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日蓮大聖人・池田大作

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御本尊送りの心構え  

「池田大作講演集」第1巻

前後
3  御本尊送りのときは、必ずしも五座、または、三座の勤行をしなければならないということはありません。方便品、寿量品の長行、自我偈、唱題が普通になっていると思います。しかし、ときによっては、方便品、自我偈、唱題だけでもいいし、題目三唱で終えていい場合もあります。夜遅い場合とか、夕食時にあたったとか、それぞれのケースによって、賢明に臨機応変に対処していただきたい。深夜、眠いのに家族の人達に迷惑をかけたり、長いあいだ夕食を待たせたりするようなことがあっては、反感を買ってしまします。ですから、時間、家族の様子等は敏感に察知して、とどこおりなくすませることが大事です。
 御授戒や御本尊送りにゆく場合、新入信者の人達に、世間話などをまじえながら、心のゆとりをもたせてあげてほしいものです。″この際、徹底的に信心のことを教えておこう″(笑い)といって「あしたの朝は、午前五時に起きて、普通の人の十倍ぐらいやりなさいよ」などと、希望を失って(笑い)しまうようなやり方は感心しません。
 出勤時間が早い人には、最初は、方便品、自我偈、唱題だけでもいいのではないでしょうか。退社の途中、家へお寄りなさい、一緒に勤行しましょうと、それぐらいの余裕ある気持ちで接していただきたい。ともあれ、信心と世間とは決して離れているものではありません。むしろ、いろいろな世間話のなかにこそ、信心がある、という姿勢で進んでいただきたいと思います。
4  新入信者に対しては、粘り強く激励を重ねて人材に育てていただきたい。勤行一つ教えるのでさえ、なみたいていでないことは、よく知っております。しかし、最初の三か月間が大事なのです。勤行の指導をする場合でも、新入信者の家の近くの会場で一緒に勤行するとか、自宅へ呼んで教えてあげるとか、努めて本人が信心しやすい環境をつくってあげてほしいのです。
 新入信者が途中で感激を失い、退転しかかるようなことがあるかもしれませんが、御本尊に退転しないようにしっかりご祈念して、強い根性をもって、その人を一人前にしてみせるという決意で臨んでいただきたい。生涯にわたる長い信心です。焦りすぎて、口うるさくなり、かえってその人を組織から離れさせてしまうようなことがあってはなりません。ですから、一応、三か月待って、立ち上がってこない場合でも、今度は半年がかり、それでもダメな場合は、一年、三年と、これぐらいの展望をもって、育成していただきたい。
 ただし、御本尊がなにものにもかえがたい大切な宝であることは、最初に強調しておかなければなりません。御本尊を安易な気持ちで取り扱うようなことがあれば、本人が可哀想です。仏さまの生命である御本尊を破ることは、我が身即妙法の当体であることを考えれば、自分の生命を破ることになるからです。ともあれ、新入信者の心を動かすか否かは、指導する人の慈悲と確信で決まってくるものです。この人を救ってあげよう、どうしても幹部に育てようという慈悲と確信こそ、人材育成の第一条件と知っていただきたい。
5  御授戒に行く場合は、まえもって相手の人に、寺院に行く時間、待ち合わせの場所、寺院名とその所在地等までも、よく教えてあげてほしいものです。ただ「あすは御授戒ですよ。私が迎えに行きますから待っていてください」では、相手の人も困るでしょう。どういうところに行くのか、何時ごろ帰ってこられるのか、そういうことがはっきりしていると、行く人も安心すると思うのです。
 また「魔難はずば正法と知るべからず」の御金言もある通り、いったんは入信を決意しても、その後、周囲の反対にあって″初志″がひるがえってしまう場合があります。少しでも心配だなと思ったときは「難を乗り越える信心」の大切なことをよく訴え、せっかくの発心を水泡に帰するようなことのないようにしてあげていただきたいものです。
 更に、寺院の御供養についても、その精神はどうあるべきか等、懇切丁寧な指導をお願いしたい。現在、御本尊をいただくときは、原則として五百円の御供養を添えることになっています。しかし御供養は、あくまでも私達の真心の表現であり、単なる金額の問題ではありません。ときに生活に困った貧しい人があれば、その人の境遇に応じた真心の御供養であってよいのです。要は、新しい入信者をどうしたら幸せにできるか、安心して信心させられるかという問題であり、そのための臨機応変な処置、行動が大事になってくるのです。原則論は当然必要ですが、そのために型にはまった考えに陥ることは、愚かなことです。
 私としては皆さん方が心苦しく感ずるような活動は少しもないようにしてあげたいのです。創価学会のこの美しい和合僧団のなかにあって、同志が苦しい思いをするような活動は、一つとしてあってはなりません。活動すればするほど功徳が満ち、心に喜びがいてくる。戦いは苦しかったが、やりがいのある毎日であった――全ての同志が、心の底からそう実感できる学会活動であっていただきたいのです。皆さん方は大きく胸を張り、伸びのびと戦っていってください。(拍手)

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