Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

国連と日本の国際貢献策  

「平和への選択」ヨハン・ガルトゥング(池田大作全集第104巻)

前後
2  池田 日本と日本人に対するあたたかい激励に感謝します。最近はたいへんな数の日本人が海外旅行に出かけますし、国際化、国際貢献なる言葉が飛び交っています。しかし、実際はどれだけ日本人が世界で通用するかというと、疑問です。豊かなことはむろん悪いことではありませんが、成金はよくありません。結局、どれだけ世界で信頼される日本人になれるかです。日本の国際化は底が浅いと言わざるをえません。歴史的に「排外」と「拝外」の間を揺れ動いてきたと言われる日本人が、本当の意味で島国根性から脱却すべき時を迎えています。
 「日本は第一級の調停国たりうる」という博士のお言葉、身に染みてわかります。日本はあらゆる面で成熟していかねばなりませんし、外交力も磨いていかねばなりません。ある人が言っていましたが、日本人は顔がよくないというのです。別にこれは顔の美醜を言っているのではなく、顔の表情が豊かでないというのです。内面からにじみ出てくる品性のようなものが少ないと。結局これからは人格の時代だと思います。
 ですから、国も人間も、日本の場合はもっともっと大人になる必要があります。傲慢はいけませんし、あくまで謙虚にいくべきです。そのうえで、どう世界に貢献していくかでしょう。文化と文化的理解を助成すること、憲法九条の精神を生かすことなど、まことに重要なアドバイスをいただきました。
 ガルトゥング 数年前に、私は、東京が世界の平和首都(中心地)となり、熟達した紛争折衝者を紛争当事国に派遣するようにしたらどうかと、東京都に提案しました。私は、もし紛争が起こってしまったら、それを創造的な方法で縮小するに越したことはないと信じています。しかし、ひとたび紛争が勃発してしまって、それが暴力の形で現れ、癒しがたい感情的な傷を負わせてしまった後にとられる、多少なりとも治癒的な処置に比べるなら、予防的な療法のほうがはるかに優れているというのが私の固い信念です。
 ついでながら、創価大学にはすでに非暴力的な仏教の伝統が浸透しているのですから、こうした人材を輩出することで大きく貢献することができるでしょう。日本には他にも頼りになる大学があり、そのほんのいくつかを挙げてみても、国際キリスト教大学、中央大学、明治学院大学などがあります。あるいは紛争調停者を訓練する「協会」を設立してもよいのではないでしょうか。なすべきことは数多くあります。そして日本は、それを遂行するために必要な資源を、それも経済的資源だけでなく、もっとずっと重要な知的・精神的資源をもっているのです。

1
2