Nichiren・Ikeda
Search & Study
47 前進(47)
この本部総会で山本伸一は、世界広布の新たな展開にも言及した。
彼はまず、各国のメンバーの連携を深め、協力し合っていくために、この五月に「ヨーロッパ会議」が、八月には「パン・アメリカン連盟」が、また、十二月の十三日に「東南アジア仏教者文化会議」が結成されたことを伝えた。
そして、さらに海外メンバーの交流を図り、世界平和を本格的に推進していくために、「国際センター」の設置を発表したのである。
この「国際センター」は独自の法人とし、海外のメンバーとの連絡、指導スタッフの派遣、出版活動や各種活動の支援などにあたるもので、既に建物も、東京・千駄ヶ谷に建設中であった。
伸一は、設置の意義について語っていった。
「世界各地の活動の進展状況は、国、地域によって千差万別であり、仏法を受け入れる機根も、国柄や民族性などによって多様であります。
したがって、海外の仏法流布は一様に考えるのではなく、あくまでもその国や地域の人びとの自主性と情熱、責任感によって進められるべきものであります。
ゆえに、『国際センター』の基本的性格も、各国の現地の主体性を尊重し、これを根本としたうえで、全力で支援し、守るということに重点を置くことになります」
ここで伸一は、参加者に呼びかけた。
「いよいよ舞台は世界です。私も戦います。
その意味から明年は、世界各地に出かけていって、同志を激励してさしあげたいと考えておりますが、日本の皆さん、よろしいでしょうか」
皆、大拍手で応えた。
「では、留守中はよろしくお願いしますよ。
日蓮大聖人の仏法は、世界の仏法です。私どもは世界的視野に立ち、同じ創価家族であるという″開かれた心をもつ国際人″であります。
人類の幸福と、真実の人間共和をめざして、意気揚々と前進していこうではありませんか!」
またしても拍手の嵐に包まれた。
伸一の心は、戦争、経済の混乱等々、世界を覆う暗雲を見すえていた。
彼は英知の翼を広げ、平和の大空に飛翔する瞬間を、満を持して待っていたのである。