Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第93回本部幹部会 教学の筋金入れよ

1967.10.29 「池田大作全集」第3巻

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6  最後に、四条金吾殿御返事の有名な一節を拝読したいと思います。
 「将門は・つはものの名をとり兵法の大事をきはめたり、されども王命にはまけぬ、はんくわひ樊噲ちやうりやう張良もよしなし・ただ心こそ大切なれ、いかに日蓮いのり申すとも不信ならばぬれたる・ほくちに・火をうちかくるが・ごとくなるべし、はげみをなして強盛に信力をいだし給うべし、すぎし存命不思議とおもはせ給へ、なにの兵法よりも法華経の兵法をもちひ給うべし、「諸余怨敵・皆悉摧滅」の金言むなしかるべからず、兵法剣形の大事も此の妙法より出でたり、ふかく信心をとり給へ、あへて臆病にては叶うべからず候、恐恐謹言」「将門は・つはものの名をとり兵法の大事をきはめたり、されども王命にはまけぬ」――平将門は、平安朝時代の武将、関東の制覇者で、自分自身が天皇のような気持ちになって朝命に反抗し、最後に無残な死に方をした人であります。武士としては最高のところまでいったが、朝廷にはかなわなかった。結局、最後には敗北者となっています。「はんくわひ・ちやうりやうもよしなし・ただ心こそ大切なれ」――攀噲と張良は漢の高祖に仕えた有名な大武将であったが、不幸な死に方をした。大忠臣であり、そしてまた偉大な側近であったから、栄誉栄達をほしいままにする最高の人生が送れたにもかかわらず、最後は寂しく、左遷されて殺されかかった人です。やはり敗北者としてその一生を終わっています。
 この例を通して大聖人は「ただ心こそ大切なれ」と申されています。結局、信心する以外に絶対の幸福はないのです。大聖人が「心こそ大切なれ」というその心は、唯心の心ではなくして、色心不二の一念です。生涯、永遠に福運を積んでいける“心”をさします。俗に心がけがいいとか悪いとかいいますけれども、商売や事業、また世間の付き合いでも、心がきれいな人は、やはりかわいがられ、大事にされています。反対に悪い心の人は、顔つきや目つきまでよくない。(笑い)いわんや、宇宙の本源である御本尊に対する信心の“心”のある人は、必ず最高の人生を送ることができるというのです。
7  「いかに日蓮いのり申すとも不信ならばぬれたる・ほくちに・火をうちかくるが・ごとくなるべし」――いかに御本尊があっても、また大聖人が祈ってくださっても、信心がなければ、ぬれた“ほくち”に火をつけようとするのと同じで、ムダなことです。それでは真実の幸福は得られない。たとえば、どんなに立派な自動車があってもエンジンが止まっていたのでは動かない。またどんなに優秀な無線機を使って発信しても、受信機が止まっていては通じない。それと同じ道理であります。「はげみをなして強盛に信力をいだし給うべし」――結局、自分自身が信心に励み、また同志と団結し励ましあって、強盛に信力を出す以外にない。「すぎし存命不思議とおもはせ給へ」――いま自分自身が生きているのは、なんのためか、いかなる使命があるのかを考えよということです。つまり自分自身の生活観、社会観、世界観を考えなくてはいけない。そうでなければ生きていても、生ける屍みたいな存在で終わってしまう。
 「なにの兵法よりも法華経の兵法をもちひ給うべし」――剣道、柔道など、いろいろ兵法はあるけれども、その根本の兵法は結局、法華経の兵法以外にない。崩れざる幸福を確立する、人生を勝ち抜いていく兵法は、法華経の兵法、御本尊を拝むことに尽きるのです。「『諸余怨敵・皆悉摧滅』の金言むなしかるべからず」――とは、三障四魔を打ち破ることも、諸天善神の加護をうけることも、全部、自分自身の法華経の兵法によって決まるのです。たった一行ですけれでも、これを色読し、実践するか否かで、自分自身の現在も将来も決まってしまうのです。私はこの一節を身で読み、戦ってきた一人です。大阪のいちばん厳しい参院選の戦いのときにも“この一節を色読しよう”というのが私の信念でありました。
 「兵法剣形の大事も此の妙法より出でたり」――いかに武芸の達人である宮本武蔵であろうが、千葉周作であろうが、また、呉子、孫子の兵法であろうが、あらゆる兵法剣形は、この妙法から出たものです。宇宙の法則はもちろん、その他、学問、学理、音楽等、あらゆる「法」といわれるものの大事も、すべて根幹は南無妙法蓮華経から出たものであります。三船十段という柔道の達人がおりましたが、この人の話のなかにも、これと同じような意味の言葉が出てきます。「技の本質、本源になにかある。それは表現できないけれども、そこをつかむかつかまないかが、実をいうと名人と達人の本質的な違いなのだ」と。この一節を読んで、非常に感銘をうけたことをおぼえております。「あへて臆病にては叶うべからず候」――信心は臆病であってはならないとの厳しいご指導であります。
 十一月の幹部会に、また明るく意気揚々と集まりましょう。(拍手)

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