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日蓮大聖人・池田大作

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胃腸病 「胃」の病は「意」の病

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

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14  リズム正しい生活が肝要――食物は平均四十八時間は体内に
 池田 ところで、食べたものは食道を通り、胃を通り、小腸を通りと、ずいぶん、長い道のりを行くわけですが、どれくらい体の中にあるのですか。
 豊福 健康な人だと、平均四十八時間くらいとされます。
 森田 そのリズムが狂うと「下痢」とか「便秘」ということになるわけです。
 池田 「下痢」のときは、どうすればいちばんいいのですか。
 上東 ひどい下痢が続いた場合、水分が体の外に出てしまい、脱水状態になる心配があります。体温に近いぬるめの湯茶などで「水分を十分に補う」ことが大切です。
 豊福 食事は、腸を刺激しないものを心がけてください。控えたほうがよいのは、食物繊維や脂肪、香辛料・アルコールなどの刺激物、炭酸飲料などの冷たい飲み物などです。
 池田 下痢止めなどの薬で、注意する点はありますか。
 上東 下痢には、「有害な物質をできるだけ早く外に出してしまおう」という場合もあります。ですから、食中毒などによる下痢や、食べすぎ・飲みすぎなどによる下痢の場合は、薬で無理にとめようとすると、かえって悪化することがあります。
 森田 熱が出たり、吐いたりした場合や、下痢が繰り返して長く続く場合は、早めに病院に行って、原因をつきとめるようにしてください。
 池田 「便秘」に悩んでいる人も多いようですね。排便が何日ないのを、便秘と言うのですか。
 上東 便秘と感じる状態は個人差があります。二、三日に一回ぐらいでも、きちんとしたリズムですっきりと排便ができるようなら便秘とは言いません。問題なのは、「おなかが張る」「食欲がおちる」「排便後もまだ便が残っているような感じがする」場合です。また「以前に比べて便が硬くなり排便に時間がかかるようになった」「日に一回あったのが急に三日も四日も出なくなった」という場合も注意が必要です。
 池田 慢性の便秘は、何かの病気が原因の場合もありますか。
 上東 はい。炎症や悪性腫場など、腸の病気の可能性があります。頑固な便秘は早めに病院に行ったほうがいいと思います。その結果、病気でないことがはっきりしたら、生活習慣を今一度、点検してみることです。
 池田 どんな点に注意したらいいのですか。
 上東 まず「生活のリズム」です。人間の体は、食べた物が胃に入ると、その刺激が腸に伝わり、便意が起きる仕組みになっています。このタイミングを逃さないように、排便するほうがいいのです。
 森田 とはいえ朝は何かと忙しく、朝食をぬいたり、また通勤・通学のため、便意が起きても我慢することがあります。
 上東 それが問題なのです。せっかく便意が起きても、それを我慢していると、そのうちに排便のリズムが狂ってしまうのです。ですから、三食を規則正しくとり、胃腸のリズムを整えていくことが、便秘予防の第一のポイントです。
 豊福 水分は便をやわらかくしますので、十分にとってください。朝、起きてすぐに水や牛乳を飲むのも効果があります。
15  薬はあくまで補助的な手段
 森田 運動不足も便秘の原因です。運動不足が続くと、胃腸の運動を調節している自律神経のバランスがくずれたりします。すると腸の運動がスムーズにいかなくなるんです。
 池田 食事の内容で気をつける点はありますか。
 上東 タンパク質やデンプン質ばかりを食べていると、便の材料になる食物繊維が不足して、腸の運動が鈍ります。
 下痢の場合とは反対に、野菜や果物、こんににゃく、海藻・きのと類などで食物繊維を多くとってください。
 池田 下剤などの薬を常用している人もいるようですね。
 上東 下剤や浣腸などを、必要以上に使い続けていると、かえって腸の働きが鈍くなる場合が多いのです。排便のリズムがもどつできたら、薬も必要なくなります。
 また中年以後、急に便秘が始まり、続く場合には、便の通り道にがんなどができている場合があります。そうすると、下剤が一時的に効いたとしても、そのために、かえってがんの発見を遅らせる場合があります。
 豊福 便秘の治療は日常生活の注意が基本で、「薬はあくまでも補助的な手段」と考えるべきです。
 頑固な便秘ほど、気長にコントロールしていく心構えが必要です。
16  はつらつたる喜びは腸を活発化
 「腸が世界を支配する」(フアーブル)という言葉があります。少しむずかしい表現ですが、「腸が人間を左右し、人間が世界を左右する」という意味でしょうか。腸は食物から生命活動のエネルギーを吸収するところです。いわば活力を生む源です。腸がはつらつとしていなければ、はつらつたる活力は出ない。そのためにも、健康管理とともに、はつらつたる一念が大事です。「喜びは腸を活発にし、憂鬱は腸を沈滞化させる」とも言われる。
 どうせ生きるならば、生き生きと生きたい。どうせ毎日を前進するのだから、喜びをもって前進したい。自分自身が、「自分自身の生命の医師」となって、上手に心身を整え、満々たる生命力で、すばらしい充実の日々としたいものです。

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