Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第12回学生部総会 崇高な信仰の人たれ

1970.7.5 「池田大作講演集」第3巻

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4  第三に「おのおの学問の道を究め、新時代をリードする力ある学者、文化人、指導者に育て」
 冒頭に申し上げたように、新生創価学会の主要目標は、宗教運動を根底とする大文化運動である。思想、哲学、宗教といえども、人生、社会、文化のうえに、現実に反映されていかなければ観念論にすぎない。そして、こうした観念的思想、宗教の行きつくところは、形式主義、権威主義である。
 日蓮大聖人の遺された三大秘法の仏法が、確かに力ある大宗教であることは、これまでの創価学会の実践と展開によって、基本的には立証されたといえる。だが、それですべてが完了したわけでは、もとよりない。
 これまでの学会の実践は、いわば、実験室のなかでの成功である。七百五十万世帯の、この学会の世界という“実験室”のなかで、あらゆる条件に守られて、実験は見事な結果を示した。しかし、それが、はたして、現実の社会のなかで、違った条件のもとであっても、そうした結果を出すことができるかどうか。これはまさに、これからの課題なのである。
 しかも、日蓮大聖人の生きた仏法の現代世界における実証は、社会の風雪のなかでのこれからの実践いかんによって、はじめて本格的に遂行されるといっても過言ではない。この成否を決する究極的な鍵を、私は、人材の輩出にあると考える。
 仏法は、根底の精神の問題である。社会にあっては、その社会で第一級の、力ある人材に育たなければならない。その社会的力と実績が、一歩掘り下げられたときに、信仰、仏法の偉大さが証明されていくのである。だが、社会的活動それ自体は、宗教とは無関係と考えるべきである。
 すでに、学会も、その多角的な活動のために、一切の機構、建物、そして根底の原論は完備した。たとえていえば、ビルディングはできあがったのである。あとは、このビルディングのなかで執務する優秀な人材によって、成否が決まるといってよい。
 学会内にあっても、社会のあらゆる分野にあっても、広宣流布の大使命感に立った有能な人材の輩出が、他のなににもまして要請される。この要請に応えて立つものこそ、諸君ら学生部である。そのためには、おのおのの専門分野において、第一級の力を身につけていただきたい。
 学問の専門の道に進んで、学者となる人もいるであろう。あるいは、実社会に出て、各方面の専門家となる人もあろう。だが、既存の社会の汚濁に染まりきって、人間として、新時代のリーダーとして、その崇高な目的観、使命感を忘れてしまうようなことであってはならない。信仰の人として、大宗教思想をたもった革命児として、はるかな未来を望みつつ、しかも現実の社会の力ある人材として、自己のまわりを潤し、変革していく、偉大な人格でなくてはなるまい。
 繰り返していうが、広宣流布は、これからが本格的な段階である。一切の事業は、総仕上げのいかんで成否が決定される。それだけ、また至難の業でもあるわけである。その重大なる責任を担っていくのが学生部であることに、最大の誇りをもって、光輝に満ちた新しき十年の歴史を刻まれんことを、心から祈ってやまない。
 日寛上人いわく「夫れ鳳凰は樹をえらんでみ」(観心本尊抄文段)云云と。
 みがかれた英知の俊逸は、使命の庭に生きたとき、もっともその所を得て力を発揮することであろう。私は、諸君に一切を託したい。諸君の未来に思いをはせるとき、限りない勇気が湧いてくることを実感する。
 最後に、どうか、体を鍛え、健康な日々を送られんことを。

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