Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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世界を照らす希望島 沖縄は「広宣流布」の太陽

2003.10.29 随筆 新・人間革命6 (池田大作全集第134巻)

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5  百五十年から二百年前、船で琉球王国を訪れた西洋の人びとは、沖縄人の印象深い実像を書き残している。
 「琉球の人々は、ためらうことなく異国人に援助の手をさしのべ、これに対する見返りなど夢にも考えていないらしい」「ほんとに心やさしい人々だ」「琉球人は友好的で信頼のおける民族だ」(ラブ・オーシュリ、上原正稔編著『青い目が見た大琉球』ニライ社)
 沖縄には、遭難船の乗員を助けた逸話も数多い。
 十九世紀の半ばには、三百八十人もの中国人の労働者が石垣島に上陸した。米国に送られる途中、奴隷扱いに抵抗して船を奪ったものの、沖合で座礁してしまったのだ。
 この事件に、米国等は武装兵を上陸させて追跡したが、島民は労働者を助け、追っ手に殺された人びとも丁重に葬ったのであった。
 それらの墓は風雨に崩れたが、現在、人道的な事跡を伝える慰霊碑として、新たな「唐人墓」が建設されている。
 苦しんでいる人を放っておけない――この沖縄の温かな人間主義は、「チムグルサン(相手の立場に立って苦しみを共有する)」という同苦の心に、「イチャリバチョーデー(行き会えば皆兄弟)」という開かれた心に、今も脈々と息づいている。
 そして、それは、自然のうちに、仏法の精神と深く深く響き合っているのだ。
 沖縄には、人と人を隔てる偏狭な、あの暗い壁はない。国境や時代をも超越して輝く「地球市民の精神」がある。戦乱と暴力に満ちた世界を癒す、「平和の文化」の大地がある。
 来月には、沖縄で「グローバリゼーション・フォーラム2003」が開催される。有識者たちによって、新しい世界秩序の構築を議論する会議だ。
 ここには、私の友人であるゴルバチョフ元ソ連大統領も出席の予定である。
 世界から沖縄に集い、沖縄から学び、沖縄で世界の未来を考える時代になった。
 まさに沖縄は、「世界の希望」の宝島となってきた。宿命の地図は、今や劇的に組み替えられてきているのだ!
6  日蓮大聖人は、「たねと申すもの一なれども植えぬれば多くとなり」と仰せである。
 妙法とは、尊極の「平和の種」であり、「幸福の種」であり、「勝利の種」である。
 我らは、その「よき種」を愛する郷土に植え、友情と信頼の花を爛漫と咲かせていく使命があるのだ。
 反対に、人間を不幸にする「邪悪の種」「堕落の種」等々は、厳しく取り除いていかねばならない。決然と戦っていかねばならないのだ。
 仏法は勝負である。断じて善が勝つために、信仰はあるのだ。
 二〇〇〇年の二月、忘れもしない「世界青年平和大文化総会」が、沖縄で楽しく、にぎやかに開催された。あの日あの時、歓喜の絢爛たるカチャーシーを、共に舞いに舞いながら、私たちは悠然と決意を新たにした。
 沖縄から、二十一世紀の平和の太陽よ昇れ! そのためにも、民衆が断じて勝つのだ!
 ちょうど四十年前、公民権運動の指導者キング博士は、あらゆる困難に屈することなく、「私には夢がある!」と烈々と叫んだ。
 今、私たちにも「大いなる夢」がある! 沖縄を「日本で最初の広宣流布の地帯」に!
 我らは、両手を高々とあげながら、全世界に誇る「団結」「異体同心」の大スクラムで、無限に輝く勝利の勝鬨をあげるのだ!
 孫文の夫人である宋慶齢は言った。
 「全身全霊 人民の利益のためにたたかう人は、疲れを知りません。何時も未来を光明あるものとみなしています」(『宋慶齢選集』仁木ふみ子訳、ドスメ出版)

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