Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

神奈川の大精神 戦いを起こせ! 歴史を創れ!

2002.1.15 随筆 新・人間革命5 (池田大作全集第133巻)

前後
6  私は、駆けつけた「聖教新聞」の記者に宣言した。
 二年ぶりとなる小説『人間革命』の連載再開と、草創期に戦い抜き、他界された誉れの先達を顕彰する「忘れ得ぬ同志」の執筆を開始する──と。
 学会を取り巻く状況から、私が表面に出れば、それ自体が攻撃の材料となることを懸念する声も多くあった。しかし、私は覚悟していた。私は言い放った。
 「このままでは、学会員があまりにもかわいそうだ。
 多くの同志が『今の機関紙を見ても、何の希望も見いだせない。勇気も出ない』と言ってきている。
 大切な学会員を守る責務がある。元気を出せるように励ます責任もある。会員を絶対に守り抜くんだ。
 私は、断固として、矢面に立って戦う!」
 尊き仏子である会員を守るためなら、一体、何を恐れることがあるか! 私は、その決然たる闘争宣言を、神奈川の地で行ったのだ。
 執筆は翌日から始まった。いざ戦う時は、電光石火の行動だ。攻撃の勢いが一切の勝負を決するからだ。
 この年は、七月末から異常気象が続いた。各地に冷害をもたらした冷夏に、私の肉体もいたく苛まれた。そのため、この時も、口述による執筆となった。
 七月二十九日には、「忘れ得ぬ同志」の第一回を発表。
 八月十日には、小説『人間革命』第十一巻の連載がスタートしたのである。その新章は「転機」の章──まさに、正義の言論戦で機を転じ、勝機を開きゆく出発の天地が、神奈川であったのだ。
7  ”新しき決意で、新しき戦いを起こせ!”
 箱根で、この決断をした時、私の胸には、師である戸田先生のお顔が浮かんでいた。
 先生が、歴史的な「原水爆禁止宣言」を師子吼なされたのは、こと神奈川の、横浜・三ツ沢の陸上競技場である。皆様ご存じの通りだ。それは、人類の生存の権利を奪う魔性に対する、仏法の人間主義を掲げての戦闘開始宣言であられた。
 さらに、鎌倉で、末法の言論戦を開始された、若き日蓮大聖人の御姿が臨ばれてならなかった。
 蓮祖は、御自身の大法戦について、御書に仰せである。
 「経文に任せて権実二教のいくさを起し(中略)今に至るまで軍やむ事なし
 「日蓮其の身にあひあたりて大兵を・をこして二十余年なり、日蓮一度もしりぞく心なし
 私は、強く、強く思った。
 「戦いを起とす」──この一点に、日蓮仏法の精髄が脈動していることを。
 仏の生命とは、勇気を奮って、来る年も来る年も、元初の決意をもって、厳然と戦い勝ちゆく法理であることを。
 それは何よりも、自分自身の惰性、油断、臆病などの、内なる魔を破る戦いだ。
 さらにマンネリ化した古い発想、人びとを縛る固定観念などを打破しゆく戦いだ。
 戦いがあるから、人は自己の建設と、境涯を開くことができる。そこに、限りなく広げられた幸福の大海原が待っているのだ。
 戦いがなければ、よどんだ水が腐るように、自分で自分の成長を止めてしまう。この世に生きた歴史も残せず、暗い無意味在一生で、後悔して屍をさらすだけだ。
 ゆえに、どとまでも、月々日々、汝自身の戦いを起こし続けよ! その戦いに勝ち切っていくなかに、広布と人生の栄光があることを、日蓮仏法は教えてくれたのだ。
 「戦いを起こせ! 歴史を創れ!」──これが神奈川の大精神だ。神奈川の合言葉だ。
 戦おうではないか!
 南米解放の父ボリバルは、力強く叫んだ。
 「信念を持って戦う民衆は、最後に勝つ」と。

1
6