Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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世界の希望の宝未来部(上) 強くなれ

2008.2.16 随筆 人間世紀の光4(池田大作全集第138巻)

前後
4  ルソーが『エミール』を書くに至った淵源には、彼自身が少年時代にお世話になった、一人の人物との出会いがある。
 彼は幼くして母を亡くし、十歳の頃、父親とも離別した。徒弟として働けば、親方に苛められ、十六、七歳頃には、放浪生活もした。
 世を恨み、自暴自棄になっても不思議ではない、苦渋の青春であった。
 その間、ルソーが仕事を紹介してもらおうと訪ねた一人に、二十歳はど年上の若い司祭がいた。名前をジャン=クロード・ゲームといった。
 このゲーム氏自身は、仕事の世話ができるような立場ではなかった。だが、それに勝る力をもっていた。「誠実」という人格の力である。
 彼は、会うたびに、ルソー少年を温かく励ました。真剣に、正しい生き方を語ってくれた。そこには「真心の親切」がこもっていた。
 自分のことを、ここまで思いやってくれる先輩がいる──その感動を滋養として、青春の生命は無限に伸びゆくのだ。
 ルソーは、三十年以上の歳月を経て、名著『エミール』や『告白』等を著す。
 そして、若き日の恩人への限りない感謝を綴っていったのである。
 「わたしはこの人の第二の弟子となった」「当時、わたしが無為のあまり邪道におちいりそうなのを救ってくれたことで、測りしれぬ恩恵をあたえてくれた」(『告白』桑原武夫訳、岩波書店)等と。
 よき先輩をもち得た人は、人生の宝を持った人だ。
 若き後輩の生命に、希望と成長の種子を残しゆく人は、偉大な人間教育の王者である。
 わが創価学会にあって、「広布の宝」であり、「世界の希望の宝」である未来部の育成に奮闘してくださる尊き皆様方こそ、その王者の中の大王者の方々である。
 男女青年部の「二十一世紀使命会」の友!
 壮年・婦人の「未来部育成部長」の皆様方!
 ″進学推進″に携わってくれている学生部の俊才たち!
 そして教育本部の先生方!
 私は、最大に感謝し、讃嘆申し上げたい。
      
  偉大なる
    広宣流布の
      後継者
    育てむ燃えなむ
      決意を抱きて
 創立の父・牧口先生は、座談会に向かわれた先々で、子どもたちの生命に未来への広布の種を蒔いておられた。
 小学四年生の時に入信した私の妻も、駅に着かれた牧口先生の手を引いて、自宅の座談会に案内したことが、信心の原点となっている。
 狂乱の戦時中である。
 特高警察が何度も「中止! 中止!」と怒鳴り散らすなかでも、牧口先生は師子王の如く堂々と、仏法の正義を言い切っておられた。
 ″未来部一期生″ともいうべき妻は、その姿から、峻厳なまでの先生の偉大さと仏法の崇高さを、生命の奥深くに刻みつけていったのである。
 子どもの心は鋭敏だ。
 一人の人間として誇り高く広宣流布に生き抜く信念の姿、人びとのため、社会のために勇んで学会活動に走り切る姿──それこそが、子どもたちの最大の教育となる。
 「創価学会の組識は安全地帯である。子どもは、学会の庭で育てていきなさい」
 これは、恩師・戸田先生の遺訓であった。

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