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日蓮大聖人・池田大作

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「環境・開発国連」構想  

「平和への選択」ヨハン・ガルトゥング(池田大作全集第104巻)

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2  池田 国連の改革案は、現在、さまざまに論議されています。事務総長が提案し、国連内十四カ国委員会で抜本的改革案が検討中だとも聞いております。
 今後そうした内容が徐々に明らかにされていくでしょうが、環境と開発の問題に関していえば、見通しはあまり明るくはないようです。一九九二年の、ブラジルのリオデジャネイロ市で開かれた「地球サミット」(UNCED)の成果として、国連は「政策調整・持続的開発局」を新設し、その下に「持続可能な開発委員会」を設置して、これからの地球環境問題を担当することになりました。
 すべてはこれからですが、各国とも地球サミットで決まったことを具体化するのはたいへんなことです。地球環境問題の処方箋「アジェンダ21」の具体化も、どこから手をつければよいのか困っているようですし、膨大な環境問題のむずかしさといえましょう。
 なかでも世界的な経済不況が対策の足を引っ張り、環境保護への熱意に冷水をかぶせています。国連としてもよほど思い切った発想でいかないと、地球的環境保全は進まない恐れがあります。
 博士が指摘しておられる「世界統治センター」に一切の物事を集結させる提案には私も賛成ですが、問題はそこに進むプロセスにあります。
 過日、グローバル・ガバナンス委員会のピーター・ハンセン専務理事が創価学会本部を訪ね、意見交換をしました。地球統治に関する独立委員会は、地球的な新しいシステムの構築とともに、地球的価値の確立をめざしており、この面で創価学会インタナショナルがなんらかの貢献ができるのではないかと期待している、とのことでした。
 さらに冷戦の終わりとともに、安全保障の概念は、外国の侵略に対する国家の安全という狭いものから、環境破壊、経済的格差と不安定性の拡大などに対する安全を含む幅広いものへと拡大されつつあるとの「地球安全保障」の概念を打ち出しています。
 こうした地球的価値や地球安全保障などの概念にどう具体的な形を与えていくのか、私どももグローバル・ガバナンス委員会の今後の提案に注目しています。
 ガルトゥング 私はかつて、グローバル・ガバナンス委員会のために草案文書を作成するという栄誉を担いました。その中で私は、人口百万人につき一人の、できれば直接選挙で選ばれた代表から成る「国連人民総会」(UNPA)についても、また、脱国家的(トランスナショナル)な世界企業を代表する「国連企業総会」(UNCA)についても、詳細にわたって提唱しました。「国連総会」「国連人民総会」「国連企業総会」のうちの二者が、さらには三者が、対話を行えば全世界が恩恵を蒙ることになるでしょう。国連の現状は、あまりにも各国政府だけのショーになりすぎています。今後は、国家、企業、市民社会が一体となって、国連を運営していくことが必要です。

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