栄養士ではありませんから、何ともお答えのしようもありませんが、私の妻はその方面の専門家です。その妻から以前に、子どもが朝食をとらないと、学校での勉強や活動が十分にできないと聞いたことがあります。ですから二十年前、モントリオールでは、「子どもが朝食をとれるようにする」ための対策がありました。
 池田 教育者のフレーベルは『人間の教育』の中で「食料や食品によって、子どもは、怠惰にも、勤勉にも、因循にも、快活にも、遅鈍にも、敏活にも、無力にも、旺盛にも、なりうる」(荒井武訳、岩波文庫)と言っています。
 ところが、日本では、朝食をとらない子ども、朝食をとれない子どもがふえていると言います。
 ブルジョ 脳細胞への栄養が不足すると、脳細胞が永久に破壊されてしまうことはわかっています。
 このように、知性と食物についてのマイナスの関係性は証明されているのですが、私の知るかぎり、プラスの関係性は立証されていません。
 池田 脳科学や栄養学の実証的な研究が待たれるところですね。
 ところで、博士自身が実践しておられる健康法はありますか。
 ブルジョ 高校時代に、スポーツを一切やらないで、本ばかり読んでいたので、教師から言われたのは、「気をつけろ。木曜日までに死ぬぞ」と。(笑い)
 その私も、もう六十歳を過ぎました。予言や予知といったものを、くつがえしたいという天邪鬼なところが幸いしたかもしれません。(笑い)
 母からは、「おまえは、すばらしい批判の精神を発達させている。たとえば、おまえがもし川に落ちて溺れたとしたら、おまえの死体を下流のほうじゃなくて、上流の方へ行って探す」と。(笑い)
 もちろん、これはまじめな話題ですが(笑い)。それ以来、私は、二つだけ、健康のために心がけていることがあります。
 池田 読者のためにも、ぜひお聞きしたいと思います。
 ブルジョ その一つは、問題を積極的に解決していくということ。たとえば、一つの問題を乗り越えていくというか、要するに、一つの問題を仮にベストではないにしても、ともかく解決していこうとする。そして、自分が解決した後は悩まない、忘れる。過去にとらわれない。
 池田 仏典(「ダンマパダ」)で、釈尊は、善悪の判断について説いています。
 「もしも或る行為をしたのちに、それを後悔して、顔に涙を流して泣きながら、その報いを受けるならば、その行為をしたことは善くない。
 もしも或る行為をしたのちに、それを後悔しないで、嬉しく喜んで、その報いを受けるならば、その行為をしたことは善い」(『ブッダの真理のことば感興のことば』中村元訳、岩波文庫)ことである。
 仏法は、主体的、精神的に生きることを重視します。良い行為をすれば、必ず良い報いがある――それが仏法の“因果律”です。
 それを信じて、過去にとらわれず、良い行為を決然として実行する。博士の生き方は、仏法者の行為と軌を一にするようです。みごとな“心の健康法”です。
 ブルジョ 第二は、よく散歩します。一日に、少なくとも三十分は散歩しています。エレベーターがあっても、階段は歩いて上ります。本当に単純なことだと思いますが。それと、バランスのある栄養をとるように心がけています。
 しかし、基本的には遺伝的なものがあるのではないでしょうか。それぞれの人間の生き方や人生観までが遺伝子に支配されているわけではありませんが、健康であるということは、多分に遺伝的なものによると思います。

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