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日蓮大聖人・池田大作

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ブラフマンとアートマンの概念  

「内なる世界 インドと日本」カラン・シン(池田大作全集第109巻)

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2  カラン・シン あなたは、インド思想の伝統たるブラフマンとアートマンという、重要な一対の概念を正しく理解されています。また、この点に関するご指摘にも深い洞察力をうかがうことができます。まさにお説のごとくブラフマンの概念と、天上にいてその高い位置から神命を下し、それに背いた人間には、即座の破滅あるいは永遠の断罪をもたらす全能の人格神というユダヤ教的概念との間には、本質的な相違があります。
 インド思想の偉大な伝統の真髄は、神の力が宇宙に存在する原子――目に見えるもの見えないもの、顕在的なもの潜在的なもの――の一個一個にまで及んでいるという考え方にあります。この神の力が個人の内に反映したものがアートマンであり、ブラフマンとアートマンの合一が究極の目的であり、即、霊的悟りとなるのです。この過程を“ヨーガ”といい、この言葉は英語の“ヨーク(くびき)”と同一語源をもち、アートマンとブラフマンの合一を意味します。
 アートマン・ブラフマンの概念は、“天上”の唯一神というユダヤ教的概念の対極に位置するものです。インド思想において、神とは、究極的には各個人の内面に存在するものなのです。アートマンの概念は、人間一人一人に、カースト宗教・民族を超越した精神的尊重と威信をあたえるものです。この考え方が、奪うことのできない一人一人の人間の尊厳性を強力に支えるものであるというあなたのご指摘は、まったく正しいものです。
 さまざまな集団が、ありとあらゆる方法で個人を支配しており、そのため人間の尊厳性が低下している現今の状況においては、とくにそういえると思います。

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