Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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合同研修会 われは人間!「人間」として光る

1993.8.22 スピーチ(1993.6〜)(池田大作全集第83巻)

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7  さらに、宗教と社会について、歴史的考察を含めながら、次のように述べておられる。
 「あらゆる宗教には、″宗教的要素″と″社会的要素″があります。宗教が社会的要素を無視した場合、その宗教は独善的になり、信徒を見下し、時代遅れで閉鎖的な教団と化してしまいます。
 ユゴーが、当時、閉鎖的な教団となっていたカトリックの聖職者を激しく責めたてた理由の一つも、この点にあったのです。
 宗教が社会と遊離することは、結局、その宗教の死を意味します。これは歴史的にも明らかです。
 キリストも、社会に身を置くなかで数々の拷問受け、最後は、はりつけになっている。キリスト以後の宣教師も世界中に布教に赴くなかで、命に及ぶ試練をいくつも乗り越えてきました。
 日蓮もそうです。常に社会に身を置き、他宗の非を責め、二度の流罪にあっています。このように歴史的にみても、社会の中にあって、苦難に挑み、悪と戦い、布教に身を挺していく人こそが真実の宗教者ではないでしょうか。
 私は、常々、池田名誉会長の世界的なご活躍に心から敬意を表しております。ある意味で、ユゴーの理想とした宗教者としての人間像を体現していると思います」
 私のことはともかく、宗教の″生命線″というべき本質を鋭く突いておられる。
 「それに対して、古い殻に閉じこもった僧侶たちは、宗教の社会的側面というものを、あまりにも無視している、といえます。
 社会に背を向け、みずから布教の苦労もせず、ただ信徒を見下すことのみに、腐心する。まったく、ユゴーが徹底的にった聖職者の悪い見本のような姿になっています。
 ユゴーはキリスト教を否定したわけではありません。むしろ彼は、敬虔なキリスト教の信奉者でした。しかし、神父から教えを学ぼうとしない傾向があった。神父の見せかけの清らかそうな空論を排撃しました。偽善や悪とは、徹底的に戦ったのです。
 ユゴーは、自分の葬式に神父が来ることを断固、拒否していました。『私の葬式は、貧者のひつぎで遺骸を運んでほしい』と、神父とのかかわりを最後まで拒んでいました」
 「十六世紀に、マルチン・ルターがローマ教会の腐敗を攻撃して宗教改革に立ち上がりましたが、このとき、ルターは信仰の基準を『教会』ではなく、『聖書』に求めた。ユゴーも同じく、神父を全面的に信じることはやめて、キリスト教自体に信仰の原点を求めた。
 今日、創価学会が″平成の宗教改革″を目指して日蓮の原点である『御書』を基準に信仰を深めているのも、大変重要な意味があると思います」
 これが一流の知性の目である。学会が徹底して日顕宗の邪悪と戦っていることは、まったく正しい、と。
8  真の宗教者は″社会″で輝く
 真の宗教者は、人間の現実から離れない。社会の現実から離れない。
 「ユゴーの宗教へのかかわりはきわめて現実主義的であったといえます。彼は、キリスト教の神秘的な思索に熱中した。しかし、現実から逃避することはなかった。
 『静観詩集』や叙事詩『サタンの終わり』の中の宇宙に対する壮大なヴィジョンをみても、彼の宗教に対する敬虔な態度と現実とのかかわりが見事に図られていることがわかります。
 ユゴーの思想は、トルストイに継承されますが、この二人の偉大な文学者の像が、創価大学の記念講堂に並んで立っていることに、創立者の池田名誉会長が、何を大切にし、何を目指されているかが明確です。
 先日、フランスのヴィクトル・ユゴー文学記念館で『「九十三年」──ユゴーの革新的な息吹』展がオープンされたそうですが、うれしいかぎりです。私も訪仏の機会がありましたら、ぜひ拝見したいものです」
 (最後に話をこう結ばれている。「池田名誉会長のような方は、日本のような狭い国よりも、世界的に活躍していただくべき方です。その行動の世界性といい、思索の深さといい、多くの人を魅了するお人柄といい、狭い日本に閉じ込めておくのは損失です。これからも健康に留意されて、ますますご活躍していただきますよう、心よりお祈りいたします」)
9  この方にかぎらず、私たちの人間主義運動への賛同は、世界のあらゆる国から、続々と寄せられている。いよいよ、これからである。「全世界」に私は道を開いていく。必ず、後に続く人があることを信じて。
 戸田先生は、「大作ひとりいれば」と、絶大の信頼を寄せてくださっていた。一人で、日本を変え、世界を変えるだろうと。私も、そう誓った。誓いの通りに動いた。走った。これが真の弟子である。革命児である。
 入信四十六年。その間、険しき生死の峰を越えながら、ひとつのグチもなく、一歩も引かず、私は戸田先生との「師弟の道」を貫いてきた。
 皆さまも、同じ一生ならば、「悔いなく、生き生きと」生き抜いていただきたい。胸を張って、最高の「この道」を歩み通していただきたいと申し上げ、記念の研修会のスピーチとしたい。

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