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創価大39回・創価女短大25回入学式  

2009.4.3 スピーチ(聖教新聞2009年下)

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1  新入生の諸君、入学おめでとう!
 みんな、元気で良かった。
 新入生は、元気あふれる人であってもらいたい。
 たとえば、試験で満点をとれば、「どうだい!」と胸を張れる。
 勝ってこそ、本当の元気が出るのです。
 ただ元気そうに見せても、それだけでは、カラ元気です。
 また、皆さんが親孝行をすれば、君たちの胸にも、勝利の元気がわいてきます。
 さらに教員に「素晴らしい学生だ」「将来がすごく楽しみだ」と言われるような自分に成長するのです。
 そうすれば、教員も、学生の皆さんも、元気に朗らかになっていく。
 教員の皆さんも、新入生を、よろしく頼みます。
 わが創価大学、創価女子短期大学には、日本一、世界一の先生方が集まってくださったと、私は誇り高く思っています。
 学問の上でも、人間性の上でも、一流の方々ばかりです。
 これまで私は、創立者として、大学建設に全魂を打ち込んできました。
 平和のため、世界のため、民衆の幸福のため──その点で、学生と教員と職員が一体となった大学づくりを目指してきたのです。
 そこに、本当の意味の教育の向上も、学問の進歩もある。
 そしてまた、人間として、一番楽しく、美しい世界があると信じているからです。
 “教育は、厳しくも温かくなければならない”──これが創価教育の創始者である牧口初代会長、戸田第二代会長の教育の信念でした。
 当然、教員は学生に真剣に教える。学生に温かく接する。
 学生は教員を尊敬する。
 いろいろな指導の方法はあるでしょうが、心は一体であらねばならない。
 親子以上の結びつきが教育の世界です。そこに人類の発展があるのです。
2  女子短大が。英検で表彰
 ともあれ、創価女子短期大学の「語学教育」は素晴らしい。
 このたびの英語検定(実用英語技能検定)でも、見事に優秀団体賞を勝ち取った。
 おめでとう!
 今朝、顕彰の記念の品が届けられました。
 じつに12年連続の栄誉です。立派な伝統が築かれた。
 私は涙が出るほど、うれしかった。
 親というのは、そういうものです。君たちが、成績優秀であれば、親は心の中で泣くのです。
 牧口先生も、戸田先生も、「親孝行もできない人間など、私の弟子ではない」と厳しかった。皆さんは、親孝行であってください。
3  創価女子短大は、「資格」の取得、そして「就職」でも抜群の成績を誇っている。企業のトップから、短大出身者の活躍ぶりを聞かされることも少なくありません。短大は勝ちました。
 新しい石井学長の誕生も、おめでとう!
 短大の石井新学長は、創大1期生です。創大の山本学長とともに、大学を頼みます。
 前学長の福島先生(創大顧問)も、長い間、本当にご苦労さまでした。
 また、短大の発展に尽くされた佃先生(創大参与)も、ありがとうございます。
4  勇み学べや今日も明日も
 今朝、妻とともに富士を仰ぎつつ、和歌を詠みました。
  白雪はくせつ
    富士は堂々
      微笑みて
    君たち見つめむ
      偉人に育てと
 わが新入生の晴れの門出に、さらに一首を贈りたい。
  人生の
    勝利のために
      我はあり
    勇み学べや
      今日も明日も
 どうか、一人ももれなく学び抜き、必ず勝利して、立派に親孝行したと言える、悔いなき人生を勝ち抜いてください。
5  「目は心の旗」
 それは、今から約400年前──。
 韓国の正義の哲人指導者・李ス光イ・スガン先生は叫ばれました。
 「目は心の旗である。高いものを見れば、心も高くなる。低いものを見れば、心も低くなる。見るものが正しければ、心も正しくなる」
 私の恩師・戸田先生も、青年が低次元の雑誌などを読んでいたら、烈火のごとく叱り飛ばされました。
 勉強しなさい! いい本を読みなさい! 悪書を読むと心が腐って、堕落してしまうぞ──そう訴えておられた。
 そして、“青年ならば最高峰を仰げ! 一流から学べ! そして自身も一流になれ! これが、常に正義を見つめて、誇り高く学ぶ本当の青春だ”と指導されました。
