Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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希望の山光・島根 「光り輝く地」に生きる喜び

1999.8.3 随筆 新・人間革命2 (池田大作全集第130巻)

前後
1  彼らは、にこやかに笑いながら、決意と努力と、使命と勇気で、新しい広宣流布の城と道をつくり上げた。
2  私が、島根の文化会館に到着したのは、一九八四年(昭和五十九年)の五月二十一日のことであった。
 この日の午後、鳥取の米子文化会館を出た車は、右手に中海を見ながら、国道9号線を走っていった。
 私たち夫婦の乗った車は、安来節で有名な安来の街を抜けて、やがて、松江の中心にできあがって間もない、明るい会館に着いた。
 十一年ぶりの、懐かしき島根訪問であった。
 そこには、見違えるような、喜びに輝き、誇らかに胸を張った同志が待っていてくれた。
 いうなれば、沈黙的に思われている島根の天地は、新しい人間が、新しい呼吸をしながら、その大地より、新しい笑顔の花が咲き香っていた。
 東屋あずまやがあった。無数の菖蒲の花に包まれていた。
 誇り高き同志の真心がまぶしかった。
 夕方が近づいても、日没は東京より三十分も遅く、まだまだ明るかった。
3  この天地には、大きな太陽も、大きな月も、そしてまた、大きな星もいっぱいあった。
 私たちは、優しく平和な、新しい一つの世界を見つめながら、語り合った。
 「山陰」という地名よりも、「山光」という地名がふさわしいのではないか。
 誰もが胸の奥で願っていた心情を代弁するつもりで、私は提案した。
 愛称として、「山陰」ではなく、われらの生き抜く天地を「山光」と命名したい――と。
 皆が拍手した。そして、このすばらしき光の大地に、「多くの人が来たれよ! 来たれよ!」と、さらに万雷の拍手がわいた。
4  仏法は一念三千と説く。
 「一念」が変われば、環境は変わる。
 御聖訓には、「心の一法より国土世間も出来する事なり」と説かれている。「心という一法から国土の違いも現れ出る」との御指南である。
 山陰から山光へ――。
 名前が変わっただけと思う人もいるかもしれない。
 しかし、決して、そうではない。皆の意識が変わり、自信がわき、元気になることこそ、根本の目的である。
 この「意識の変革」「心の変革」から、人生も、家庭も、地域も、変わっていく。
 また、「名は必ず体にいたる徳あり」である。
 住む人の心によって、必ずや、その名にふさわしい、平和と幸福の郷土へと発展していくにちがいない。
 島根の友は、希望の歌を響かせて立ち上がった。遠くまで聞こゆる、大きな笛を吹きながら、賛美を惜しまぬ同志が集まる、その姿は頼もしい。
5  会場には、島根広布の大功労者の浜崎巌さん(現・総県主事)、ゆき江さん(現・総県婦人部主事)も来ておられた。
 夫妻は、草創の松江支部の初代支部長・婦人部長である。
 一九六一年(昭和三十六年)の四月、私は、その松江支部の結成大会に駆けつけた。
 恰幅のよい浜崎さんだが、人前で話すのが苦手で、支部長の抱負の時に、緊張のあまり、壇上で絶句してしまった。
 すると、会場から、″支部長、頑張れ″″われらの支部長、頑張れ″と祈り、応援する明るい声がわき上がった。
 浜崎さんの人柄であろう。今も忘れられない名場面である。
 私は、浜崎さんに「声仏事」と揮毫して贈った。
6  父が登壇するたび、無事に話せるようにと、いつも心で唱題を送っていた三人のお嬢さんも、皆、広宣流布の女性リーダーとして、立派に成長し、活躍している。
 長女の宮井和子さん、次女の小山潮子さん、三女の下垣みどりさんは、皆、広宣流布の女性リーダーとして、立派に成長し、活躍している。
 尊き父母が開いた、広宣の光道を厳然と走り、声を限りに正義を叫びゆく、その信心の後継の姿が、私は実に嬉しい。
 このご一家に、魂の宝冠を載せてあげたい気持ちである。
7  島根県の広宣流布二十五周年を記念する幹部会が行われたのは、滞在二日目であった。
 この日、私たちは、二十一世紀までの広宣流布の未来構想を、再度、確認し合った。
 すなわち、第一の″七つの鐘″を打ち鳴らしたあと、一九八〇年から、二〇〇〇年までの「五年」ごとの前進のリズムである。
 それは、再びの決意をもって、最高の思いをもっての宣言であった。
 あれから、一年、そしてまた一年と、樹木が根を張り、葉を広げるがごとく、島根も、さらに鳥取も、北風に負けず、純粋な親愛の心をもって、大きく発展した。
 傲慢と虚栄に転落した哀れな人は去り、喜び勇んだ、明るい同志が、戦い進みゆく、光り輝く「山光」になった。
 この希望の光彩に包まれ、いよいよ、二十一世紀の栄光の暁鐘は鳴り始めた。
8  勝利の行進をしてきた、わが島根の同志、万歳!
 わが鳥取の同志、万歳!
 不幸という痛みを残さぬ、唯一最高の信仰者の勝利の集まりの「山光」、万歳!
 さあ、また、宿命打破のために戦え!
 広宣流布のために、莞爾と進め!
 一家の和楽と、同志のスクラムで、大きな門を開きながら、陽光を燦々と浴びながら、すばらしき前進を――と、私は祈り続けていきたい。

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