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日蓮大聖人・池田大作

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第3回中等部総会・第2回少年部合同総会… 人格の骨組みつくる少年期の信仰

1972.8.8 「池田大作講演集」第4巻

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5  力ある伝持の人に成長
 次に、若い皆さん方が人生の方向を決定する大事な時期において、どうあるべきか――その一つの例として、有名な物理学者アインシュタインについて述べておきたい。
 ごぞんじの人もいるでありましょうが、アインシュタインは相対性理論という画期的な原理を発見した偉大な科学者でもあります。彼はユダヤ人で、第二次世界大戦のさいには、ドイツ軍に迫害されてアメリカに逃げなければならなかった悲劇の学者であります。しかし、彼の残した業績は、そのような迫害に負けることなく、不滅の光を現代に放っております。
 逆境、迫害をも乗り越え、自己の使命に生きる人は、だれよりも偉大であります。しかも、皆さん方は妙法をたもつ最高の使命の人であり、学会の一世界の宝であります。どのような苦しいことがあっても、自己の目標をしっかり見定めて進む強い人であってほしい。
 アインシュタインは、現在の科学者でさえ、容易に理解できない、難解な理論を打ち立てたわけでありますが、少年時代は、特別な優秀な少年であったわけではない。学校環境も決して恵まれてはおらず、そこで、お互いの腕が重なり合うほど詰め合い、押し合いながら勉強したといわれております。
 成績も必ずしも優れておらず、数学の試験では落第したこともあるそうであります。要するに、ごくふつうの平凡な少年であった。ただ一つ、小さいときからいろいろなことについて「なぜなのか」という疑問をよく発したそうであります。そうしたときの両親の答えは「自然にそうなっているのだ」ということであったという。
 アインシュタインが中学生ぐらいの年代になったときに、ガリレイの本を読んだ。ガリレイがピサの斜塔から錘を落とし、その落ちる速度を公開実験したことが書かれている。アインシュタインは、物理学こそ自然を支配する法則の一つだと、身震いするような感激をおぼえ、自分は物理学を一生涯の研究対象にしようと考えたというのであります。
 そして、方々の古本屋を捜して七百ページぐらいの本を三冊買いこみ、苦心惨憺して読んだこともあるという。物理学の研究を始めて、数学を勉強しなければならないことを痛感し、猛烈に数学の勉強にも精を出し始めた。
 それからの勉強が、アインシュタインにとって楽しいものとなってきたのは想像にかたくありません。「読破する一ページ、一ページが、私の周囲に難攻不落の城壁を築いてくれるような気がした」と彼自身に述べております。両親からもらったお金、アルバイトなどで貯めたお金はすべて本代につぎこんだそうであります。それ以降の彼の活躍は、皆さん方の知っているとおりであります。そこで、私が皆さん方にいっておきたいのは、平凡な、どこにでもいるような少年であっても、またユダヤ人という迫害された民族の環境にあっても、一つの志を立て、その目標に進むことに誇りをもったならば、想像もできないような力が湧き出てくるという原理であります。
 アインシュタイン自身は、優れた頭脳の持ち主であったかもしれない。しかし、それよりも大切なことは、自分は一生涯、物理学を勉強するのだと決めて、その目標に向かって一歩一歩どのような障壁も乗り越え、真一文字に進み、貫き通したということであります。その気迫、粘り、忍耐があってこそ、後年の大物理学者としての栄誉があったと、私はいいたい。
 そのアインシュタインも、自ら偉業を成し遂げたあとは、物理学、科学だけでは宇宙、人生の究極のものを得ることはできないと悟った。その根本の解決法として、東洋の宗教に絶大なる期待をかけたということは、彼が晩年に述べております。これは有名な話であり、彼の結論であったかもしれない。皆さん方はすでに、アインシュタインが渇望していた、まさにその大仏法をたもっている。少年時代、青年自体を一途に明るく勉学に励んで、このなかから、やがては妙法の大科学者、大文学者、大教育者等々がでて世界の平和に貢献してもらいたいということが、私の心よりのお願いなのであります。(大拍手)
6  青少年の成長は希望の太陽
 最後に、日蓮大聖人の御書に出てくる白馬と白鳥の物語について、お話をしてみたい。
 昔、インド輪陀王という大王がいた。この大王は白馬のいななきを聞くと生命力がしぜんと豊かになり、身も心も力がみなぎってくるので、大王は白馬をたくわえ集めていた。ところで、この白馬は白鳥をみるといななくという不思議な馬であった。そこで大王は多くの白鳥を飼っていた。このようにして輪陀王の国には白鳥が遊びたわむれ、それを見て白馬が高くいななき、大王はますます力に満ち知恵があふれていった。そのため国も栄え、他の国々の人たちも輪陀王を尊敬し従っていった――という物語であります。
 日蓮大聖人は、この白鳥を大御本尊、白馬のいななきを南無妙法蓮華経の力にたとえられております。題目の力は自分個人を人間革命していくのみならず、社会をも大きく転換できるほど偉大であるというのが、この物語の意味であります。
 それはそれとして、私はここで、たとえば白馬を私たちお父さん、白鳥を皆さん方になぞらえて考えてみたい。ちょうど、白馬が白鳥の姿を見て高くいななくように、私たち大人は皆さん方が元気であるならば勇気凛々、ますます力が湧いてくるのをおぼえるのであります。皆さん方こそ、私たちの最大の生きがいであり、希望の太陽であります。皆さん方があってこその私たちである。皆さん方が大空高く舞い上がっていくならば、それだけ私たちにも力が満ちてまいります。どうか、この私たち大人の気持ちを知っていただいて、すこやかに成長し、天空高く鳳凰となって舞いゆかれんことを切望し、私の話とさせていただたきます。(大拍手)

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