Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第十三回SGI総会 大聖人の未来記を学会が実践

1991.6.16 スピーチ(1991.4〜)(池田大作全集第77巻)

前後
1  皆さまありて世界の流布は
 ブラボー! すばらしい! 感動しました。一生涯忘れません。(拍手)
 (結成されたばかりの「ヨーロッパ・ヴイクトリー・オーケストラ」が、ピエトロ・マスカーニ作曲「オペラ・カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲」を、また、ベートーヴェン作曲「エグモント序曲」を演奏)
 オーケストラのお一人お一人に心から感謝申し上げたい。(拍手)
 さて「エグモント序曲」といっても「よくわからない」という人が、とくに日本人には多いかもしれない(笑い)。これは、ベートーヴェンが、詩人として深く尊敬していたゲーテの戯曲『エグモント』をもとに、一八一〇年、作曲した作品である。
 始まりの部分は、エグモント(十六世紀オランダの革命的宗教運動の指導者)の強靭な性格と決意を表し、次に、彼が権威と暴政に抵抗した苦闘を描いているともいわれる。最後に、自由と民主主義へ導いたヒーロー(英雄)の「勝利の曲」で幕となる。(エグモントは、宗教革命を弾圧する旧教勢力、領主のスペイン王フェリペ二世に対抗し、自由を求めて、オランダ独立運動の火種となる。そして、処刑されるが、彼の剛勇の行動は、オランダの新教徒に、信教の自由をもたらした)
 ともあれ、皆さまの名演奏に重ねて大喝采を贈りたい。(拍手)
2  最初に第十三回SGI(創価学会インタナショナル)総会に、遠いところからご参集いただいた方々に、心からの敬意を表したい。本当にご苦労さまです(拍手)。本日は正式参加国三十ヶ国に加え、任意参加された東南アジア、東欧、南米、アメリカその他、合わせて五十ヶ国・地域の皆さまが集まり、盛大な総会となったことを報告申し上げたい。(拍手)
 また、ここ欧州研修道場で準備に当たってくださった、すべての皆さまに、私は最大の敬意と感謝をささげたい。その労作業の模様は、アルバム等でも見、つぶさにうかがった。本当にありがとう。(拍手)
 本来ならばイタリアで世界青年平和文化祭を行う予定であったが、湾岸戦争の影響で、残念ながら中止となった。将来の開催をまた楽しみにしたい。イタリアには、このほど立派な文化会館も完成の運びとなった(拍手)。(=一九九四年六月、ミラノで第十二回世界青年平和文化祭を開催。イタリア文化会館は九二年六月にオープン)
 ともあれ、皆さまはもっとも大切な、御本仏の子どもであり、お使いであられる。皆さまがおられればこそ、世界の広宣流布は進んでいく。皆さまの健康と長寿こそが、広宣流布にとって重大である。ゆえに私は毎日、皆さまのことを真剣に祈っているし、最大に大切にしている(拍手)。何より三世十方の仏菩薩が、皆さまを守り、支えていかれることも間違いないと確信する。(拍手)
3  「一人」の成長から一家、一族の幸福
 きょうは、フランスの「父の日」。日本でも同様である。「母の日」と違って、あまり皆に祝ってもらえない(笑い)。かわいそうなお父さん!(爆笑)。きょうは多くのお父さま方のためにも、御書の次の一節を拝したい。
 「父母の遺体は子の色心なり、浄蓮上人の法華経を持ち給う御功徳は慈父の御力なり、提婆達多は阿鼻地獄に堕ちしかども天王如来の記を送り給いき彼は仏と提婆と同性一家なる故なり、此れは又慈父なり子息なり、浄蓮上人の所持の法華経いかでか彼の故聖霊の功徳とならざるべき
 ――父母の遺体は、子の身心である。今、浄蓮上人(駿河国〈静岡県〉興津に住む在家の強信の僧)が法華経を受持された御功徳は、慈父の御功徳となる。提婆達多は阿鼻地獄に堕ちたけれども、釈尊は法華経で天王如来の記別を与えられた。これは釈尊と同じ一族であったからである。あなたの場合は、また、慈父と子の関係である。浄蓮上人の所持する法華経が、どうして慈父の聖霊の功徳とならないわけがあろうか――。
 浄蓮房の父は、妙法を持たないまま亡くなった。子どもとして、さぞかし残念であったにちがいない。しかし大聖人は″必ずお父さんにも功徳が回向されていますよ。安心しなさい″と、あたたかく励ましておられる。浄蓮房は本当にうれしかったであろう。大聖人の御慈悲に、すっぽりつつまれた気持ちであったかもしれない。
 皆さまのなかにも、お父さまをはじめご家族が未入会の方がいらっしゃると思う。しかし決してあせることはない。不安に思うこともない。「一人」が、まことの信心に立ち上がれば、一家・一族を皆、永遠の幸福の軌道へと導いていけるのである。これが妙法の無限の力用である。
 太陽がひとたび昇れば、地上のすべてを照らす。夜の海に一つの灯台が厳然と輝いていれば、多くの船が安心して航海できる。一人の力ある主人がいれば、家族の全員が悠々と生きていける。
