Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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革命に殉じ生涯戦う カストロ キューバ国家評議会議長

随筆 世界交友録Ⅰ Ⅱ(前半)(池田大作全集第122巻)

前後
7  ただ、ここには「わが理想のためなら命も惜しくない」と定めた一人の人物がいた。
 そして革命に殉じた同志の思いを夢寐にも忘れぬ人がいた。
 独裁政権に逮捕され、拷問された同志たちは、民衆の勝利を彼に託して、死んでいった。(五三年七月のモンカダ兵営襲撃のあと)
 アメリカ軍の侵攻で傷ついた青年は、流れ出る自分の血で議長の名前を板に書き、死んでいった。(六一年四月)
 彼らの心を、どうして忘れられょうか。
 初一念を貫く、悪戦苦闘の革命家。私は、わが青春のモットーを想起した。
 「笑う者には、汝の笑うにまかせよう。謗る者には、汝の謗るにまかせよう」と。
 私は仏法者である。仏法者に、反米もなければ、反キューバもない。相手がだれであれ、「平和」の追求という基本の精神が一致するならば、人間として対話の可能性を探し、連帯への新しき道を開いていくことが正しいと信じている。
 一時間半の会見では、コスイギン首相(ソ連)、周恩来総理(中国)、ポーリング博士(米)はじめ、共通の知人についても語りあった。また、ともに愛読するホイットマン、ユゴーついても。
 そして、そのほか数々の私の苦言をも、議長は寛大に受けとめてくださり、一言われたのである。「友情に感謝します!」と。
 コロンブスが感嘆した「人間の目が、かつて見たことのないほど美しい島」キューバ。
 あわただしい滞在を終えて、数週間後に日本に帰ると、キューバへのアメリカの経済制裁強化法(ヘルムズ・バートン法)が、国際世論の怒りの前に凍結されたというニュースが飛び込んできた。
 (一九九七年八月十七日 「聖教新聞」掲載)

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