 こうした精神を教えてこそ真の大学です。真の勉強です。読書です。
 思えば、私の青春時代は戦争でした。4人の兄が兵隊にとられ、私は17歳で終戦を迎えた。
 父は病気。私も肺病でした。満足に治療もできませんでした。
 立派だった自宅は、強制疎開によって壊されました。
 別の場所に新たに家を建てましたが、いよいよ明日からは皆で暮らせるという日の夜に、焼夷弾が直撃して燃えてしまった。
 本当に多くの人が、戦争の犠牲になりました。
 だから私は、戦争には絶対反対です。
 戦争がどれほど悪いか。国家の権力が、どれほど悪かったか。私は知っています。
 本当の勝利の人生を生きるためには、偉大な思想が必要です。学問が大切です。
 戸田先生は命を賭して軍国主義に反対し、牢獄に入りました。牧口先生は獄死です。
 だから私は、19歳で戸田先生とお会いした時に、戸田先生のもとで「本物の弟子」になろうと決意しました。これは私の青春時代の大きな歴史です。
 ともあれ、「人間勝利の旗」を晴れ晴れと掲げながら、世界の「海洋新時代」をリードしてこられた信念のキャプテン(船長)こそ、ここにお迎え申し上げた呉巨敦オ・コドン総長なのであります。
6  日本はかつて非道にも貴国を植民地にし、苦しめました。あまりにも増上慢であった。
 しかし、わが師匠・戸田先生は、常に貴国の計り知れない文化の大恩を語っておりました。
 日本は多くのことを韓国から教わってきた。韓国は大恩人の国である。大切にしなければいけない。絶対に尊敬していかねばならない──こう述べていました。
 あの時代状況の中で、本当に卓越した、深い考えを持った指導者でした。
 その恩師の命日であるきょう、何よりも深き意義が光る、貴・韓国海洋大学の栄誉を拝受させていただき、これほどの感無量の劇はございません。誠に誠に、ありがとうございました。
7  海は世界への道
 戸田先生と二人して、大海原を見つめながら、心広々と語り合ったことがあります。
 それは──
 「海は、臆病な人間には、前進を阻む壁となる。しかし、勇敢に挑み続ける青年には、必ず、世界への道を開いてくれる。それが海だ」ということでありました。
 象徴として、戸田先生があげておられた人物が、9世紀の“海上王”張保皐チャン・ボゴ(=張宝高、弓福とも)でありました。
 まさしく、貴大学の校歌にも歌われている大いなる偉人です。
 貴国の勇者・張保皐は、敢然と海に乗り出し、民衆を苦しめていた海賊を退治しました。そして貴国と中国、さらに日本を結ぶ、平和と繁栄の大交易のネットワークを築き上げた。
 彼ら“海の英雄たち”が、大陸へ渡る日本人たちを守ってくれた恩義も、日本は決して忘れてはならない。浅い心、小さい心ではいけない。
 ロマンの人生を貫いた“海上王”の信念は、何であったか。
 それは、“正義を見て実行しないのは、勇気がないのである”(「義を見て為ざるは、勇なきなり」)という、有名な『論語』の一節でありました。
 “だれかがやるだろう”というのは無責任である。
 人がどうあれ、正義のためには勇気をもって、勇敢に行動する。これこそ人格の真髄であり、人道の不変の方程式であります。
8  素晴らしき“人材の港”
 総長は、こうした海洋の英雄たちの、不屈の挑戦精神を現代に受け継ぐ指導者を、たくさん育成しておられる。
 「一方の扉が閉まると、もう一方の扉が開かれる」──これが、幾多の苦難を勝ち越えてこられた、総長の「負けじ魂」であったと、私たちは思うのであります。
 貴国は東西冷戦の時代に、陸路の交流が閉ざされる危機のなか、勇壮に海へと活路を見出していかれました。
 今や貴国は世界一の「造船」、さらに世界トップレベルの「海運」を誇る海洋大国として、見事に、世界に燦たる勝利を収められた。
 そして、その偉大な原動力となった、素晴らしき“人材の港”こそ、貴大学なのであります。
 わが新人生の皆さんも、きょうから希望に燃えて、眼前に広がる「学問の大海原」に船出していっていただきたい。
 勉強することだ。教員は、学ぶ意欲をわき立たせる知恵を発揮することです。
 新入生の皆さん!〈「ハイ!」と元気な返事が〉
 ご両親に対しても、それくらい元気な返事をしてほしい。お父さん、お母さんを安心させ、喜ばせてあげるのです。約束だよ!
