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第3回ドクター部総会 慈悲の名医たれ

1975.9.15 「広布第二章の指針」第7巻

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5  ”攻めの医学”へ
 このときにあたって、医学という慈悲の学問を修めたうえに、妙法をたもち、唱え、生命変革の剣をもったドクター部の先生方の使命というものは、まことに明瞭になってくるのであります。
 妙法の名医として、すべての人間の色心にわたる苦悩を、その根本の病因にまで掘り下げて解除するとともに、さらには時代社会の病因をも深く見定めて、その抜本的な展開のためへの大手術を、どうか生涯にわたって着実にしぶとく進めていっていただきたいと、私はお願いするものであります。
 今日の医学の課題は、治療から予防への道を切り開き、さらには、健康保持から健康増進への道を志向することであるともうかがっております。妙法の名医であります先生方は、つねに生命的次元に立脚しつつ個人と社会と文明のすべてにわたって、医学の命題とする道に挑戦し、緑したたる豊かな自然のなかに歓喜に満ち、躍動する人々が充満する社会を、どうか築き上げていっていただきたいのであります。(大拍手)
 そんなことはたいへんだ、と思うかもしれませんが、千里の道も一歩からです。高原の火も一つのマッチから火が燃え移るものであります。なんでもないようでありますけれども、日々、その哲学を裏づけた行動が、二十一世紀には大きく大河になることを確信していただきたい。
 いうまでもなく、仏法の教えは究極するところ、生命の尊厳、人間の尊厳をいかにして実現し、確立しきるか――というところにあります。そして、すでに述べましたように、生命の尊厳とは、たんに観念的なものではなく、とくに人間においては身体的側面もさることながら、精神的側面でも健康ということが、いっそう大切な要素となるわけであります。
 その意味において「三種財宝御書」の「蔵の財よりも身の財すぐれたり身の財より心の財第一なり、此の御文を御覧あらんよりは心の財をつませ給うべし」――この御金言を一人ひとりの胸中深く刻んで、人々の健康の回復と増進という尊い仕事に励んでいただきたいし、また先生方はその意味において、広宣流布における最大かつ重要な立場にいるといわざるをえないのであります。
 この精神というものは、医師としての先生方の仕事に取り組む基盤に、まずなっていかなくてはならないし、同時に患者の一人ひとりに、そうした正しい人生観というものをめざめさせていく必要もあるかもしれない。
 そして「心の財」――すなわち精神的な健康、生きようとする意欲や生きることへの希望と勇気、張り合いをもつことが、自身の身体上の健康回復にとって、どれほど大きい力になるかを認識させていくべきではないかと思うのであります。こうして、精神の健康を確立し、増進したときに、回復された身体の健康も、自立的に増進、発展していくにちがいないからであります。
 なぜなら、この人こそ生きることの尊さを知り、健康を取り戻した自らの肉体を、崇高な目的と幸福のために生きいきと活用していくからであります。それは、もはや、たんに病気を治療するという”守りの医学”ではなく、健康を保持し、ひいては増進していく”攻めの医学”というべきであると思うのであります。
 たんなる守りの医学は、技術があればことたりるかもしれない。しかし、攻めの医学は人間らしい生き方を教える哲学が、その根底に今度はなくてはならない。患者との人間的接触を通じて、それを教え、伝えていけるのは、この人間の尊厳、生きることの尊さを仏法の哲学と妙法の英知で自らつかんだ方でなければできない。それが、私はドクター部の先生方であると信ずるのであります。
 したがって、皆さん方こそ日々、その仕事において仏法の精神である生命の尊厳、人間の尊厳を実践する人であるとともに、そうした生命、人間の尊厳を基盤とした未来世界の構築を進めている、もっともこの世で大切な人なのであります。
 すでに発表されましたように、来年は「健康の年」「青春の年」であります。それは、ただたんに病気をしないという意味の健康ではなく、生きいきと活動し、生命が躍動しているという、積極的な意味の健康であります。
 病気をするのは、個人でありますが、病気をなくす、あるいは人々が生きることを楽しんでいけるような条件をつくるのは、社会においてであります。個人の健康にとどまることなく、社会の健康が大事になるゆえんもここにあるといってよい。
 そうした意味からして、来年の「健康の年」「青春の年」の主役は、まさしくドクター部の皆さん方であると、大きな期待をかけざるをえませんし、皆さん方も、その自覚をもっていただきたいと、お願い申し上げるものであります。
 生意気なようでありますが、たんに”病気の医師”ではなく”人間の医師”であっていただきたいというのが、私のお願いでございます。先生方のますますのご活躍とご健康をお祈り申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。(大拍手)

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