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日蓮大聖人・池田大作

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第1回埼玉県幹部総会 広布の大河に人間革命の歴史を

1973.9.12 「池田大作講演集」第6巻

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4  物心両面の余裕づくりを
 昨今、しきりに都市の分散ということがいわれております。埼玉はいま、都市の行き詰まりのひずみを、すべて引き受けている感さえしますが、それでいて、そのうえに、独自の発展をみせていくべき可能性を豊かにもった国土であると、私は考える。
 したがって、都市の分散にともない、埼玉としてはどういう面を引き受けていくか――。たんに、首都・東京都の物質的側面を引き受けるだけであっては、完全に東京都に従属するだけで終わってしまう。断じて、そうであってはならない。端的にいって、東京が陥った経済主義、物質主義に巻き込まれずに、この埼玉の国土と県民性とを豊かに保持しつつ、新しい型の生活環境を確保しながら、新しい精神環境を提供していける国土づくりが、これからの埼玉のもっとも大切な使命ではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。(大拍手)
 歴史的にも、埼玉というところは、首都に余裕をもたらしたところでありました。してみれば、これからも日本の中心に対して、やはり物心両面の余裕というものをつくりだして、そこに一つの広宣流布への役割を十分に果たしていってほしい、と思うのであります。余裕といってもいろいろある。だが、そのなかで、もっとも大事なのは、人間の広々とした内面世界の信心ができるという、この余裕であります。
 そうした余裕は、遊んでいてできるものでは決してない。あくまでも、不動の信心と題目のなかから生まれてくるように思うのであります。“忙しい、忙しい”で明け暮れている現代人、打算とエゴの現代人、アリのようにあくせくと目的もなく動きまわっている現代人――。そういう忙しい行動の心の世界には、妙法をたもったときに、はじめて広々とした人間らしい余裕ができてくるということを申し上げておきたい。
 さて、ここで、もうひとこと申し述べておきたいことがあります。それは「視野を広くもっていただきたい」ということであります。過去の歴史のなかにおいては、埼玉の人たちはつねに中央の勢力に敏感に反応して生きぬいてきたわけでありますが、いまは時代が変わっております。局部的に世相をみていておさまる時代ではない。文化といい、広宣流布といい、日本的規模を突き抜けて、世界化している昨今であるということであります。埼玉は東京に重大な関係をもつとともに、世界に対しても、重大な関係をもつにいたっていることを忘れないでいただきたいのであります。
 したがって、日本的視野に立つとともに、世界的視野に立つ人々を、数多く輩出していっていただきたい。そのときに大事なものは、人類に共通する常識豊かな英知と、限りなく展開されゆく人間性であります。人と人とが接触してまず第一に互いが感じあうのは、あくまでも人間性なのであります。そして、この“人間性”というものを考えるならば、人間は完成されたものとしてこの世の舞台へ姿を現すものではなく、未完成ながら、よりよきものとして将来へ対すべきものといえましょう。未完成ではあっても、つねによりよきもの、高いものへと求道の志を立てて、この社会に立ち向かうところに、人間の最善の姿勢というものを感じますけれども、皆さん、いかがでしょうか。(拍手)これが信仰者、仏法者の姿勢であります。いな、正しい人間の姿勢であります。埼玉の方々は、すべからく、そのようであっていただきたいことを、特にお願いするものであります。
 最後にお願いしたいことは、これからの長い広宣流布の旅路を、親子二代、三代かけて“天下の範”となって、偉大な歴史を残していただきたいということであります。そして、埼玉の同志の諸兄の皆さん方は、悠久の天地に生き、悠久の生命の持続のうえに、その個々の特性を思うぞんぶん発揮して、もって、日蓮大聖人の御本尊の照覧に叶っていただきたい。
 どうか、いつまでも仲良く、題目の声をとどろかせて、子孫末代までも栄えていかれますよう、心からお祈りし、私の話とさせていただきます。(大拍手)

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