Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

アメリカSGI文化・学術最高会議 人間の価値は「行動」で決まる

1993.1.28 スピーチ(1993.1〜)(池田大作全集第82巻)

前後
6  制度の上での鎖国にとどまらず、その精神において、両国の開放度は、あまりにも違っていた。
 彦蔵は、アメリカで三人の大統領とも会っている。ピアース大統領(第十四代)、ブキャナン大統領(第十五代)、リンカーン大統領(第十六代)である。その会見の模様は、彼の『自伝』にくわしい。彦蔵は「大統領」のオープンさに驚いた。三人とも実にあたたかく親切だった。
 はじめピアース大統領に会ったとき、「国で一番偉い人」と聞いて、緊張していた。しかし大統領が、何の飾りけもなく、対等に話してくれたことに、彼はびっくりした。
 「いったい、どういうことなんだ。私の国(日本)では、どんなに小さな地方の役人でも、お供がいないことはないし、ものものしい儀礼を尽くさずには近寄ることもできない。ましてや大名や皇帝ときた日には──」
 それなのに「アメリカ合衆国のような偉大な国の主人(大統領)が、壮麗さも威厳もなく、いや警備の者も従者もいないので、あんなに簡素な生活をしているはずがないではないか」「いっしょに腰をかけ、まるで対等の人のように話し合うなんて」──あの人は、本当に「国の元首」なのか?と。
 当時の日本人として無理からぬ疑問であった。民主主義の社会となった今でも、実力がない人ほど、形式や威厳にこだわる。僧侶の世界の、仰々しい儀礼など、すべて後世につくられたものである。
 彦蔵は、若々しいアメリカの実質主義に触れて、″この国には無用な形式など何もない″と驚き、感動した。(リンカーン大統領にも歓迎された彼は、リンカーン暗殺のニュースに哀悼の手紙を送っている)
 このような″開かれた心(オープン・マインド)″を学んだ彦蔵は、鎖国の日本の開国と近代化に尽力し、日本初の定期新聞「海外新聞」を発刊したりしている。
7  「信心」は最も″開かれた心″
 ″形式抜き″のアメリカ流は、「関西の心」とも響き合う。また仏法の本来の精神、SGIの価値創造のいき方と通じ合っている。
 日蓮大聖人は、「御義口伝」で、成仏について「成は開く義なり」と仰せである。わが生命を最大限に開き、仏と「開く」のが「成仏」であり、仏法の目的である。
 また、開仏知見かいぶっちけん(一切衆生がもつ仏の智慧を開くこと)の「開」について「開とは信心の異名なり」と。わが生命、わが仏界を「開く」には「信心」以外にない。
 「信心」は、最も″開かれた心″なのである。その開かれた生命の宝蔵から無量の福聚ふくじゅ(福徳の集まり)が涌きいでる。
8  「知性」の究極は「信仰」となり、正しき「信仰」の実践は必ず「知性」の輝きをもたらす。正しき信仰なき知性は、生命の大地から離れ、いつしか病んでいく。
 牧口先生は、近代の知識人の多くは「高等精神病」であると言われていた。また、知性なき信仰は、盲信となるとも──。どちらを欠いても不健康である。
 皆さまは、両方を兼ね備え、行動のうえでも、仏法を基調にした平和・文化・教育の推進を重ねておられる。その生き方が、人間における最高の中道であり王道なのである。
 年ごとにより素晴らしい人生と輝いていかれんことを念願し、記念のスピーチとしたい。

1
6