 皆さまは、幸福を照らし顕す太陽である。人々の「成仏」への灯台である。一家に福運を運ぶ福徳の大黒柱である。仏縁を結んでいれば、いつかは妙法を受持するのである。どうか、おおらかに、周囲の人々を心広々とした人間性でつつみながら、朗らかに生きぬいていただきたい。(拍手)
4  また大聖人は、若き南条時光に、こう述べられている。
 「親によき物を与へんと思いてせめてする事なくば一日に二三度みて向へ」――親に良い物を与えようと思っても、何もできない時は、せめて一日に二、三度、笑顔を見せてあげなさい――。
 親は子どもの笑顔がうれしいものである。心に光がさしてくる。
 そうした親孝行の振る舞いのなかに仏法がある。親にとって、会えばいつも心が和み、「ああいい娘だ。いい息子になった」と思える子どもであれば、こんな幸せなことはない。何でも言うことをきいてやろうという気持ちにさえなるものだ。
 それを、会えばいつも「信心しなさい!」(爆笑)、「信仰しないと罰がでるわよ!」(爆笑)と、鬼のようなこわい顔で(笑い)、まくしたてられたとしたら、だれでもいやになってしまう。(笑い)
 親の成仏を真心こめて祈るのは当然として、振る舞いはどこまでも賢明に、あたたかく、道理にかなったものであっていただきたい。皆さまのそうした″人間としての成長″こそ、何にもまして周囲に正法の正しさを教えていくことになる。自身の、そして一家の福徳も増していく。(拍手)
5  「″生ける宗教″を世界の人へ」
 一九六七年(昭和四十二年)五月――。日達上人はパリでの法要の席上、大聖人の「顕仏未来記」の御文を拝されて、次のように述べられた。
 「宗祖大聖人のたまわく月は西より出でて東を照し日は東より出でて西を照す仏法も又以て是くの如し正像には西より東に向い末法には東より西に往く乃至仏記に順じて之を勘うるに既に五百歳の始に相当れり仏法必ず東土の日本より出づべきなりと
 夫れ末法一閻浮提能為救護の本仏日蓮大聖人日本国に出世して法華本門寿量文底下種の大法を弘宣し給いしより七百有余年 近時創価学会の出現して仏勅をかしこみ白法を東西に敷揚ふようし民衆救済の慈折を専にす その及ぶところ日本国内に止まらず 遠く欧米諸国に達せり まことに仏記を虚妄なからしむる浄業と謂うべし
 此の欧州の地にあっては一九六一年以来法華講総講頭池田大作自ら渡欧し教化指導を行うこと四度 此の間正法帰依の徒各国に漸増す」(『日達上人全集』)(SCI会長の渡欧は一九九一年で十三回目。=九七年九月現在で十五回)
 このお言葉のごとく、赫々たる「太陽の仏法」を掲げ、ヨーロッパに、そして全世界に大聖人の仏勅のままに、未来記のままに、広宣流布の浄業を進めているのは、他のだれでもない、皆さまである(拍手)。この和合のスクラムを壊そうとする者は仏敵である。断じて負けてはならない。(拍手)
6  なお私が日達上人をご案内してメキシコを訪問した折(一九六五年八月)、七十数歳の入会したばかりの学会員が、自分の入会動機を日達上人に申し上げたことがある。日達上人は帰国後、その言葉を日本の全会員に紹介してくださった。
 「(=その学会員が言うには、それまで自分の信仰していた既成宗教では)すでに花もない、実もない。ただ我々は、献金するにすぎないのである。そしてしばらく悩んでおったところが、聖教新聞や大白蓮華を見て、これこそ真実の宗教である、生ける宗教であると、信じて、初めて学会の会員になった、と申されました。誠に至言のいたりであると、私は考えたのであります」(一九六五年八月二八日、本部幹部会。『日達上人全集』)
 世界の各国・各地で、学会のこの運動を通じて、人々が真実の宗教、生きた宗教を知り、創価学会の一員となっていくことを、日達上人はたたえられたのである。
 私どもは日蓮大聖人の仰せのままに、御書の教えのままに進んでいる。この道こそ″仏になる″大道である。大聖人の御指南に背き、権威や権力の″奴隷になる″人生は、敗北であり、不幸である。
 皆さまは、一生涯、この誉れある「仏勅実現の道」を、私とともに、同志とともに進んでいただきたい。(拍手)
7  ユゴー「理想よ! 君の力で心は偉大に」
 最後にヴイクトル・ユゴーの詩を紹介したい。
 音楽で始まり、詩で終わる――SGIは、信仰を基調にした心豊かな「文化の世界」である。フランスにはまもなく「ヴイクトル・ユゴー文学記念館」がオープンする(=六月二十一日に開館)。皆さまの宝である。社会の宝である。皆で大切に守り、育てていただきたい。(拍手)
 ユゴーはうたった。
8   悪が善を破壊しようと、帝国を建設しようと、
  這いまわろうと、王になろうと、
  きみはよく知っている、私が飛びたつことを、正義よ、
  私がきみをめざして飛びたつことを!
  
