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日蓮大聖人・池田大作

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生命光る”華冠”の友(下) 自身を磨け 麗しき同志と進め

2002.11.12 随筆 新・人間革命5 (池田大作全集第133巻)

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2  華冠グループの”出発の原点”といえば、北海道・大沼の函館研修道場であった。この地には「華冠の碑」が、今でも微笑するかのように立っている。
 碑の起工式は一九七八年(昭和五十三年)の六月二十三日。私たち夫婦も参列し、妻が日頃の感謝を込めて、クワ入れをさせていただいたことも懐かしい。
 この時、私たちは華冠の木として、「ドウダンツツジ」を記念植樹した。
 「ドウダン」は「満天星ドウダン」と書かれる。なんと理想も高く輝く、ロマンの名前であろうか。
 思えば、妙楽大師の有名な言葉に、わが身と天地とを関連づけて、たとえば、眼は日月に、髪は星辰に、眉は北斗七星に、また皮膚などは大地にあたると説かれている。(「止観輔行伝弘決」)
 いわば、私たちの身体は、それ自体、大宇宙(マクロコスモス)の美が結晶した、荘厳なる小宇宙(ミクロコスモス)と捉えられているのである。本来、生命は最極に美しいものだ。
 そのなかで、不思議にも、多くの華冠の皆様にとって最もかかわりの深い「髪」や「眉」を、天上の星々になぞらえているのだ。
 満天を彩る星々のごとく、わが華冠の友の頭上に、無量の福光よ輝きわたれ、と祈りたい。そして、皆様こそが、濁った社会を、燦然たる善美の光で浄化しゆく方々なのだ!
3  ドイツの大詩人シラーが、高邁な魂の詩をもって、かのジヤンヌ・ダルクへの中傷を打ち砕いたごとく!
 「光かがやくものを黒く塗り、/高貴なるものを塵芥に委ぬるは、人の世の好むところ。/されど恐るる勿れ! なほ美はしき心はありて、/高きもの栄えあるもののため心を燃え立たしむ」(「オルレアンの少女」大野敏英訳、『シルレル詩全集』下所収、白水社)と、彼は歌った。
 一九八三年(昭和五十八年)の夏、華冠の代表と、再び函館研修道場で、お会いした。
 その夏は雨続きだったが、皆様の到着を待っていたかのように雨はやみ、満月が皓々と昇った。それは、あまりにも美しき華冠の使命を象徴しているようだと、妻と共に語り合った。
 その翌日、私たちは、「華冠の碑」の前で記念撮影し、道場内を三々五々と語らいを弾ませながら散策した。皆の胸には、広宣流布、妙法流布という夢と希望が、自然の姿のなかに漂っていた。
 今もその方々は、健康美に包まれながら、第一線で戦っておられるということも伺っている。本当に嬉しい。
4  美の芸術家、わが華冠の皆様は、絢欄たる青春と歓喜の、日本中で開催された平和への祭典である文化祭でも、いつも出演者たちのメーキャップのために、舞台裏で真心の汗を流しながら、無数の名優たちを創り、飾ってくださってきた。
 そして、あらゆる会場で、幾百万の観客が見つめるなか、華冠の方々が鼓舞してくださり、生命讃歌の名バレリーナや名ダンサーとなった美しきこ女たちの大乱舞は、世界の文化の歴史に燦然と残されていくにちがいない。
 私は、その美事なる陰の奮闘に、重ねて、心より感謝を捧げたい。
 近年、小・中学生の少女たちに”なりたい職業”を聞いたアンケートで、美容関係への希望者は急増しているようだ。専門学校も増えており、いわば時代の先端をゆく憧れの分野といってよいだろう。
 すばらしき人間の生き方を、そして生命を、美の価値へと創り上げる名芸術家こそ華冠の方々。揺るぎなき自分自身を創り上げていかなければ、人をして美の勝利者たらしめることはできないと、あなた方は知っている。
 その「人格」の輝き、その「個性」の輝きに、皆が感謝しているだろう。
 いつも「鏡」と向き合っている皆様である。鏡は、喜びの笑顔も悲しみの涙も、ありのままに映し出してしまう。皆様の生命も、諸法実相・一念三千の鏡である。
 御書には仰せである。
 「深く信心を発して日夜朝暮に又懈らず磨くべし何様にしてか磨くべき只南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを是をみがくとは云うなり
 ゆえに、美の創造者たる皆様方は、信心で汝自身を磨き抜け! その神々しき生命の光沢こそ、最高に自分らしい”2華の宝冠”なのだ。
5  磨き上げた技術は、一生の「身の財」である。一生かけても終着点のない、奥の深い仕事ともいえる。生半可な気持ちで、その戦場で勝つことはできない。
 ある著名な美容師の方は、こう語った。
 「一生、私は、この道をまっとうし、多くの後輩を育てたい。それが、美の価値の広宣流布に通ずると思っているのです」
 満面に笑みを浮かべながら、髪に手をあてておられた。
 牧口先生は”美の価値”について、「ややもすると生活の単調に疲労を感ぜしめる人生に処するに当って心気の転換をなさしめ憂欝を歓喜にする」(『創価教育学体系』上、『牧口常三郎全集』5、所収、第三文明社)と言われた。
 そのためにも、”美のアーチスト”たる華冠の友よ、自分に勝て! 今日を勝て!
 そして自分が縁した友に、一人また一人と、生きる歓びの冠を載せ、希望と友情の花園を広げていただきたい。それは、なんと意義ある生命の運動であろうか!
 フランスの大芸術家ロダンは語った。
 「情熱をもって君たちの使命を愛せよ。これより美しい事はない」(高田博厚・菊池一雄編『ロダンの言葉抄』高村光太郎訳、岩波文庫)

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