Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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序曲
小説「人間革命」1-2巻 (池田大作全集第144巻)
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正面の時計は、はや午後五時三十分を過ぎていた。
この第一回総会は、創価教育学会から脱皮した、新生・創価学会の旅立ちであった。学会は、価値論を足がかりにした旧来の方式と決別し、真実の仏法の偉大なる利益を語りながら、民衆のなかへ、人間のなかへと、歓喜の行進を開始したのである。
出獄以来、一年有余である。戸田は、新しい創価学会を、厳然とスタートラインにつけた思いがした。彼は、この日、満足であった。あとは、速度の調整に注意し、激励し、時には厳しく指導しなければならない。
しかし、この時、スタートラインについたのは、創価学会だけではなかった。敗戦国日本もまた、新憲法によって、それまでの歴史を衣替えして、この同じ十一月に、スタートラインについたといえよう。
既に、外は薄暗く、寒かった。水道橋駅に向かう途中、数人の青年たちが、戸田の後についてきた。皆、貧しい身なりである。が、彼ら青年こそ、宝を胸にいだいた、未来への原動力である。皆、清く、たくましい若人であった。
戸田は、嬉しかった。
青年たちが、誰歌うともなく、″男子青年部歌″を歌い始めた。煩わしい街の騒音をよそに、戸田は、じっと彼らの歌に耳を傾けていた。
栄華の波の うつろいて
野望乱舞の 沈む時
邪法は すたれど 正法は
威光 さんと 久遠なれ
ああ吾が友が 大願の
広宣流布の 時来る
熱血たぎる 若武者よ
法旗を持して 奮い起て
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