Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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あとがき  

小説「新・人間革命」

前後
7  つまり、「宿命」と「使命」とは表裏であり、「宿命」は、そのまま、その人固有の尊き「使命」となる。ならば、広布に生き抜く時、転換できぬ「宿命」など絶対にない。
 皆が、地涌の菩薩であり、幸福になる権利がある。皆が、人生の檜舞台で、風雪の冬を陽光の春へ、苦悩を歓喜へと転ずる大ドラマの主人公であり、名優である。
 小説『新・人間革命』では、この「『宿命』は『使命』である」ことを基調に、物語を展開してきた。仏法の精髄の教えは、物事を固定的にとらえるのではなく、「煩悩即菩提」「生死即涅槃」「変毒為薬」等々、一切を転換しゆく生命のダイナミズムを説き明かしている。そして、苦悩する人間の生命の奥深く、「仏」すなわち、人間のもつ尊極の善性、創造性、主体性を覚醒させ、発現していく道を示している。その生命の変革作業を、私たちは「人間革命」と呼ぶ。
 社会も、国家も、世界も、それを建設する主体者は人間自身である。「憎悪」も「信頼」も「蔑視」も「尊敬」も「戦争」も「平和」も、全ては人間の一念から生まれるものだ。したがって、「人間革命」なくしては、自身の幸福も、社会の繁栄も、世界の恒久平和もあり得ない。この一点を欠けば、さまざまな努力も砂上の楼閣となる。仏法を根幹とした「人間革命」の哲学は、「第三の千年」のスタートを切った人類の新しき道標となろう。
 「不滅の魂には、同じように不滅の行いが必要である」とは、文豪トルストイの箴言である。小説『新・人間革命』の完結を新しい出発として、創価の同志が「山本伸一」として立ち、友の幸福のために走り、間断なき不屈の行動をもって、自身の輝ける『人間革命』の歴史を綴られんことを、心から念願している。
 この世に「不幸」がある限り、広宣流布という人間勝利の大絵巻を、ますます勇壮に、絢爛と織り成していかねばならない。ゆえに、われらの「広布誓願」の師弟旅は続く。
 結びに、装画を飾ってくださった故・東山魁夷画伯、25年間の長きにわたって挿絵を担当していただいた内田健一郎画伯、聖教新聞社の編集・出版担当者をはじめ、すべての関係者、そして、全読者の皆様方に、心から御礼、感謝申し上げたい。
                  著者
  2018年(平成30年)9月8日
  小説『新・人間革命』新聞連載完結の日に
  東京・信濃町の創価学会総本部にて
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