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日蓮大聖人・池田大作

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余燼  

小説「人間革命」5-6巻 (池田大作全集第146巻)

前後
18  七月三十日は、七月度の本部幹部会の日であった。八日の臨時幹部会から二十日余りしかたっていなかったが、場内の空気は、新しい出発の決意に変わっていた。
 日昇の誠告文が紹介され、その次に戸田会長の奉答文が読み上げられた。
 七月は、宗会議員との話し合いのために、多くの中心幹部が各地を訪れなければならなかったが、折伏成果は、千百六十五世帯と、千世帯を下回ることもなかった。
 八月の本部行事は、夏季講習会と、全国的規模の弘教を展開することが発表された。そして、二千世帯の達成を目標に掲げ、幹部会は力強い息吹に満ちて閉会したのである。
 なお、七月二十七日に、横浜市鶴見区市場町に白蓮院支院として、一寺が開設され、入仏式が厳かに挙行された。鶴見方面の学会員七百人が、喜々として参集した。学会の手によって誕生した第一号の寺院である。紛糾した事件のなかにあっても、広宣流布の潮は休むことなく、鶴見の岸辺に、ひたひたと寄せていたのである。
19  広宣流布への道程は、決して平坦な道ばかりではない。笠原事件は、学会を思いもかけない茨の道に踏み込ませたかに見えたが、首脳部の、心を一つにしての粘り強い話し合いの展開は、宗内を覚醒させ、見事に一つの試練を乗り越えたのである。
 立宗七百年祭に突如として燃え上がった火が、正法興隆への輝かしい門出の峰火となったといえよう。そして、そこに尾を引いた余燼は、かえって広宣流布への新たな闘争への炎となって、燃え広がっていったのである。

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