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日蓮大聖人・池田大作

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第5回壮年部総会 文化的なる精神の再建を

1974.1.15 「池田大作講演集」第6巻

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4  人間精神の再建が最大の課題
 さて、一昨日の婦人部総会でも申し上げたことでもありますが、今年の社会情勢は経済面が大変であります。個人個人の家計においては、防戦一方になりそうであります。また、各種の事業を営んでいる方は、それ以上の苦労があるかと思います。どうか、一人も倒産の憂き目をみないよう十分心配りをしていただきたいし、幹部の皆さんも、そのような方々には特に深く配慮して、組織活動の面でも時間的に無理などしないよう、あたたかい理解、激励をお願いしたいと思います。
 また、サラリーマン一般の方々も、この一年、特に上半期はいままでにないインフレでありますので、経済面から家庭内によけいな破綻をきたさないよう気をつけていただきたいことを、お願い申し上げます。
 この石油ショックはどの国が善い悪いというのではなくして、全面的にショックを受けた日本の国としては、七百年前の蒙古襲来のようなものであります。これが原因で、日本の物価体型を根こそぎひっくり返してしまったようであります。更に、石油がきっかけで世界中の資源国のあいだに、資源ナショナリズムが発生した。そして拡大する勢いにあるといわれております。
 金さえ出せば、資源は自由に入手できるものという、いままでの甘い観念は通用しない時代に入ったともいえる。この影響は、日本の社会構造にもなんらかの変革を迫ってくることが予想されますし、しばらくは激動がつづくことでありましょう。私どもにとりましては、こういう時こそ真の福運というものの有無がものをいってくるのでありますから、全会員がいよいよ強盛なる信心に徹していっていただきたいというのが、私の心からの願いなのであります。
 しかして、ショックはもう一つあると思う。それは東南アジア各国の排日機運の噴出ぶりであります。この排日ショックについて、わが国の政治、経済上層部のリーダーは、深刻に受け止めるべき性質のものであります。いくら親善を呼号しても「信頼」のないところには「協調」は成立しないし、すべての争いというものは、つねに「不信」から起こっている。
 戦後、そして独立回復後わが日本列島は、自由とデモクラシーの旗印のもとに、全体的に人々の欲望を解放はした。だが、人間あるいは生命の奥底の欲望からの解放は、行うことができなかった。そして、そのまま哲学も理念もなく、各国へ経済的になだれこんでいったのが、今日のあさましい結果となった実相であります。
 こうしてみると、もっとも困難でありながら、もっとも要請されるのは「文化的なる精神の再建」であるということになります。また、全体的な生命変革の作業であるということになります。
 地球は有限なものであり、資源も有限なものであり、各国が仲良く配分して資源を使う以外にないという現在、物質至上主義は、明らかに破産したという以外にありません。これからの人類は、物財追求だけでは、幸福の道にはつながらない。となるならば、妙法による「精神革命」「人間革命」「生活革命」が、最大の課題となってくるわけであります。
 願わくは、皆さん方が、こうした時代相というものをよく見通して、二十一世紀につながる後世の人々のためにも、子孫のためにも、日本はおろか世界のためにも、妙法広宣流布の前途をしっかり開拓していっていただきたいのであります。私も、その一翼を全力投球で担ってまいります。どうか、学会のなかにあっては要として各部をしっかり守りきり、個人的にも盤石なる所願満足の人生を総仕上げしていかれますように、心から希望して、私の話を終わります。(大拍手)
 遠く全国からご参集の皆さん方に対しては、心から「ご苦労さまでした」と申し上げます。地元へ帰りましたならば、同志の皆さん方に、くれぐれもよろしくお伝えください。(大拍手)

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