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日蓮大聖人・池田大作

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創立六十周年祝賀の婦人部記念代表幹部会… 境涯の開花が信仰の目的

1990.4.12 スピーチ(1990.2〜)(池田大作全集第74巻)

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18  「表現の時代」は「創造性の時代」である。魂の自由に基づいた独創性を発揮すべき時である。
 現在の「情報化時代」の次は、「創造化時代」であるといわれる。社会が「農業化」から「工業化」へ、さらに「情報化」へと進んできた。次は、その経済力と情報をもとに、何を創造するかが問われる時代に入っていくとの予測である。
 あまり図式的に言うことはできないが、これまで以上に、人間の独創性、創造力が決め手となる時代に入っていることは、間違いない。
 「創造(価値創造)」の運動は、当初より、その先駆であり、仏法という創造性を開きゆく根本を明示してきた。ある意味では、時代が少しずつ私どもの主張に追いついてきたともいえよう。いよいよ、これからが私どもの″本番″である。(拍手)
 ともあれ、表現はタダである(笑い)。どれだけ新鮮に相手の心を揺さぶり、覚まさせる表現をするか。仏法の真実を、また自分の思いを伝えていくか。その知恵は、お金では買えないし、買う必要もない。
 そもそも、本当に大切なものの多くは、タダである。空気もタダ、愛情も知恵もタダである(爆笑)。少しも惜しむ必要がない。(爆笑)
 仏法では「信を以て慧に代え」――成仏への智慧がなくとも、正法ヘの信心によって、その智慧を得たのと同じく、成仏の果報を得る――と説く。
 「信は慧の因」――信心は智慧の因である――と明かされるように、信心の深さ、強さに応じて、必ず幸福への知恵がわいてくる。
 また太陽が昇れば、地上がすみずみまで明るく照らされるように、信心の旭日が胸中を照らして、社会・生活上の価値創造への知恵が目覚めていく。その意味で、私どもにとって、知恵は信心の表れであり、信心は必ず知恵となって表れねばならない。
 真実の宗教は、人間を″無知″と″愚かさ″の闇に閉じ込めるものではない。反対に、民衆を鋭き″知性″に目覚めさせ、強靭なる″賢者″をつくりゆくのである。
 ある意味で、信仰の延長は知性となり、知性の延長は信仰となる。両者が一体となって偉大な「人間」としての無限の向上と深化を続けていく。「社会」も健全に発展していく。これが人類が進むべき、永遠の大道であると私は思う。
19  世界一楽しい婦人部に
 一般的にも、真剣な責任感と努力があれば、何らかの知恵が出てくるものである。まして、信仰者に行き詰まりはない。「表現」についても同様である。
 ご家庭においても、聡明な言動こそが即、信心の輝きとなる。仏法の理解を広げていく。ご主人に対しても、また未入会のご家族やご親族に対しても、相手の心の奥に届くような、心情の機微をとらえた接し方をお願いしたい。そうした知恵は思いやりでもあり、豊かな人間性の表れともいえる。
 また、お子さんに対しても、感情にとらわれた言い方ではなく、よく考えてあげて、五のうち四はほめてあげる、残りの一は必要に応じて注意してあげるくらいの気持ちでよいのではないだろうか。
 洗練された表現の大切さは、組織においても、地域においても、同様である。
 とくにリーダーは友のため、同志のために、心くばりのある表現をお願いしたい。それが、信心と、教養と、人格の表れなのである。
 無神経な、また無責任な言葉は、人を傷つけるだけではない。リーダーとしてはもちろん、信仰者としても、社会人としても、自分自身をも傷つけることになる。
20  民主主義の根本は「一人の人を大切にすること」である。ゆえに民主の理想は「一人の人」の尊厳観なくしては成り立たない。
 そして「一人」の生命の探究は、やがて、大宇宙にも連なりゆく生命の壮大さへと人間を開眼させていくであろう。そこに開眼せずして、真の「人間尊厳」はない。
 ホイットマンが「民主主義の中核には宗教的要素がある」とし、「宗教的民主主義」を唱えた真意も、中心はここにあると私は思う。この一点のみでも、「民主の時代」の流れは、本格的な「宗教復興の時代」の開幕を告げているのである。
 そして「一人」の生命尊厳を完璧に説き明かしたのが仏法であり、現実に、尊厳なる自身の境涯を開きゆく方法を教えられたのが、日蓮大聖人であられる。
 ともあれ、表面はどうあれ、あらゆる意味で、これまでの思想、体制は行き詰まり、歴史の底流は、「宗教」へ、真実の「人間の哲学」へと動いている。それが世界の識者の共通の認識である。
 その最先端の実践を、日々の生活のなかで繰り返しておられるのが、皆さまなのである。
 婦人部の基盤は、盤石である。この大いなる人間の大地の上で、思う存分、歌い、乱舞しゆく、色あぎやかな″春″が来た。どうか、喜びに満ちた「新しい境涯」で、「新しい表現」の舞台を開き、「新しい人材」を育てつつ、世界一楽しい「新しい婦人部」を、皆さまの団結で築いていただきたい。(拍手)
 大切な皆さま方の、ご健康とご多幸を心よりお祈りして、本日のお祝いのスピーチを結ばせていただく。
 (創価文化会館)

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