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日蓮大聖人・池田大作

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婦人部合同研修会 慈愛の心、良識の振る舞いを

1986.11.23 スピーチ(1986.11〜)(池田大作全集第68巻)

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16  フランスの十六世紀の思想家・モンテーニュが、著書『エセー』の中で、次のような一文を紹介している。「心を打つ言葉だけが味わいがある」(原二郎訳、岩波文庫)と。
 私の好きな、また大事にしてきた一節でもある。うまい話に味わいがあるのではない。「心を打つ言葉」とは″あの人の話、あの人の叫びは正義である″″本当に、その通りである″と、人々に深き共感を与えゆく納得の言である。日常の会話の中でも、これが一番、大切なことであると思うし、また、皆様もそうであってほしいと念願してやまない。
 皆様方の話にも、そうした胸打つ言葉が多いことをつねづね、実感している。ときには、厳寒の氷を割るような、率直な直言で男性が救われた場合もあるにちがいない。ともあれ、賢明なる女性としての言動であっていただきたい。
 またギリシャの格言に「賢者のごとく考え、庶民のごとくに語れ」とある。私は、ここにも大事な人間の生き方が示されていると思う。
 難解な言葉で語ることが決して優れているのではない。だれもが、気さくに加わる井戸端会議のような語らいの中に、庶民の世界がある。私どもは、仏法という最高峰の賢者の教えを奉じている。その仏法を、庶民の中で語り、広めていく実践においても、心すべき大切な一点であると信ずる。
17  幸福の″難攻不落″の家庭を
 余談になるが、ここで″庶民″の「庶」の字義について、次のような一説があることを紹介しておきたい。
 「庶」は「广」(まだれ)と「光」の古字が合わさって出来た字であるという。つまり、屋根の下に、ともしびが多く輝いている、との意味である。明かりのある所に人が多く集まってくるところから、「おおい」「もろもろ」といった意味が出てきたといわれる。また、「ゆたか」との意味もある。このほかにも、いろいろな説があるが、明るく喜びの弾む温かな家庭こそ、幸せな庶民の城である、といえまいか。
18  この会合には、イギリスの友も参加しているので、イギリスのことも申し上げたい。
 「イギリス人の家庭は、彼の城である」とのことわざがある。つまり家庭は、王権といえども、みだりに外から侵すことのできない″難攻不落″の城である、との精神がこめられた言葉である。
 まして私どもにとっては、御本尊まします我が家は、最高に誉れ高い幸福の城である。その城を、どうか皆様は、誰人にも崩されることのない三世永遠にわたる難攻不落の城にと築き上げていっていただきたい。
 ここで少々、長時間にもなったし、休息なしに話を続けることは、紳士として失礼にあたると判断し、ときには井戸端会議のように団らんのうちに終わるのも人間的であろうという意味を含めて、これをもって本日の話とさせていただく。

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