Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第5回中野兄弟会総会 一人の心をつかむは万人に通ずる

1977.2.4 「広布第二章の指針」第9巻

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3  イギリスの有名な作家であるシェイクスピアは、父の事業の失敗で十三歳の時から家計を助け、結局、小学校の学歴しかなかった。にもかかわらず、あのような保守的な国において、権威と伝統を重んずる風潮のなかで、有識者をしのぐ数々の名文学作品を残したことは諸君もよく知っていることであろう。
 私は、このシェイクスピアの生き方と関係して、ある学者が「ほんとうの芸術・文学とはその人が持っている特性である」といった言葉を思い出すのである。
 われわれは、この肉団のなかに、無量の知恵を生み、人生の福運を発現させゆく”田園”をもっている。それは、御本尊との冥合によってのみ、限りなく湧現していくものである。
 この妙法の法則にがっちりと歩調を合わせ、最高の人生を築いていくため確固たる人生観を確立していく――これ自体が、すでに、最高の生命の芸術、文学であり、平和運動であると、鋭くとらえていかなくてはならないことを申し上げておきたい。
 広宣流布といっても結局は、文化であり、平和であり、生活であり、社会そのものを築くことである。この観点からも、宗教のための宗教ということはありえない。真実の宗教はどこまでも人間のために存在するということを訴えておきたい。
 最近、私の友人から、ある有名な作曲家が語った話を聞いた。歌の心をつかむためにほんとうに苦労した歌手の歌は、いつまでも人々の胸中にとどめられていくという話である。
 私はこれを通して、苦労こそ最大の財産であることを、あらためて確認しておきたいのである。苦労して一流になった人物と、たんに有名ということで一流と思われている人とは根本的に異なる。苦労した人でなければ、苦労した人の心は理解できない。
 地道でも、一人ないし二人の心を深く知り、理解と信頼を得ていくことは、百万人の心をつかんだことにも通ずるのである。一人ひとりの心と心を通わせ、そこに自分の誠意を打ち込み、生命と生命の交流を積み上げていくーここに、日蓮大聖人の仏法の極理があることを知っていただきたい。
 御書に「一色一香中道に非ざること無し」とあるが、これは、依正はことごとく妙法の当体であるということである。その意味で、どうか中野兄弟会の世界が、お互いに尊敬しあい、信頼しあうもっとも深い生命の絆で結ばれた仏法兄弟のモデルとなっていくよう、心より念じ、また期待している。(要旨)

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