Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第1回茨城県記念総会 学会は人生蘇生の学舎

1988.2.27 スピーチ(1988.1〜)(池田大作全集第70巻)

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14  大聖人は「御義口伝」に、次のように仰せである。「日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉る者は一同に皆共至宝処なり、共の一字は日蓮に共する時は宝処に至る可し不共ならば阿鼻大城に堕つ可し
 ──大御本尊を信じ、南無妙法蓮華経と唱え奉る日蓮大聖人の門下は、一同に「皆、共に宝処に至る」、すなわち成仏することができる。この「ともに」という「共」の一字は、日蓮大聖人と「共に」いる。つまり大聖人を信ずるときには「宝処」に至り、成仏することができる。しかし、大聖人と「共でない」時には、すなわち、不信の念を起こして退転してしまえば、無間地獄におちてしまうことを示している──と。
 この御文は、法華経化城喩品の文についての大聖人の御義口伝である。
 「皆」とは、地獄界から仏界にいたるまでの、すべての境界の人々をいう。「共」とは、方便品の「如我等無異にょがとうむい(我がごとく等しくしてことなることからしめん」──一切衆生を仏と同じ境界に入らしめるということである。「宝処」とは霊鷲山のことで、大御本尊のましますところであり、また成仏という最高の幸福境涯をいう。
 「至」とは、「宝処」に至る、つまり最高の幸福境涯を得ることができるとの意である。
 これらをふまえて、大聖人は、御本尊を信受し、妙法を唱え、広宣流布に進みゆく人はすべて、御本仏・日蓮大聖人と「共」にいる、すなわち、成仏という永遠に崩れることのない「幸福」と「安穏」の境地を自分のものとすることができると仰せなのである。
 ゆえに、その正しき信心を教えてくれる学会の組織と「共」に進んでいくことが大事なのである。
 人生の「生死」の姿は、ある意味で「方便」であり、「化城」にすぎないかもしれない。しかし、その「生死」のなかに「幸福」にして「安穏」な人生を送っていきたいというのが、人類共通の願いである。
 とくに「死」は、現世の人生の終末であり、死後の生命が明確に自覚しがたいこともあって、人間の大きな恐怖であり、不幸ともされてきた。しかし「死」を単なるあきらめとしてとらえるのでは、本当の問題解決とはなるまい。「ホスピス」は、「死」を看取みとるということによって「医療」の側面から、この問題に一つの解決の道を見いだそうとするものといってよい。
 結論からいえば、三世にわたる本当の生命の「安楽」は、現実の「生死」の中に、仏界という尊極、無上の境界を涌現する、妙法への信心によって築けるのである。
 そのための根本的な「法」と「実践」を教え、広めているのが、私ども日蓮正宗創価学会である。その使命は限りなく深く、重要である。
15  「常楽我浄」の日々をわが郷土で
 さて冒頭にも「常陸」の名前の由来を述べたが、この「茨城」の地について、奈良時代に編さんされた「常陸風土記」には次のように記されている。
 「それ常陸国は、堺は広大ひろく、地も亦緬沃はるかなり、土壌沃墳うるおい、原野肥衍こえたり、墾発きりひらくの処、人々自得ゆたかに、家々足饒にぎわえり。(中略)いにしえの人の常世とこよの国というは、けだし疑うらくは此の地ならんか」
 たしかに茨城県は太平洋に接する海岸線も長く、土地は広々としている。山地と平野の間をって流れる幾筋もの河川が大地をうるおし、その沃野よくやを切り開いた人々の生活もまた豊かなにぎわいを見せていた様子が、ほうふつと目に浮かぶ。古代の人々が理想郷と考えていた「常世とこよの国」とはまさにこの地であろう、と大地も人も豊かな城の地の素晴らしさが賛嘆され、うたわれている。
 そして我が茨城の友は、この″理想郷″の最高の舞台で、昨年の座談会の発展の姿は全国一の実証を示され、まことに見事な活躍をされているとうかがった。私は皆さまの、その健闘と活躍を心よりたたえたい。
16  さらに、県名となっている「茨城」の由来については、「常陸風土記」の中に古老の説話として述べられている。
 かつて黒坂のみことという武将が、うばら(イバラ)を使ってこの地にはびこっていた悪賊を退治したとも、また蕀で(しろ)を築いてこの地を平定したともいう。こうした故事から「城」(うばらき→いばらき)との名が付いたとされている。
 また「うばらき」とは、茨の生えている所の意、との説もあり、自然の恵まれた風土に野イバラの花が咲き乱れる美しい土地であったともしのばれる。古来より美しい風土をたたえた城の、県の花は「バラ」。県の木は「梅」。そして県の鳥は「ヒバリ」である。まるで万葉集か古今和歌集の世界のような風雅の趣が感じられる。
 どうか皆さまはその理想郷ともいえる茨城の地で、理想的な「人生」と「仏国土」の建設に邁進していただきたい。そして、理想的に生きるための″ホスピス″ともいえる学会の組織の中で「常楽我浄」の人生を送っていかれんことを念願し、私のスピーチとさせていただく。

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