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日蓮大聖人・池田大作

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第21回女子部総会 生涯、笑顔で輝く未来を展望

1973.3.11 「池田大作講演集」第5巻

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5  共通感情呼びかけ“善美”の生涯
 第四は「善美」です。悪女、醜女……聞くのもいやな言葉でしょう。善美こそ女性の最大の願いではないでしょうか。醜、悪との戦い、これが女性の一生というものでしょう。
 善悪は動物界にはありません。善悪は人間独自の規範であります。善がなんであるかは、悪のほうを観察すればわかります。悪ぐらいなまなましいのものはありません。
 悪の本性は“割り(デバイド)”だといわれています。物を壊せば悪いやつだといわれる。これでわかるように、一般に悪とは、調和と秩序を割って、分離したところに現れる表象、意識内容であります。本有常住の十界を自ら割って、地獄から修羅までが分離独立して幅をきかせるから四悪趣という。実際、悪人は皆そうです。
 してみれば善のほうもおのずと明らかであります。割れて離れて、孤独、断絶の極をさまよう者に、希望と位置と役割を与え、すべての、そして多様な人間目的を意義づけ、また生かす、力強い行為――それが善でありましょう。
 妙とは蘇生の義であります。もともと十界を割って離れていった四悪趣を、本来の構造どおりに再編成してあげるのが善でありましょう。これが菩薩の化他の行であります。してみれば「悪は革命の産婆である」という唯物史観は、明らかに逆立ちであります。わが女子部は、敢然と「善こそ総体革命の産婆である」と、勇気をもって前進していこうではありませんか。(大拍手)
 同じように「美」ということも「醜」を見ればわかります。
 醜は、生きて苦しみ、対立して憎しみ合う動物的な体験のなかにある。戦争も対立の哲学も、こうして生じます。勝手に他人を批判攻撃して、われひとり高しと慢ずるところが醜の極致でありましょう。女性の場合、ヤキモチから、人の弱点、傷口をあばいて、口コミすばやく伝え合うのが一番醜い。
 してみれば、美というものは、単なる趣味判断の問題ではなくなります。
 真の美は“生きて歓び和して楽しむ”ヒューマニティーな建設的体験のなかにこそある。美は人にせよ、自然にせよ、対象を謙虚に尊重して、善意をもって共感するところだけにある。これは人間の深い共通感情にあたたかく呼びかけることによってのみ、はじめて創り出されるものでありまして、大きく育てばこの美は“崇高さ”といわれるもに変わるのであります。
 現実のすべてが崇高になれば、これはそのまま宗教の世界であり、常寂光土が現出いたします。「万民一同に南無妙法蓮華経と唱え奉らば吹く風枝をならさず雨つちくれを砕かず、代は羲農の世となりて今生には不祥の災難を払ひ長生の術を得、人法共に不老不死の理顕れん時を各各御覧ぜよ現世安穏」とは、これであります。その条件は如説修行、これ一つであります。
 女子部の皆さんは見事な善美の生涯を送ってください。皆さんのはつらつたる如説修行に、私は全力をあげて応援いたします。
6  長く広い“展望”で人生の基礎固め
 第五は「展望」であります。聖人は三世を知り十方に通じ、最高の展望力をもっておられる。
 女性には“極めつけ”グセがあるといわれます。“極めつけ”とは何か。横の一方から見て、それで事たれりとして、上から、下から、正面から、相手の立場から、と多角的、相補的に見るところまで、手続きを進めない。木を見て森を見ないたぐいであって、展望が悪いのであります。そして物事を間違って見てしまう。展望せずして瞬間的判断のみですと、流行と俗論に迷います。結局、人まね競争に堕して、独立人格の主体性はどこへやら、自ら女性視の促進に励んでいることにほかなりません。世間一般では、こうした傾向が強い。
 たとえば結婚の破局に泣く女性が多い。それは選択眼がなかったからともいえるし、毎日の相克や争いの原因、およびその解決法を展望できなかったからともいえる。
 展望は、人間活動の全領域を一つの体系として構成的にとらえることが大事です。婦人部の方ですと、公私ともに“いまここで役立つ能力”が要求されます。ところが、女子部の皆さんは、“やがてどこででも役立つ能力”の涵養のほうが、現在は大事なのであります。
 そう展望すれば、人をうらやむ気など起こりません。むしろ若い身空でチヤホヤされている特殊な有名人たちが、先行きどうなることかと気の毒に思えてくる。これが展望というものであります。
 人生の連帯性を展望すれば、自分一人がぬけがけ的に幸せになろうとしても、無理であることがわかって、逆境にもくじけずにすむ。すると本因の姿勢と、指導を求める気持ちが定着します。更にすべてが因果律のとおりに、誤らずに展望できすま。
 皆さんは、平均して二十代だと思います。するとあと五十年以上の人生が待っている。広宣流布という尊い使命を担った長い旅路です。一人ひとりがいつかは母となり、祖母となり、家庭を健全に築いて、娘や孫へ手本を示していかなければならない。また立派な女子部を築いて、妹ともいうべき後輩たちへ伝えていく使命がある。正しく長く広い展望をえれば、しぜんに責任感がわき、喜びも希望もわいてくるのであります。
 いまは“モーレツ時代”といわれ、万葉のおおらかさを失って、小細工が多い時代です。文明悪から解放が叫ばれ、男性文化と女性文化が錯雑した風潮のなかにある。欧米もそのようです。だが、あと五十年の長い人生が、このままの状況の連続とは思えません。
 いや、だからこそ、貴重なわが五十年をかけて私たちが変えるのです。そこにこそ我々の晴れの舞台がある。洋の東西を展望し、歌声も高らかに、気高く、はつらつと、わが女子部の力を示していこうではありませんか。(大拍手)
 皆さんの健康を心からお祈りしつつ、最後に、女子部の全員に代わって、ご多忙のところわざわざご出席くださいましたご来賓の皆さまに心から厚くお礼申し上げまして、私の話を終わります。(拍手)

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