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日蓮大聖人・池田大作

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第1回徳島県幹部総会 広布に生き抜く人こそ”時代の宝”

1973.11.13 「池田大作講演集」第6巻

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6  阿波の国土
 次に皆さん方の故郷であるこの阿波の国は、古くから、京阪神の地に密接に結びついていたといわれます。というのは、四国は山脈で四つに分断されている地形なので、隣の香川や高知との交流は少なく、海を通じて近畿に結びついてしまい、現在もまったくそのとおりだとのことでした。これから、本土と鳴門の間に橋が架かれば、この特徴は一層深まるかもしれません。
 ある本によりますと、このように書いてあります。
 「日本の中央幹線交通路から遠く離れていることが、人ずれのしないのんびりした人情味豊かな阿波人をはぐくんだともいえる。四国では『讃岐男に阿波女』のことばがある。いずれも、働き者の象徴としていわれたものである。阿波人は質素であり、倹約だともいわれる。その一つが、貯金額の高さであり、貯金王国ともいわれている」(要旨=日本の文化地理)と。
 これは、私がいうのではありません。本に、このように書いてあるのです。(笑い)
 これからは、日本、世界という広い分野へ眼が開け、交流も激しくなってまいりますので、県民性も、どうしても工業化とともにしだいしだいに変わっていくことでありましょう。しかし、そのなかにあっても、底流として“阿波人”のよき伝統、徳島の方々の特質は、どうか子孫末代にまで、伝えていっていただきたいと思います。
 鳴門から阿南にかけての工業地帯の発展の陰には、山村地帯での過疎化問題が深刻化しているともうかがいました。特にこの二、三年、国全体が激動期へ入って、今年の悪性インフレは、驚くばかりであります。こういう時代になればなるほど、皆さん方は、互いに仲良くしてほしい。文句などいい合っても、だれもなんの得もしません。自分の福運を消すだけです。悪い人、皆に迷惑をかける人がいれば、その人は放っておけばいいのです。
 ともかく仲良く、そして励まし合い、信心という尊い人間性の連帯をしっかり固めて、題目の力で、いかなる問題も堂々と乗りきっていく――こういう決心で進んでいただきたいのであります。(拍手)
7  出藍の誉れ高く
 明治まで、この徳島では、藍と塩とタバコが三大産物といわれていたようでありますが、そうでしょうか(そうです)。藍といえば「出藍の誉れ」という有名な言葉があります。これは、荀子の勧額にある「君子曰く、学は以て已むべからず。青はこれを藍に取りて、藍よりも青し。氷は水これを為して、水よりも寒し」との古代中国の教えが出典であり、大聖人は「上野殿後家尼御返事」に、これを引用して信心を教えられております。
 すなわち「法華経の法門をきくにつけて・なをなを信心をはげむを・まことの道心者とは申すなり、天台云く「従藍而青」云云、此の釈の心はあいは葉のときよりも・なをむれば・いよいよあをし、法華経はあいのごとし修行のふかきは・いよいよあをきがごとし」と仰せであります。
 私どもは“大事の法門”をうかがうことによって、智者、学匠になろうというのではありません。仏法哲学を勉強する目的は、なお一層信心を増して人間革命をなし、人にも勧め、広宣流布を通じて、地球全体へ日蓮大聖人のこの功徳を、及ぼそうということだけであります。
 徳島の皆さん方も、いまの御書のとおりに「末法地涌の勇者」として、今後ますます出藍の誉れ高からんことを、心から祈ってやみません。本日は、夜の会合でありましたので、遠くからおいでの方々は、帰りが大変であろうと思います。どうか十分に注意してお帰りください。
 そして、全県下の皆さん方に対しましては、私が「くれぐれもご健康とご多幸を祈っております」と申していたということを、お伝えいただければ幸甚であります。
 最後に会合運営の任にあった方々に、厚く厚く御礼を申し上げまして、私の話とさせていただきます。ご苦労さまでございました。(大拍手)

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