Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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創価の宝「白ゆり長」  

2004.9.24 随筆 人間世紀の光2(池田大作全集第136巻)

前後
4  それは、壮麗なる儀式であった。一九九二年(平成四年)の六月三十日、私はイタリアのルネサンスの天地フィレンツェにいた。この日、市庁舎であるベッキオ宮殿において、モラリス市長から「フィオリーノ金貨」を記念として頂戴した。
 文化の象徴として、この金貨を一級の文化人に贈ってきたことを市長から伺い、身に余る栄誉に感謝した。ドイツのワイツゼッカー大統領、ノーベル平和賞を受賞した旧ソ連のサハロフ博士らに贈られ、日本人では私が初めてであった。
 私の目は、金貨の図柄に強く吸い寄せられた。そこには、「百合の花」が刻まれていたのである。百合は、「花の都」と謳われたフィレンツェ市の紋章でもあった。
 ″この金貨は、全世界の婦人部が、永遠に豊かな人生を生き抜く証だ……″
 わが大切な大切な、広布の尊き使命に戦う婦人部の方々を胸に浮かべて祈る思いで、私は「フィオリーノ金貨」を拝受した。フィオリーノとは、「小さな花」との意味である。
 この金貨は、日蓮大聖人が立宗宣言される前年(一二五二年)にフィレンツェで鋳造され、西ヨーロッパ全体に広く流通していった。品質の高い″百合の金貨″は、この地に繁栄をもたらし、絢爛たるルネサンスの開花を呼んでいったと言われる。
 イタリアの婦人部も、創価のルネサンス大運動に大きく活躍しておられた。鋭く、そして逞しく、皆、生き生きと微笑みながら、正義を叫び、人間のための、幸福のための、新しき宗教大運動の先駆を築いてくださっていたのである。私も妻も、熱い涙が流れた。
 百合は、人類の歴史上、極めて古い栽培植物の一つであった。数千年前から存在した証拠が残っている。日本で″白ゆり″といえば、テッポウユリなどが名高いようだが、その他にも、北海道から沖縄まで、個性豊かな野生の百合が咲いている。あの「万葉集」でも、百合が歌い上げられてきた。
 なぜ、百合は美しいのか。それは、生き抜くために、全生命で戦っているからだ。
 花の美しい個性は、厳しい生存競争に勝ち抜く″知恵の表現″であると、学者は論じている。言葉を持たない花ですら、色や香りで、″声にならない声″を上げ、精いっぱいアピールしているのだ。ましてや、人間であるならば、自らの力の限り、声を発することは、当然だ!
 広宣流布のために、幸福と正義のために、「白ゆり長」が、声も美しく、そして高らかに、戦いゆく姿は、何と崇高なることか!
 「白ゆり長」の美しき心、強き心、慈愛の心があって、創価の陣営は拡大してきたのである。
5   雑草に
    囲まれ 吹雪に
      耐えゆかむ
   王女の如き
     白ゆり優雅に
 白ゆりは、聖なる花として尊ばれてきた。
 十五世紀に、ジャンヌ・ダルクが祖国フランスを救うため決起した時、彼女が掲げた旗印には、″百合を持った天使″が描かれている。自ら刺繍職人に、絵柄を注文して作らせたものであった。後に裁判にかけられ、法廷に立った彼女は、旗印と剣とどちらが好きか問われた。
 「剣より旗印の方が四十倍も好きです」(レジーヌ・ペルヌー『ジャンヌ・ダルクの実像』高山一彦訳、白水社)
 ″百合の旗印″は、彼女にとって、正義と信念の象徴であったにちがいない。ジャンヌ・ダルクは、権力者による政略的な裁判で火刑に処されたが、幾世紀の歳月を超え、彼女の生涯は不滅の光を放ち続けている。歴史から断罪されたのは、不当な裁判の方であった。
 ″百合の旗印″は勝った。命懸けの信念が勝ったのだ!
 正義に生きる女性の魂ほど尊く強く、美しき不滅のものはない。歴史の常として、崇高なる信仰と理想に生きる偉人の真実が、いかに汚され、ねじ曲げられてきたことか。
 フランスの文豪バルザックは、代表作『谷間のゆり』のなかで、中心人物の女性に、こう語らせた。
 「汚辱(おじょく)にまみれた人々は、自分たちの溺れている泥水を、それこそだれより気高い人々にさえはねかけようとするのです」(宮崎嶺雄訳、岩波文庫)
 これが、世の現実である。だからこそ、その人間の悪徳の流転を変えることだ。正義の栄える時代を切り開くのだ。我らの広宣流布の行進にあって、白ゆりの花は、勝利と栄光の紋章だ! 創価の正義を満天下に示す、婦人部の旗印だ!
 卑しく狡賢き人間群にあって、神々しき陣列の先頭に立つのが、使命深き「白ゆり長」である。創価の宝「白ゆり長」の皆様が、信仰と生活に、仏法と社会に、現実と永遠に、悠然と、日々、小さくも大きくも勝ち抜いてゆく姿こそ、大仏法の勝利であり、学会の正義の勝利なのだ。
 ともあれ、「悪口罵詈」「猶多怨嫉」は、広宣流布を成しゆく、法華経の行動者であるという晴れやかな証明なのである。
 信仰は、何ものにも決して恐れず、厳然と乗り越え、勝ち進んでいく、人生の最大にして究極の大道である。仏になる道は、「この道」しかない。そこに、永遠の勝利者となり、永遠の幸福者となって、不滅の生命を晴れ晴れと飾りゆく流転があるのだ。
  白ゆりの
    不思議な香りは
      天までも
    昇りて諸天も
      我らを護らむ
 世界一の「白ゆり長」、万歳! 世界一の「副白ゆり長」、万歳!
 いついつまでも、御健康で、御多幸であれ!

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