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日蓮大聖人・池田大作

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第十九回全国青年部幹部会 わが人生の最高峰を登りゆけ

1990.1.8 スピーチ(1989.8〜)(池田大作全集第73巻)

前後
21  ″険しき山″が友情を育む
 ヒラリーとテンジンは、世間の思惑等とは関係なく、たがいに深い尊敬と友情で結ばれていた。極限の苦労をともにした″岳友″に、隔てはなかった。
 一九六四年に来日した際、テンジンは語った。「山には友情がある。山ほど人間と人間を結びつけるものはない」(安川茂雄『世界の屋根にいどんだ人々』さ・え・ら書房)と。
 下界のわずらわしさは、″世界の高み″では塵のようなものである。何より″境涯の高み″に心を据えれば、小さな利害や感情など、ものの数ではない。
 だから――とテンジンは提案する。
 「難問題は山で解決すればよろしい。(=ソ連の)フルシチョフも、(=アメリカの)ジョンソンも、そして(=インドの)ネールも、(=中国の)毛沢東も……」(同前)
 文字どおり、サミット(山頂)会議の提唱である。(笑い)
 実際に山に行くかどうかは別にして、指導者が小さな利害や立場を乗り越え、″心の高山″″境涯のエベレスト″に登って、広々とした気持ちで率直に対話することこそ、人類の悲願であるにちがいない。(拍手)
 私が、米ソ首脳会談をはじめ、人類の課題については、トップとトップが腹蔵なく語りあっていくことが先決であると主張してきた理由の一つも、ここにある。
 ともあれ、社会の変化のスピードは速い。問題は、その変化が、人間にどのような″生き方の変化″を要求しているのか。それを自覚することなく、百万言を費やして時代を語ろうとも、所詮は流転の波間に溺れゆく以外にない。
 日本も、また個人も、団体も、そうであってはならない。ゆえに今こそ、人間としての見識を高め、境涯を高めゆく時なのである。(拍手)
22  「人間主義」「生命主義」の時代。その主役は、若くして最高の哲学を持った諸君である。諸君以外にありえないことを確信していただきたい。
 そして「正法流布」こそ、万年永遠の山であり、民衆勝利への遠征である。
 「平和」と「文化」という、その高峰を極めゆくために、「諸君よ、『わが人生のエベレスト』『わが青春の最高峰』に勇んで挑戦せよ」と、私は念願しておきたい。(拍手)
 一日一日の山、一つ一つの課題を着実に越えながら――。
 最後に、若き諸君が、つねに日蓮大聖人の御書を深く深く拝読されることを望みたい。そして最高に有意義なこの一年を、全員が勝利で飾り、また創価学会の先駆となり、大原動力となって走りぬいていただきたい。
 この一年、職場を大切に、体を大切に、お父さん、お母さんを大切に、友人を大切にしながら、汝自身の尊き歴史に、いちだんとすばらしき光彩を添えていかれんことを祈って、新春のスピーチを終わりたい。
23  エベレスト登頂については主に以下の本を参照。
 『ヒマラヤの男――テンジンの生きてきた道』(N・テンジン述、J・R・アルマン記、井上勇訳、紀伊國屋書店)
 『テンジンによるエヴェレスト征服』(イヴ・マラルチック著、近藤等訳、新潮社)
 『世界の屋根にいどんだ人々〈さ・え・ら伝記ライブラリー5〉』(安川茂雄著、さ・え・ら書房)
 『わがエヴェレスト』(E・ヒラリー著、松方三郎・島田巽訳、『世界ノンフィクション全集 3』所収、筑摩書房)
 『エベレスト登頂』(ジョン・ハント著、朝日新聞社訳、『世界山岳全集 6』所収、朋文堂)
 『エヴェレストヘの長い道』(E・シプトン著、深田久弥訳、『世界教養全集 22』所収、平凡社)
 (創価文化会館)

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