9  今、創大も短大も、世界に開かれてきました。さらに語学力を磨き始めました。
 語学力が勝負です。
 かつて私は、イギリスの大歴史学者であるトインビー博士と対談しました。
 “あなたと仏法を語りたい”──こういう思いのこもった手紙を博士からいただき、始まった対談でした。
 日本の古典である『竹取物語』や『源氏物語』などをめぐっても、語り合いました。
 私は“敵国の言葉である英語を学ぶな”と教えられて育った世代です。博士との対談の際は、通訳がうまくいかず、苦労しました。語学力のある人を育てなければならないと、痛切に感じました。
 皆さんは、どうか語学を磨いていただきたい。磨いた人が勝ちます。
 語学を教える先生方はおられますか?〈ここで、語学の授業を担当する教員が紹介された〉
 皆で拍手を送ろう!
 サンキュー! ダンケ(ドイツ語で「ありがとう」)! メルシー(フランス語で「ありがとう」)! ありがとう!
 将来、ご両親を海外旅行に連れて行き、通訳をしてあげるつもりで学ぶのです。
 ともあれ、「ああ、創価大学に行かせてよかった」と言われなければ、私は、皆さんのご両親に嘘をついたことになる。本当の親孝行を尽くしてあげてください。〈「ハイ!」と力強い返事が〉
10  「学ぶとは逆流に進むようなもの」
 きょうは、21世紀の大中国を担い立つ全青連(中華全国青年連合会)の方々も出席してくださいました。ありがとうございました。
 太陽のごとく光り輝く、3億7,000万人の青年の、誉れ高き代表であられます。
 全青連ご出身であられる胡錦濤国家主席と、私は、これまで3度お会いしました。〈1985年、98年、23008年に会見〉
 会見(98年)の席上、胡主席は微笑まれながら、日本に派遣され、創価大学に学んだ若き英才のリーダーを、皆に紹介されました。その方こそ、信念の平和外交に尽力する倪健げい・けん団長なのであります。
 こうした友好の一つ一つの場面を、私は忘れません。また、歴史として残してまいりました。
 中国人民の母・鄧穎超先生とも、何度も出会いを結びました。周恩来総理の夫人です。本当に良き「人民のお母さん」であられた。
 鄧先生は、愛する青年たちに、古の格言を贈られました。
 それは──
 「学ぶとは、逆流に向かって船を進めるようなものだ。進まざるは後退である」という言葉であります。
 人間も社会も、傲慢になり、学ぶ心を失ってしまえば、時代の激流に押し流されて衰退するしかない。
 だからこそ、青年は、立ち止まってはならない。学んで学んで、学び抜くことです。
 私は、それを実践してきました。
 若き日に戸田先生と会い、「一生、この人についていこう」と決めた。
 荒波にも負けず、民衆の船を、希望へ、勝利へ、平和へ、前進させゆくエンジンになろう!──こう19歳で決意したのです。
 私は、戸田先生との誓いのままに、人生を進んできました。
 そして、周恩来総理との誓いのままに、友好の道を開いてまいりました。
11  切磋琢磨を!
 はるか千年の昔、韓国の大文人・崔致遠チェ・チウォン先生は、中国に留学した折、生涯の友情を結んだ学友の顧雲こ・うん先生と、互いの努力と研鑚を讃え合いました。
 “わが友よ!君の学識は、大海の鯨が潮を吹くように溢れている。そして、君の言論の剣は、銀河が天を貫くように鋭く輝きわたる”と。
 君たちも、良き友と励まし合い、切磋琢磨することです。悪い友人を持ったら損です。良き友こそ宝です。
 そして、健康で、朗らかに、充実と向上の青春を、気宇壮大に飾りゆかれんことを、期待します。
 そこにこそ、人生の勝利者になりゆく道があります。正しい青年の道があるからです。
12  貴大学を擁する釜山をはじめ大韓民国、さらに、大中国の無窮のご繁栄を、私たちは心からお祈り申し上げます。
 そして貴大学の校歌の一節「太平洋の青き波を胸に抱き 力強く育ちゆけ」を心に響かせながら、平和と文化と教育の大航海へ、共々に新しく出発しゆくことを決意して、先生方に対する御礼のスピーチとさせていただきます。
13  冬は去り、春は巡り来た。
 春です。
 太陽は輝いている。
 まさに、“The sunshines brightly!”です。
 新入人生、頑張れ!
 どんなに苦しいこと、いやなことがあっても、今は経済的に苦しくても、くじけてはならない。卑屈になってはならない。
 苦難など笑い飛ばして、楽観主義で進むのだ。
 ともあれ、きょうは、入学おめでとう!
 幸福になってください。勝利者になってください。英知に輝く人生を勝ち抜いてください。──こう申し上げ、私の話を終わります。
 ありがとう! カムサ・ハムニダ!(韓国語で「ありがとうございました」)

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