Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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イギリス最高会議 「知恵」の太陽を社会に照らせ

1994.6.11 スピーチ(1993.12〜)(池田大作全集第84巻)

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2  現代文明の二つの錯誤──知識と知恵、病気と死の混同
 戸田先生はよく、現代文明には二つの大きな錯誤があると指摘しておられた。
 その一つは「知識」と「知恵」の混同。もう一つは「病気」と「死」の混同である。
 すなわち知識と知恵は本来、ポンプと水のような関係であり、知識は、知恵を汲み上げるための手段である。
 しかし、現代人はあまりにも「知識」「技術」を偏重し、肝心の「知恵」の開発を怠ってしまった。幸福を生み出す源泉はあくまでも「知恵」である。
 イギリスの大文豪・シェークスピアの有名な言葉に、「知恵と運命が相争うとき、知恵が全力をつくして戦えば、運命も知恵を破ることはできません」(『アントニーとクレオパトラ』小津次郎訳、『世界古典文学全集』46所収、筑摩書房)とある。
 その通りである。いわんや、「以信代(信を以て慧〈智慧>に代う)」の妙法を持った皆さんである。限りなき知恵を沸き立たせながら、燦然たる勝利の人生を開いていただきたい。
 厳しい不況にも負けず、お一人お一人が、大福運に包まれゆくことを、私は真剣に祈っている。
3  戸田先生が指摘されていた第二の迷妄は、「病気」と「死」の混同である。
 いかに医学が進歩して、寿命が延びても、「病気の克服」イコール「死の克服」ではない。
 この「死」という根本問題を避け、目をそらしてきたところに、現代の大きな行き詰まりがある。この点は、トインビー博士も繰り返し論じておられた。
 仏法はこの「生死」という、二十一世紀の最重要の課題に、真っ正面から光を当てた哲理である。
 大聖人は「今日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉るは生死の闇を照し晴して涅槃の智火明了なり」──今、日蓮および門下が南無妙法蓮華経と唱え奉るのは、生死の苦しみの闇を照らし晴らし、涅槃たる悟りにいたる智慧の火を明らかに現すのである──と。
 どうか、この最極の法理とともに生きる「永遠の歓喜」の軌道を、歩み通していただきたい。
 その輝きを縁ある、すべての人々に示しきっていっていただきたい。
4  どなたも、使命あってイギリスに集われた。皆、「地涌の菩薩」であられる。不思議なる永遠の同志であり、家族である。仲良く生きていただきたい。
 多くの人々の意見に、ともかく耳を傾けることである。すべてを実行できるかどうかは別にして、耳を傾ける誠実さに指導者の真価が光るのである。
 広布の組織で苦労した人は、あらゆる点で守られる。その大功徳を強調して、祝福のスピーチとしたい。
 (イギリス・ロンドン市内)

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