Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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五万の学生と共に進まん 第7回学生部総会

1964.6.30 「会長講演集」第11巻

前後
4  それから、次に申し上げたいことは、王仏冥合ということなのです。これはまた、王仏冥合の具体的な理念として、本にするつもりでございますが、あまりにも前代未聞の大哲理であり、わからずして一部の学者等が批判することも、これはやむをえないかもしれない。(笑い)
 だが、これも絶対完ぺきな大哲理であり、理想社会実現の理念であることはとうぜんであります。いままでにないから、どうしてもわからない。あるものだったら、そこから経験的に、なからかの推測はできますけれども。
 王仏冥合ということは、私どもが実現する以外にありません。ただ私は、政治改革の結果からみて、王仏冥合と類似点をもつ事実がイギリスにもあったことを、皆さん方にお話をしたいし、また、皆さん方も研究していただきたいのです。
 どうも日本人というのは、西洋のことを話すと、なるほどなと、そう思いがちになる民族らしいのですね。(笑い)日本の国に、これだけの大哲理があるのに、それを究明しようとしないのは、ひじょうに悲しいことです。
 イギリスの国も、ちょうどいまの日本の政治と同じように、十八世紀においては、汚職、不道徳で、混沌たる政界であったことは歴史的事実です。ちょうど十八世紀のイギリスの政治と、いまの日本の政治とが同じような状態だから、それが「日本の政治は十八世紀じゃないか」このようにいわれるゆえんでしょう。
 そして西洋においては、とうぜん政教分離の思想があらわれてきた。中世の暗黒政治から、その次に新しい社会体制、理想的な議会政治、民主政治へと進んだわけです。そこで今日、世界的に議会政治の模範とされるイギリスになったのです。多少、国々によっては異論があるでしょうけれど。
 その十八世紀の混沌とした、腐敗しきった政治を、今日の十九世紀以後の模範的な議会政治にした、その底流はなんであったか、土台はなんであったか。
 まず、それはウェスレー兄弟らにおける、かの大宗教運動です。それが根底になった。宗教の大啓蒙運動がなされた。とともに、ベンサムのあの急進的な大哲学運動がなされた。そこで民主主義の土台を築いた。これは歴史的な厳然たる事実であります。民主主義の土台を築いた、それはどうしても宗教か哲学であった。政教一致とは違う宗教と政治の関係、王仏冥合と一つの類似点、共通性をそこから学びとっていただきたいと思うのです。西洋には王仏冥合ということばがありませんから。
 そして、そのうえに哲学をもち、思想をもつ、清潔なる政治家が輩出しております。バーグとか、ピット、チャタムとか、世界的な政治家がぞくぞくと輩出し、イギリスの、世界第一の民主議会政治の確立をすすめたのであります。その点から考え、いま創価学会が前進し、公明党がなさんとする王仏冥合の前進の本質を調べ上げていただきたい。また考えてみていただきたいと思うのです。
5  けっして独断的な行動をとっているのではない。それは、日蓮大聖人様のおおせどおりにやっております。大聖人様のおおせに間違いがあるわれは絶対にない。だが、それをわからせるために、なんらかの、そこに類似点を研究してもらいたい、教えておきたい、こういう意味から申し上げたのです。
 心ある学者は、政治構造の根底には倫理・哲学・宗教がなくてはならないと叫んでおります。心ある学者は、民主主義の根底には、ひとりひとりの心の奥底に、コンクリートのような道徳・哲学・宗教がなかったならば完成できるわけはないともいっております。
 したがって、当面問題の政治は政治として大事ではありますが、真実の宗教は生活の源泉であり直結しています。
 したがって、哲学の、宗教のこの大運動は、これこそ深遠なる大政治運動につながると確信しなくてはならないと私は思うのです。(拍手)
 どうか、また、この一年間、からだを大事にして、しっかり勉強して、来年の総会のときには、一段と成長して、きょう集まった一万二千人の代表の方々がひとりも退転せず、一段と元気で集まっていただきたいことを最後にお願い申し上げまして、私の話とさせていただきます。
 たいへんご苦労さまでございました。

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