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日蓮大聖人・池田大作

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創価大学第6回入学式 悲哀をも創造の源泉に

1976.4.10 「広布第二章の指針」第8巻

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4  ”大我”に立脚して境涯革命
 自己実現の人生には、おのずから人生の歓喜がともなうものです。
 タゴールが感受した”永遠なる生命”――それは、まさしく東洋民族の心の底を流れきたった仏法の英知が鋭く洞察したものであり、ある意味では”仏性”に通じ、仏の生命に近いものであります。自我の観点からいえば、多種多様な”小我”の内奥に息づく”大我”であります。
 ”大我”に立脚し、その力強い律動に心の波長をあわせ、内なる声に耳をかたむける人生にしてはじめて、不断の生命革新を成し遂げつつ育ちゆく金剛不壊の色心を築くことができると思うのであります。
 私のいう”自己実現”の”自己”とは、けっして”小我”ではない。小さな自我であれば、その周辺にある末梢的な欲望に支配されてしまう。
 もし”自己”を”小我”に求めれば、それはたんなる”わがまま”となり、利己主義に陥ってしまうのであります。
 ”自己実現”すべき自己とは、宇宙生命に基盤をもった、本源的な自我であり、慈悲と英知の源泉としての”大我”であります。
 しかし大我を発見し、その内なるエネルギーを発動させるためには、不断の精進と豊かな感受性が要請されることはいうまでもありません。
 私が諸君に青春の特質を説き”大我”に立脚した”自己実現”の道を示すのは、若き春秋の多情多感な魂が、もっとも俊敏に、万物を貫く”永遠なるもの”を覚知するからであります。これは私自身の体験をとおしてもいえることであります。
 青年の特権は、豊潤な感受性と感動性を駆使して、宇宙と生命の真髄にふれ、生涯を貫く信念、哲学、使命を体得することにあることを、私は、あらためて強調したいのであります。究極的な使命を自覚した人生に、もはや逡巡はありません。苦難におびえる恐れのかげを見いだすことも不可能です。はるかなる未来に向けての理想を胸に”自己実現”の場を、動乱の社会に開いていくはずであります。
 ある人は大自然のなかに永遠の胎動を自覚するでしょうし、また、ある若者は、学問追究の過程で物質と心の真髄にふれるでありましょう。友との真実の愛の交歓のなかに、慈悲のエネルギーをくみとる女性もいるはずです。いずれの道をとろうと、無限なる人生の歓喜をよびさました体験は、大学で学ぶ学問とともに、諸君の一生にかかわる心の糧となることは間違いありません。
 さらにいえば、宇宙と生命の実相にふれる体験を基底にして、あらゆる学問が生かされ、実り豊かな自己実現の”金の道”を開いていくことができるのであります。
 これからの四年間、武蔵野の豊かな自然の学舎で、どうか思う存分、理性を磨き、人類の知的遺産を吸収し、これをも乗り越える学びの道を、高松学長を中心に先生方とともに歩んでいってください。ともあれ、創価大学は”人間教育”と”世界平和の牙城”であります。人格完成のための色心錬磨の道場といえましょう。
 この大学を、青春をかけた人間変革の場とし、自己実現の天地として、自体を顕照しつつ、境涯革命の足跡を刻んでいただきたい。不動の信念に根ざした”常楽我浄”の人生を乱舞していただきたいのであります。
 輝く知性と、平和をめざす情熱が交錯する、創価大学の青春の学徒に栄光あれと願いつつ、私のあいさつにかえさせていただきます。

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