Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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小金井圏青年会議 「新しき時代」を「新しき人材」で

1990.1.28 スピーチ(1989.8〜)(池田大作全集第73巻)

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15  大聖人は、次のように記されている。
 「金色王と申せし王は其の国に十二年の大旱魃かんばつあつて万民飢え死ぬる事かずをしらず、河には死人をはしとし・陸にはがいこつ骸骨つかとせり、其の時・金色大王・大菩提心ををこしておほきに施をほどこし給いき、すべき物みなつきて蔵の内に・ただ米五升ばかりのこれり
 ――金色王という王は、その国に十二年間にわたる大旱魃があって、万民が飢え死にすることは数知れず、河には死人を橋とし、陸には骸骨を塚とするような状態であった。その時、金色大王は、大菩提心(悟りを求めて仏道を行ずる心)を起こして、大いに布施をされた。布施すべき物が皆尽きて、蔵の中にただ米五升ばかり残った――。
 すると「大王の一日の御くご供御なりと臣下申せしかば・大王五升の米をとり出だして・一切の飢えたるものに或は一りう・二りう・或は三りう・四りうなんど・あまねくあたへさせ給いてのち・天に向わせ給いてわれは一切衆生のけかち飢渇の苦に・はりて・うえじに飢死候ぞと・こえをあげて・ばはらせ給いしかば・天きこしめして甘の雨を須臾に下し給いき
 ――「大王の一日分のお食事です」と臣下が申し上げたところ、大王は五升の米を取り出して、一切の飢えた者に、或いは一糠二粒、或いは三粒四粒などというようにあまねくあたえられた。その後、天に向かわれて「我は一切衆生の飢えの苦しみに代わって飢え死にするであろうぞ」と声をあげて叫ばれたところ、天はこれを聞かれて甘露の雨を即座に降らされた――。
 そして「この雨を身にふれ・かをにかかりし人・皆食にきみちて一国の万民・せちな刹那のほどに・命よみかへりて候いけり」――この雨が身にふれ、顔にかかった人は、皆、食べ物に飽きるほど満ち足りて、一国の万民は瞬時のうちに命が蘇ったのである――と。
 大聖人は、さらに論を展開されたあと「これをもつて・よろづを心させ給へ」――これをもって万事をわきまえなさい――と述べられている。
 熱原の法難にさいして果敢に戦いぬいた時光に、幕府は不当に多くの使役を課して苦しめた。本抄では、そうした苦境をも顧みず、時光が大聖人のもとへ御供養を届けられたことに対して、尊い信心の真心をたたえられたのである。と同時に、この金色王の故事をとおし、徹底して民衆に尽くす指導者のあり方を示されているとも拝することができよう。
 ″あと一日、自分が食べるぶんしかない。どうするか″――そうした土壇場になった時に、真の指導者か否かが問われる。その人の人間としての偉さが、わかってしまうものである。
 利害と名聞と保身に汲々とし、いざという時にかんたんにはげてしまう″メッキの人生″なのか。どこまでも民衆のために、との″真金の一念″で生き、生々世々にわたって福徳を増しゆく人生なのか。
 私どもの人生の目的は、飾りにすぎない社会の栄誉や勲章を求めることではない。徹して人々のために生き、行動してこそ、わが胸中に「金色の生命」を、「魂の勲章」を輝がせていくことができるのである。
16  同志は尊い仏子、善知識
 昨年十二月、中日友好協会の青年代表団の方々とお会いした。そのさい、″なぜ学会は発展したのか″との質問に、私は「一人一人の学会員を大切にしてきたからです」と、お答えした。すると中国の若き友人も「やはり、そうでしょうね」と、深くうなずいておられた。
 学会員は、尊い仏子である。善知識である。皆さま方は民衆とともに、さらにわが同志とともに、生きぬいていただきたい。これが、皆さま方が生きゆく大道であるからだ。間違いなき正道だからである。私はこのことを確信をもって訴え、お願いをしておきたい。
 同志を見くだしたり、利用するなど、とんでもないことだ。同志を軽廃し、手段としてみずからの栄えを図ろうとした人間が、いかに哀れな末路の人生となっているかは、皆さま方がよくご存じのとおりである。
 仏子である学会員を尊び、大切にしてこそ、広宣流布の発展があり、私どもの栄光の人生もある。私は会員の皆さまを守りぬくために、だれよりも非難、迫害を受け、だれよりも戦ってきた。
 これが私の「魂の勲章」と思っている。私は何ものも恐れない。これからも、大聖人の御遺命のままに、正法正義の道を進むのみである。(拍手)
17  長い長い人生である。どうか、地道に着実に、また自分らしく誠実に、生きぬいていただきたい。「地道」と「着実」の歩みほど強いものはない。確かなものはない。そして、人の何倍も苦労し、努力して、そこに不滅の″黄金″の力を持っていただきたい。その黄金の力が、自分も先祖も、子々孫々までも幸福にせしめゆく源泉だからである。
 皆さまのご健康、そして、いっそうのご活躍を心からお祈りして、本日のスピーチとさせていただく。
 (小金井池田文化会館)

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