Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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明暗  

小説「人間革命」7-8巻 (池田大作全集第147巻)

前後
36  朝鮮戦争(韓国戦争)休戦後の、わが国の経済界の状況はどうかといえば、特需依存は昔日の話となり、アメリカの経済援助も空しい期待に終わり、前途の見通しも暗澹としてきた。ほそぼそと自立経済に向かわなければならなくなった。国際収支は悪化し、経済的危機は、日本列島に重く覆いかぶさってきたのである。
 近江絹糸などの長期ストライキをはじめとし、数々の争議が各所で始まった。国際情勢は冷戦の重圧、政局は不安、経済界は前途に光明を見いだすととなく、危機的な世情のなかで、国民は暗い表情を余儀なくされていた
 このような重苦しい世間をよそに、貧しい日常のなかで、ひたすら希望に燃えた瞳を輝かせている一団があった。それは、戸田城聖に率いられた創価学会である。全国民からすれば、芥子粒ほどの少人数で、全く社会に埋没しているように見えたが、光るものは、明るく光っていた。
 この年に、光は急速に増大しつつあった。世間も、ようやく、この光を無視できないところまでしたが、不思議な光を光として信ずることを拒否し、批判の砲火を浴びせ始めた。しかし、この不思議な光は、当時の社会の闇がいかに黒かったか、その明暗を色濃く照らし出したのである。

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