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日蓮大聖人・池田大作

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民衆の大地に根差して  

「大いなる魂の詩」チンギス・アイトマートフ(池田大作全集第15巻)

前後
10  池田 権力者は、民衆の“魂”が目覚めることを恐れます。十年一日のごとくに眠りこけ、動かぬことを望みます。また、民衆も目覚めの権利を放擲し、すべてを権力者にゆだねる習性がついてしまう。
 しかし、ひとたびその呪縛が解けるや、民衆の“魂”は活発に、ときには支離滅裂なまでに動き始めます。フランスの歴史家トクヴィルも言うように「民主主義時代には、あらゆるものの動きのうちでも、めだって動いているものが、人間の心である」(『アメリカの民主政治』井伊玄太郎訳、講談社学術文庫)からです。その動きは、いたってダイナミックにして、かつ多彩な振幅を見せ、それゆえ民衆が“賢にして愚、愚にして賢”といった矛盾的様相を呈することもまれではありません。歴史的に民主主義の伝統が希薄な社会にあっては、とくにそのことが言えるでしょう。ソ連にも、このことは当てはまると思います。
 そこで大事になってくるのは、民衆の成熟度です。突如、降ってわいた「自由」の約束手形を、いかに使いこなすか。それはひとえに、自主と自律を二つながらに兼ね備えた民度にかかっている。これは今後、ますますソ連社会の重要な課題になってくるでしょう。
 アイトマートフ 私は、レーリヒが人生の意味を定義して、「生きることは、より良く生きること、より良くなること」と言った言葉に人々が耳をかたむけてほしいと思います。
 そこに私はペレストロイカが構想された時の決定的な課題と目的があると確信しています。
 池田 人はただ生きるだけでなく、より良く生きねばならない――。これはまさに、ソクラテス的課題ですね。
 芥川龍之介
 一八九二年―一九二七年。小説家。
 アナルコ・サンディカリズム
 労働者の直接行動によって解放、社会革命を図る、無政府主義の影響を受けた理念と運動。
 吉川英治
 一八九二年―一九六二年。小説家。
 梵天
 大梵天王。仏法守護の神。
 龍樹
 ナーガールジュナ。大乗仏教の「空」思想を哲学的に基礎づけ、後世の仏教思想に多大な影響を与えた。
 ジェルジンスキー
 一八七七年―一九二六年。KGB初代長官。
 プーシキン
 一七九九年―一八三七年。ロシアの詩人、小説家。ロシアの国民文学を確立。
 チェルヌィシェフスキー
 一八二八年―八九年。ロシアの革命的民主主義者、唯物論哲学者、経済学者。
 トクヴィル
 一八〇五年―五九年。
 レーリヒ
 一八七四年―一九四七年。旧ソ連の画家、思想家、探検家。

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