Nichiren・Ikeda
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10 強制収容所を生きのびた力
池田 いろいろな困難にぶつかったとき、どう乗り越えていくか。それも「想像力」です。
ナチスの「ユダヤ人強制収容所」を知っていますか。六百万人もが犠牲になったとされる、あの地獄の中で、何とか生きのびた人たちがいた。いったい、どんな人だったか。
それは、必ずしも″体が強い人″ではなかった。むしろ、どんな苦しい状況になっても、想像力を失わなかった人だったといわれている・(ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』池田香代子訳、みすず書房、参照)
―― ……苦しくても、「想像力」があったから希望をもち続けられたのですね。「いつか、きっと自由になれる!」と。
池田 そのとおりだ。「希望」は、日の前の現実に負けない「想像力」から生まれる。
また、想像力の豊かな人は、人の心の痛みがわかるようになる。こんなことをしたら、相手はイヤだろうな。苦しむだろうな――そう想像をめぐらせる「心の力」がある。
反対に、みんなが「活字離れ」になった社会は、「思いやりのない社会」になると私は思う。それを今、心配しているのです。
―― なかには「本を読もうとは思うのですが、自分に合った本を見つけるには、どうしたらいいんでしょうか」という人もいますが……。
池田 そんなことを考えているひまに、一ページでも読むことだ。(笑い)
別に、机に向かって読むだけが「読書」じやない。ちょっとした時間に読んだものが、案外、心に残っているものです。
だから、まず「いつも本をもち歩く」ことでしょう。ポケットやカバンに入れるとか、肌身離さない。読まなくてもいいから、とにかくもっている。(笑い)
私も青春時代、本を手放さなかった。夏の暑い時など、涼しい墓場に行って読んだものです(笑い)。
当時は、クーラーはないから。蚊が多くて、困ったけどね。(笑い)
―― 大学受験のセンター試験で、最近十一年間で上位に入った人たちに、「小・中・高で何に熱中したか」を調査したそうです。すると、多くが「読書」という答えでした。長い日で見ると、受験にも、読書は大きな武器になるのですね。
今、「朝の十分間読書」運動が、全国の三千五百の小・中・高の学校で取り入れられています。一日の授業が始まる前の十分間に、全校生徒と教師がいっしょに読書をするんです。「みんなでやる 毎日やる 好きな本でよい ただ読むだけ」が、モットーだそうです。
池田 とてもいいことだね! 夏休みには、「わが家の朝の十分間読書」をやってもいいかもしれないね。お母さんもいっしょに。(笑い)
ともかく、みなさんは若い。頭と心の柔らかな今こそ、思うぞんぶんに、本を読んでもらいたい。
本の世界は「第二の宇宙」です。その広大な世界を、自由自在に旅行できる人になってください!