  神聖な美よ、苦悩する人の胸に
     芽生える理想よ、
  きみの力で精神は堅固になり、
     心は偉大になる。
  
  きみたちはそのことを知っている、私の崇めるきみたちは、
     愛よ、理性よ、
  地平線に、あけぼののように立ちあがる
     きみたちは。
  
  星辰の後光を身のまわりにつけた信仰よ、
     万人の財産である権利よ、
  私は飛びたつ、おおい隠されている自由よ、私は
     きみたちをめざして飛びたつ!
   (「我行かん」『静観詩集』辻昶・稲垣直樹訳、『ユゴー詩集』所収、潮出版社)
9  この詩のごとく、私どもは、どこまでも日蓮大聖人の仰せどおりに、どこまでも、その国と社会の幸福のために、どこまでも仲良く、崇高な「正義」と「理想」の空へ飛び立ちたい。(拍手)
 SGIは世界一″正しい世界″であり、世界一″楽しい世界″である。そのことは、皆さまがいちばんよくご存じである(拍手)。その誇りをいよいよ高く、いよいよ元気に、また、お会いしましょう!
 本日は遠いところ、本当に感謝します。メルシー!(仏語) ダンケ!(独語) サンキュー!(英語) グラシアス!(スペイン語) グラーチェ!(イタリア語) 謝々シェシェ!(中国語) ありがとう!(トレッツ・欧州研修道場)

1
1