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日蓮大聖人・池田大作

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アメリカ創価大学の挑戦  

2004.1.9 随筆 人間世紀の光1(池田大作全集第135巻)

前後
3  SUAは、数多くの市民の願いと熱意が凝結した″民衆立の大学″である。
 そうした陰の一人に、草創からの同志である、神奈川の功労者がおられる。
 一九六四年(昭和三十九年)、私が発表した創価大学の構想が、彼の人生を変えた。深く共鳴した彼は、自分も未来のために教育に貢献したいと、消防士を辞め、私財を投じて幼稚園を設立されたのだ。
 私と同年の岸さんは、戦争で兄を失い、働きながら苦学を続けられた。だからこそ、教育を大事にする情熱は人一倍であった。
 大阪・交野の創価女子学園(現・関西創価学園)の開校二年目には、地方出身の生徒のためにと、自ら私設の″寮″を提供された。私が彼と初めてお会いしたのも、この″寮″であった。創価大学を支える″父母の集い″では、神奈川県の責任者を務められ、札幌創価幼稚園の設立の時は、幼稚園経営の経験を踏まえた貴重な助言をいただいた。
 晩年の数年間は病魔との闘いであったが、SUAの建設を心から支援してくださった。亡くなる直前まで、SUAが旭日のごとく発展する姿を、わが眼で見たいと願っておられた。
 そして二〇〇一年の六月、SUAの開学を見届けるかのように、七十三歳で逝去されたのである。
 私は、SUAのキャンパスに、岸さんを偲ぶ木を植えていただいた。
 この尊き偉大なる力を持つ、庶民という英雄の「心」を絶対に忘れてはならない。
4  君たちのスクラムは、常に「励ましの方向へ」「友情の方向へ」と進んでいる。
 入学当初、英語で行われる授業についていけずに悩む友を励まし、毎晩、テキストを読み合った友がいた。
 寮の世話役を進んで買って出て、勉強時間を割いても、後輩の相談にのる先輩たちがいることも知っている。
 三十以上も生まれたクラブには、「祖国の文化を知ってほしい」「自分ができることを伝えたい」と、互いに教え学び合う、尊くして強き連帯感がある。
 SUAは、多様な文化的背景をもった英才たちが集う、「友愛」と「共生」の世界の未来図といってよい。
 それは、国家・民族・文化等の差異を超え、「人間」という宝で世界を結ぶ、偉大なる指導者を育成しゆく、人類の希望の大学なのだ。
5  わが生涯の夢である、若き知性の英雄たちよ!
 君たちが、世界中で手を取り合い、人類の幸福のため、平和の舵取りをする時は、すぐそこまで到来している。
 君たちよ! 君たちには、真剣に学問に取り組む責任がある。SUAに期待を寄せ、信じている、良識ある無数の人びとのためにも、断じて勝利しゆく使命があるのだ。
 「人間はおのれを教育しなければならぬ」(『エマソン選集』7、小泉一郎訳、日本教文社)とは、アメリカの哲人エマソンの、若き日の叫びであった。
 自身の血潮を滾らせ、徹して学べ! 真剣に学び抜け!
 人類が待ちに待った、民衆が輝く勝利の歴史を、君たちよ、絶対に築き抜いてくれ給え!

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