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日蓮大聖人・池田大作

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ロハス フィリピン文化センター前理事長… 信念の母と娘

随筆 世界交友録Ⅱ(後半)(池田大作全集第123巻)

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4  母よ! あなたの人生のように
 愛娘のロハス女史は、母の志を受け継いだ。小さいころ、体が弱かったので、「丈夫になるように」とバレエを習わせてくれた母。
 文化を愛した「平和の母」の娘は、平和を愛する「文化の母」として立った。
 国立「フィリピン文化センター」を、ある人は「日本で言えばNHKと民音を合わせたような活動でしょうか」と説明する。文化の創造と継承、海外との交流の柱の存在である。
 その理事長として、ロハス女史は大きな足跡を残された。日本との交流も「日本人はフィリピンに対して、ゆがんだイメージをもっていると思います。それを変えたい」と真剣であられた。
 私との語らいの中から「バレエ・フィリピンズ」の民音公演が実現した(九三年)。アジア随一、世界でも「これを見に、百マイル(約百六十キロ)歩いても後悔しない」(米国ノースカロライナ州の新聞評)等、絶賛されているバレエ団である。
 それ以前にも、同センター所属の「ラモン・オブサン国立民族舞踊団」の民音公演(九〇年)が、日本人にフィリピンの文化レベルの高さを教えてくれた。
5  ロハス女史は言われる。
 「アジアの人々がいだく日本のイメージは、戦時中の軍国日本と、現代の経済大国の金もうけ主義の顔だけです。日本はもっと別の顔を見せるべきです。文化交流を進める人こそ、日本に必要なのです」
 「長い間、私はどうしても日本人に心を開けませんでした。しかし、夫の商用で来日し、日本の芸術にふれてから変わったのです。日本の芸術が好きになり、やがてそれを生み出した日本人にも心を開いていったのです。
 芸術は、憎しみをも超えさせます。文化こそ人間と人間の太い絆なのです」
 母子二代の生涯をかけた、この叫びは、“魂なき国”と呼ばれる日本の耳に届くであろうか。それともふたたび卑しき傲慢によって滅びていくのか。
 日本の選択を、アジアの厳しい目が、じっと見つめている。

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